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2009/01/20

投稿「若者よ故郷に」から考える

失業者を安易に農業へ送り込もうとするな、と先日記したが、今朝の朝日新聞投稿欄には、「若者よ故郷に帰れ」という意見が載っていた。

筆者は青森県の限界集落在住のようである。本人もかつて農業では食えず、黒四ダムで働いた経験があるそうだが、現在はトウモロコシの地域ブランドを立ち上げて成功したらしい。そして故郷を出て都会で失業して苦しむのなら、故郷の農村へ帰れ。父、母が待っている、米と野菜を作れば食うに困らず、四季の自然が心を癒すだろう……的な呼びかけだ。

自ら真正面より農業に取り組み、限界集落に住む人からの声は胸を打つ。

思わず陶淵明の漢詩歸去來兮を思い出した。あわてて高校時代の詩文集をひもとく。

帰りなんいざ 田園将に蕪せんとす胡ぞ帰らざる,
既に自ら心を以って形の役と為す,
奚ぞ惆悵として獨り悲しむ,
已往の諌むべかざるを悟り,
來者の追う可きを知る。
実に塗に迷う其れ未だ遠からず
今は是にして昨は非なるを覺える

……

自分で訳すのが面倒なので、検索する。
http://tao.hix05.com/102kaerinan.html

(現代訳)
さあ帰ろう、田園が荒れようとしている、
いままで生活にために心を犠牲にしてきたが、
もうくよくよと悲しんでいる場合ではない、
今までは間違っていたのだ、
これからは自分のために未来を生きよう、
道に迷ってもそう遠くは離れていない……

この詩には二段、三段目があって、故郷に帰り和み、田園に暮らす喜びを謳い上げていた。そして四段目では人生の無常観を表している。

なんだか、じ~んと来た(笑)。

農村が故郷で、限界集落といえど帰るところがある人、そして農地も多少は残り、また父母がいて農業を教えてもらえる可能性がある人は、たしかに都会で失業してホームレスになるくらいなら、故郷に帰り農業に取り組むという選択肢は捨てず、様々な事情を乗り越えて選ぶ価値はある。

ただ、そもそも農業では食えないから故郷を捨てたという点は拭えない。限界集落は、陶淵明の詩のように温かく迎えてくれるだろうか? 
先日の取材を受けたときも説明し、先方が驚いたような声を上げたのだが、農業は雇用ではない。基本的に自営業だ。始めるにも資金がいるし、失敗したら自分で責任をとらねばならない。だから農業に就くということは、起業である。ベンチャービジネスに挑むのと同じである。その点では、派遣労働より厳しい。

出稼ぎを経験しながらも歯を食いしばって農業で成功して見せた投稿者のように、現代の失業者は農業がてきるか。少なくても、その気概を持たねば勤まらないだろう。

さて、考えてみれば私も自営業である。歯を食いしばって、残りの原稿書かねば(笑)。

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コメント

というか、
>米と野菜を作れば食うに困らず
この一言に集約されているという気がします。つまり、稼ぐというより食いぶちを自分で作る、「自給自足」という発想が先に立っているんじゃないかと。先日の失業対策に農業をぶち上げる政治家にしても、発想は同じく自給自足の方じゃないかと勘ぐってます。勿論、それは「雇用対策」とは全く違うものですね。

こんばんは、いつも拝見させていただいています。

元の記事は見ていないのですが、「若者よ故郷に帰れ」という考えには賛成です。
自分もIターン者なので。

ですが、この呼びかけは30年ほど遅かったんじゃないでしょうか。
自分は団塊ジュニアなのですが、すでに団塊世代が都会に出てきてしまった後なのです。
帰る故郷がなくなってしまっている若者の方が多いのではないでしょうか。

自分も自給自足が理想だは思っているのですが、田舎に住んでみてますます難しいものだと実感しました。

たしかに自給自足の匂いがしますね。可能かどうかは別として。
それは、魅力的と感じる人もいますが、現在の社会状況からすると、どちらかというと贅沢なライフスタイルに近い。

そして、また帰る故郷のある人というのが、もはや稀少になっているという現実も。都会出身者の方が多くなった。

逆に、帰る田舎のない今の若い世代が、覚悟をきめて見ず知らずの中山間村に入る。それが少なからずも活性化や田舎をどうにかしていこうという原動力につながっているのではないでしょうか。

覚悟を決めて中山間地に入る人は、期待できると思います。が……。こういう人も稀少だろうなあ。

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