関西の林業
先の宮崎を例にしたログに対するコメントなどからもわかるが、日本の林業は地域によって大きく事情が違う。
九州と関東や北海道では大きく違うが、九州の中でも熊本、宮崎、鹿児島、大分……と全然違う。もちろん、関西はもっと違う。
昨日の朝日新聞、おそらく関西版だろうと思うが、日本林業経営者協会会長の速水亨さん(速水林業)のインタビューが大きく載っていた。関西の林業の復権に関することだ。
奈良の吉野、京都の北山、三重の尾鷲……と伝統的な林業地が多くある関西だが、その内実はみんな苦しい。それに対して、林野庁の補助金の出し方や、長期育成を阻む相続税の問題、そして流通の近代化などを指摘している。また寺社などの木造文化財に絡んだ木の文化にも触れている。
それぞれ含蓄はあるが、やはり関西に特化した林業事情だなあ、と感じた。
今ほどグローバル化が叫ばれ、事実、情報だけなら瞬時に世界中を駆け巡り、アメリカのバブルが弾けると世界中が七転八倒するほど経済も連動しているのに、林業だけは不思議なほど地域性を保っている。
それが悪いというのではない。むしろ地域性を保っていうことは産業としては誇るところだと思う。ただ、各地の林業地が各々独自の林業経済を展開しているのならよいのだが、どうもそうではない。単に施業方法や流通、加工、消費などの違いだけが際立って、経済的には壊滅している。
そこに林野庁が妙に全国画一的な施策を押しつけている……というちぐはぐさを感じる。
記事の中に「木は生きている。だから奇策は通じない」という言葉があった。
行政があまり復権とか再生を掲げて、新たな政策をぶち上げると、一部は成功しても、どこかにしわ寄せが出たりする。なるようになると距離を置いてみるのも手じゃないかな。
関西の林業は伝統があるのだから残さなくてはならない……と気張るのではなくて、自力で残れないのなら消えていく覚悟をするのだ。だいたい、これまで幾多の歴史の荒波を越えて生き残ったから「伝統的林業地」になったのだから。
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ああ速水さんとこ。といえばとよた?
相続税が悪かった???
親父が死んで相続税を払うのに山の木を売って
余った金でどこぞにマンションとか建てて不動産経営に走って孫の代になって山に帰って来なくなった地主なんて、たくさんいるんじね。
なぜか今は企業イメージと結びついて、よくCMで植林してますって企業がいて、でもお金だしてるだけなんだよ。
景気悪くなりそうだから、どうなんの?て
投稿: | 2008/12/13 03:07