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2009/01/26

成功事例は失敗の種

各地の地域づくりや起業、改革、新規取組などを取材に行く。

取材対象は、もちろん成功例だ。その事例をいかに活かすか。

だが、最近になって、そんな事例集めは危険ではないか、と思い出した。成功例を紹介して、それと同じようにやれば、あなた方も成功しますよ、ということの欺瞞を感じているのだ。

なぜなら、成功した条件や環境を調べていくと、いずれも特殊というか、それぞれ固有のものを持っているのだ。それなのに安易に普遍化して語るのは、大きな陥穽となる。
あくまで事例は事例。解の公式ではない

基本条件が違うのに、やり方だけ真似てどうする。そもそも真似ることもできないだろう。

でも、みんな公式を欲しがる。そして失敗する。もっとも大きな陥穽が、政策だ(~_~;)。

各省庁では、全国各地の成功事例をそれこそ血眼で探している。そしてうまく行っている地域に取り付き、視察を繰り返し、一般向きに研修マニュアル化して、リーダーを招いた会を開き、あげくは研修で学んだ資格まで作ったりして全国に広げようとする。

元気な集落に、企業に、森林組合に、行く。バスを連ねて視察団を送り込む。

で、成功事例を真似てうちも成功しました、という話は登場しない……。

もっとも「ここの真似はできない」という結論を得るための視察も多いのだけど。だって、真似るのは大変だから、自分たちのところではできないという言い訳を探したいのだ。だから視察は、観光旅行に化ける。

「成功した要因の中に、将来の失敗の種がある」という言葉をご存じだろうか。

なんだか「夢をかなえる象」のヘタな人生訓みたいだが(笑)、当初は成功した要因が、時勢の変化に合わなくなり、次の失敗を呼び寄せるのだ。

もう、事例を真似るのはやめよう。成功事例は、自らの地域に合った具体的な方策を生み出すための参考にするだけにしておこう。

私も『田舎で起業!』という本を書いて、私の本としてはよく売れている方だが、それは事例集ではない。実は精神論の本であった(~_~;)。ホンマか

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コメント

なるほどね~。

昔、息子の友人が、日経なんとかに、「敗戦の将、兵を語る」と言うシリーズがあって、とても面白い。と言ってました。それ、読んだこと無いんですが、失敗例から学ぶということも有意義ですよね。

失敗例は、私もできるだけ取り上げるのですが、やはり実名を上げて語ることは難しいし、そもそも本人を取材するのは至難の業ですねえ~。その後、盛り返しました、というのならいいんだけど。

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