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2009/01/09

不況になったら農林業?

本当かどうか、「100年に一度」の大不況だそうである。

たしかに巷には失業者があふれ始めた。非正規雇用が多い分、失業者増加の速度は猛烈に早い。とくに目立つのは製造業からだ。しかも家なしで、過去の日本にはあった緩衝装置がまったく効かなくなった。

そこで、政府や識者が目を向けるのが、「農林業で雇用しよう」。慢性的な人手不足で、しかも国産品が求められ始めた今、この業界に失業者を送り込め。この手の仕事は田舎にあるから、人口バランスを取り戻すのに好都合だし、田舎には空き住居も比較的ある。千載一遇のチャンスだ! ……という大合唱である。

果たしてそうか?

なんだか、困ったときは田舎に押しつけろ的発想ではないのか。

だいたい国内の農業や林業が細った原因は、「食っていけない」からだ。そして職の現場は日雇いに近く、安定雇用ができない。今問題の派遣や請負雇用と同じ、いやもっと酷い職場かもしれない。

そして、不景気になれば、食の安全とか自然素材指向なんて吹っ飛び、安いものが求められる。高級品指向の高い国産農産物や材木関係の商品は売れなくなるのではないか。そもそも需要そのものも減る。
食べ物は、「貧乏人は麦を食え」じゃないけど、米やめてパンやウドンを増やすかもしれないし、野菜も餃子も中国産でいいや、となる可能性は高い。

木材も一緒。すでに合板大手は軒並み減産を始めた。最大手セイホクなど、5割減産だよ。国産材合板は広まっているが、減産されちゃ国産材の需要だって減る。いや、少しでも安い原料を求めて山元をたたいて安値にするか、円高で安くなった外材にもどるかもしれない。

果たして山の現場が、新たな雇用を受け入れて増産する余地はあるのか?

そもそも赤字体質の農林業に素人が参入して食って行けるのか?

結局、補助金で食うことを考えているのではないだろうか。田舎の人だって、補助金で仕事作ってくれなきゃ、よそ者を受け入れたりしない。

……でも、まあ、都会にしがみついてホームレスになるより、田舎に活路を求めるのは悪くないかもしれない。100人に一人くらいは農林業で成功するかもしれないし。新しい血が入るのは悪いことではない。農林業にとってはチャンスだ。

ただし、都会で失われた雇用の受け皿に田舎の農林業がなるには、現在の農林業のシステムを変えないと無理だろう。

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林業・林産業」カテゴリの記事

コメント

田中さんが言われるように、不況になったら田舎に押しつけろ的な議論が出始めている。
しかし、農林業、特に林業の現有資産価値評価から、可能な雇用人数を逆算してみたことはあるのだろうか?
日経エコロジーの今月号の特集は「日本の森のチカラ」。「日本全国スギダラケ倶楽部」なんて言うグループの紹介まである。
50年生をピークに、若年齢が急激に落ち込んでいる林齢分布を見て、何も思わないのだろうか?
統計では一見人工林資源は豊富に見えるが、この中にどれほどの有用材が含まれているのか(きちんと施業されている地域でA材は三分の一、施業放棄地では絶望的)きちんと説明し、持続的に出材するにはどうグランドデザインをすべきかについて述べている記事には昨今お目にかかっていない。
エコロジー誌でもこのレベルである。
出材するのは構わないが、そのバランスは。そしてもっと大切なのはその後をどうするのか。
再植林するにしても、針葉樹にするのか。
そのためのグランドデザインを設計出来る人がいない。
政府が進めている制度は、林地⇒林地なので、林業関係者で出来そうだが、それでも持続可能な林業経営という観点で、設計できるか疑問。

やっぱりグランドデザインを行う会社・組織を起こそうかな。

伐期を迎えた森林は豊富ですが、林齢のバランスが悪いから持続的な林業(伐採)ができるかどうか心配です。この問題はいつか論じたいのですが…。

森林のグランドデザイン、必要ですね。でも、それを依頼するクライアントはいるかなあ。日本の森林をなんとかしたいと思っている、でも能がない、というクライアントは。あ、林野庁……(笑)。

クライアント、います。
林野庁ではありません。

で、実際にスタッフを集めてその会社を作ることになりました。
先日、組織を作る打ち合わせをしてきましたが、問題は山積してます。が、やり遂げたいと思います。

やる気になったのは、その地域がある県の林務担当者が、次のようなことを言ったことからです。

「これは林野庁や地方行政がやらなければならないことだし、民間がやるとすれば、その組織自体が今までの林野行政を否定することになる。

でもそれをやってこなかったから、やってもらいたい。応援します。」

地方行政には未だこんな見識の高い人もいるのです。

民間の森林所有者に金を払ってもグランドデザインを作ってほしい、という思いの人いますか。それだけでも未来に希望が抱ける。

そろそろ役所もつまんない面子を捨てて、「自分たちにはできないからお願いします」と言えるようにならないと、本当にグチャグチャになる。

はじめまして、田中さん
著書多数は意見しております。
林業の現場にIターンで入って6年半。今回のブログに同感です。
林業に転職するということが、都会の求人紙をみて転職するのと違うということを、緑の雇用をこれだけやってきて定着率が悪いことから分析もせず本当に安易な発想だと思います。
私も求人を出しておりますが、経験を話して、厳しい話しかしません。
一時のように、雇用促進のための補助金だけどかっと下りてきて、不正に使われ、夢破れてやめていく仲間を増やしたくありません。

今後、林業に法務省がからむ話もありますし(更生施設?)、
国有林の管轄もどうなるのか、関心があります。保安林施業がどうも、生産活動をどうも
環境派から自然破壊と捉えられているようでw
林野行政としては、針・広・混交林移行でしたか+公的機能重視。ん?木材生産がどうなったのかな?って感じです。持続可能な林業経営は長伐期+天然更新施業ができるかでしょう。
森林セラピーとか森林レクとか、林業の範疇ではありませんね。「100年に一度」は
他の業界の話ですよ。ここ3~4年は、私の給料は計算上補助金でしたよwあくまでも計算上です。

緑の雇用、定着率悪いですよね。もともと定着させようと思っているのかどうか疑問……。森林の仕事ガイダンスでも感じたんですが、主催者はよいことしか言っていない。各ブースはもう少し真剣だと思いますが。
夢破れて去った人は、林業に悪イメージ持つんじゃないかね。

そして雇用関係の補助金が不正に使われているのも、ほとんど公然の事実じゃないかな。求人内容もウソがある。誰も追求しないけど。政府も知ってるはずだけどなあ。

私の記憶では、5~6年前に強度間伐が始まった頃に国有林内のほとんどの人工林が保安林指定されたと思いますが、保安林で持続可能な施業ができるかは甚だ疑問ですw今思うと、2009、2010年をにらんでのことなのか?
保安林内では伐採形質変更が著しく制限されます。国有林は素材生産事業から撤退もあるのかな?
緑の雇用も、既存の、雇用を守るためですかね。研修生を採用する側の雇用です。定着率は別に関係ないです。
日本で持続可能な林業経営が出来る森林は限られている?
少なくとも、環境保護派と共存共栄して低コストを実現して雇用を創出するのは?
ま、無理ですよwww(補助金なしには)
農林業が人手不足というのも?ほんとは通年雇用は無理な気がするけど・・・
なんか、グダグダwww

森林の仕事に興味はあるが,生活していけるほどの給料をいただけるのだろうか。

森が好きだからという理由だけでいいのだろうか。

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