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本の紹介

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2009/01/05

富山和子「水の文化史」

年末-正月と読んだ本は、「水の文化史」(富山和子・著)である。

今更紹介するのも恥ずかしくなるような名著であり、しかも初版は1980年。ほとんど30年前の本だ。それを、これまで読んでいなかったのだから私が恥ずかしいのだが、とにかく手に取る機会があったので、正月の合間に読んだ。書評というより、圧倒される内容を紹介したい。

副題に「四つの川の物語」とあるように、淀川・利根川、木曾川、筑後川の4つの河川を取り上げているが、内容はもっと広範囲だ。
たとえば淀川の章は、上流の琵琶湖から日本海へと遡り、それは北陸-東北へとたどったかと思えば最上川を通じて内陸部に至る。利根川の章に至っては、治水論の展開からイタリアのバイオレント・ダムの悲劇へと移り、洪水論が展開される。木曾川はもちろん、木材の川であり、そこからカモシカ保護論争、鳥取砂丘の話まで飛火しながら、山の民の文化へ、と広がる。そして江戸時代の地方自治と比べて、明治の圧政が引き起こした現代社会の矛盾を突くのである。

全章を通して、平地の都会の論理を糾弾している。水と土と森の関連と、山の営みとしての林業、そして山村が守ってきた国土を描く。その舌鋒の鋭さは只事ではない。

執筆は30年前というのに、読んでいてまったく古びていないのに驚いた。せいぜい、林業従事者は18万人しかいない、と嘆いているが、今や5万人を切っていることに時代の流れを感じて、はるかに深刻化している現代に思いを馳せる。

私は、近年発行の森林関係の本を読むと、つい突っ込みどころを探してしまう癖があるが(^^;)、この本に突っ込むところはほとんどない。

富山和子さんの著作、改めて目を通す必要性を感じた。

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書評・反響」カテゴリの記事

コメント

こんにちは、飲んべえ生駒市民2号です。

私は、この本は就職して間もない頃に読みました。当時は治山技師として日々山に関わっていましたが、自分の気持ちを代弁してくれる、そして自分の仕事に誇りを持たせてくれる数少ない書籍の一つでした。

プライドだけじゃ飯は食えませんが、でも失いたくないものでもあります。

やはり本筋を外さなければ、たとえ情報が古くなっても活きているのだなあ、と考えさせられました。

拙著も、そうありたいものです(^o^)。

高校三年です 今まさに自己研究ゼミナールでこのテーマについて調べています

川と農業と林業についてです
参考になりました!

おお、高3でゼミがあるのですか。川を描くにしても、本書のようなスケールで社会に眼を向けてくださいね(^o^)。

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