使い捨ての作業路
ちょっと前から考えていることなのだが、林道はもちろん、作業道・作業路はどれほどの耐久性が必要なのだろうか。
というのも、道は必ず時間と共に傷むからだ。それを長持ちさせるためには、かなり頑丈に作らないといけないし、さらにメンテナンスが欠かせない。当然コストもかかる。
そこに大橋式とか四万十式の林道・作業道の可否も出てくる。
一度入れた道を木材の搬出後も維持して、その後の造林、そして育林にも使うとなれば、何十年と耐久させないといけない。密に道を入れれば入れるほど、林地面積は削られて狭くなるだろうし、維持コストも跳ね上がる。
ところが、八木木材のようにローコストでハイリターンを狙う素材生産業者は、木材の搬出後に道は使わず捨てる。次の間伐の時期が来たら、また新たな道を入れるという発想だ。
最初、私は森林破壊ではないか、と拒否感を持ったのだが、ここで「捨てる」方法を変えると新たな考え方ができるように思い付いた。それは道を林地にもどすことである。使い終わった作業路の上に造林をするわけだ。もちろん土質などの問題はあるが、可能ならこれで一つの後始末の見識にならないか。
なお造林だけなら、モノレールを使って高度を稼げば、必ずしも自動車の入る道は必要ない。モノレールは幅1mでも可能だろうし、立木の間を通すこともできる。
さらにクレーン型飛行船システムが完成すれば、伐採搬出もそれで行い、道を入れる密度はギリギリまで落とせるだろう。人さえ移動できたらよい。
計算によっては、使用済みの作業路を使い捨てる方が、採算も環境にもよいという、割り箸のような(^^;)施業システムを作れないか。
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コメント
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国有林内で、作業路を開設して、素材生産をしております。保育間伐活用型というものです。すべて作業路は施業終了後できるだけ削った土砂を戻し、枝条をかぶせて、素人が見た目にはわからないぐらいに戻してきます。林地保全のため。(当社の場合)。
そこに植林するという考えですが、おそらく次間伐材を出す時もそこに道をつけます。その林分においてそこが一番効率的に搬出できるところだと考えたので線形を選択したので。
ですので、2度3度とまだ間伐をする場合、使い捨ての作業路に植林してくるというのはどうかと思います。
投稿: つうくん | 2009/01/15 18:31
大橋式は2t車使用の高速搬出、ある程度の高価格材、成長した分だけ間伐、回帰年のサイクルが短い、林家自体が生産を行うのに適している(?)。たとえ、コストが上がっても単価で勝負する傾向。
北欧、あるいは北海道、低コストに低価格、材積で勝負。B材。
「列状間伐」「作業道・作業路」「長伐期」
並材が主?間伐のサイクル長い?
たとえ、大径木でも低価格?素材生産業者は山林経営者ではない。
その場限りなら、路面処理をして道は捨てる(だろう)。
機械の大きさ=>大径木なら、将来大きい機械使用なら拡張する必要。
国有林の「保育間伐活用型」
ひょっとして、保育間伐で少量のモノになる材を買いとらせる方式?
少量なので、ほとんど捨てた記憶が。
架線集材の前40年くらい前(?)、国有林でブルだしの跡があります(静岡県です)。そのまま、ブルだしでよかったのではと思います。自然破壊につながりますが。
並材中心だと、材積重視で道は捨てざるおえない、15年(もっと?)くらいは使わない可能性はあります。特に国有林は。
投稿: katrinatrxxs | 2009/01/15 22:10
つうくんさんの場合は、すでに作業路を林地にもどしているわけですね。次の間伐までの期間が短いのであれば、そして再び同じルートを使う場合は、植林の必要はないでしょう。ようは、崩れないように草木が生えればよい。
ようは、道を長く維持しようとコストをかけるか、使用後は放置するか、どちらが有利か考えてみたいと思ったのです。
投稿: 田中淳夫 | 2009/01/16 00:07