無料ブログはココログ

本の紹介

« 農林業系雑誌の廃刊 | トップページ | 田舎物件バブル »

2009/02/02

「農林業に就職」のイメージ

相変わらず、農林業に雇用を求める声は大きくなるばかり。実際、新規就農相談の窓口には失業者や失業予備軍が殺到しているそうだ。

で、それに対してテレビのコメンテーターの発言。コラムニストという肩書のK谷誠彦である。

「派遣など製造業に働いていた人は、人間づきあいがうまくない人が多いから、自然相手にもくもくとやる農業などは向いている」(だいたいこんな感じかな?)

わはは、と思わず声を上げて笑ってしまった。何事も断定的なコメントをする男だが、得意分野でもないところで、こういった発言を断定的にすると逃げ場もなく恥ずかしい。農業はもくもくとやる仕事だと?
それで農業ができるわけない。いや、農村に住むことも厳しいだろう。

イメージは、アメリカの大農場で「もくもくと」働かされていたかつての黒人奴隷か、現代ならさしずめメキシコからの不法入国者か。朝から晩まで他人と口を聞かずに収穫作業とか?
ようするに「雇用の場」として雇われる農業者をイメージしているのだろうが、残念ながら(いや、幸いにも)日本の農業現場はそんな雇用は少ない。研修中でも、無口な人は付いていけないだろうし、独立を考えているのなら、農村社会に溶け込まないといけないのだ。
加えて、自然相手の仕事ゆえに、定期的な休みがなかったり、終身雇用も考えられない。あくまで研修だ。いつか自分で立たなくてはならない。

この点は、実際に新規就農、就林を考えている人々にも問題があるだろう。

「自然の中でのんびり、きままに仕事がしたい」
「人間関係に疲れたから、自然相手に働きたい」

どうも、農業自体をやりたいというわけでもなさそうだ。とりあえず逃げ込める職場か。

それでは、勤まりません。やっぱり派遣で切られる人間は、人生舐めてる、と揶揄されてしまう。実際、農業現場で働きだしても、数日で逃げ出す例も多いらしい。ネットカフェで何年も暮らすことはできたのに、農村では暮らせないのだろうか。

農業現場に求めるのは、やはり人間的な職場だが、そこに働く人も、ごく普通の仕事に対する感性と゛人間関係を築く気構えを持つことだろう。

« 農林業系雑誌の廃刊 | トップページ | 田舎物件バブル »

林業・林産業」カテゴリの記事

コメント

 久しぶりにコメントをさせていただきます。
 農村で暮らしていくことも、農業も行っていくことも、もくもくとたっていては勤まらない。
 まさにその通りだと思います。消費者が望む農作物を作って、消費者の手に出来るだけ安価に届くような工夫をして、さらに自分の生計が成り立つような農業経営が必要でしょうし、加工をして付加価値をつけることも必要でしょう。売り捌いていくためには、消費者の動向や市場動向も探って、求められている商品として農作物を流通させる必要があります。
 今の時代に、名産地といわれている産品は、生産についても努力をしたでしょうが、販売についても、情報通信が未発達だった時代に、行商をしてその地位を築いたところも多くあると聞きます。
 農業は、生産が基本だけれど、マーケティングが大切だということ、それには人間関係が非常に大切だということを新規就農者は身に付けなければならないでしょう。自ら新規就農する方々は、そんなこと当たり前のことだと承知しているのですが、この記事にあるような方々の場合、学ばなければならないことの一つで、とても重要なことだと思います。
 そして、もしも、企業の一員で働く農業者として考えるとするならば、一層オールマイティな人材が求められていることでしょう。
 工業製品を作って売るなどというような、定量で看板方式の生産が出来るような現場ではないのですから・・・。そんな感想を持ちました。

考えてみれば、日本の農業の多くは自営業です。これは素晴らしいことですが、同時に自分で経営方法を考え、自分で作業するということですね。

それができずに農協とか役場に頼ってきた農家が増えて、今の農業の体たらくがあるのかもしれませんが、今後の新規参入にもそれらの能力が求められるのでしょう。

こういう発言をする人たちのイメージはもっと酷くて、多分多摩川などの河川敷辺りに棲み付いて野菜などを作っているホームレスのイメージにかなり近いのではないかと思います。要するに、まともな「職業」として考えてないということですね。派遣業に対するイメージも、かなり悪し様に考えていることがこの発言に見え隠れしていると思います。

そういう点で、こういう発言を繰り返す人たちはきっちり諌めた方が良いのではないかと思います。

ウチの近辺の移住者仲間たちと「失業者を農林業へ」が話題になったとき、新規就農する人はある意味エリートでなくてはならないはず、と言った人がありました。(小説家・音楽家)
私もそう思います。
エリートでなかった私たち夫婦は、農業だけでは食べられませんでした。まさに自営業者としてのオールマイティな資質が必須条件で、その上労働に耐える体力が必要ですから。

相変わらず、こんな過疎地(うち)にも移住希望者があとを絶ちませんが、皆、同じことを言います。「野菜でも作って・・・」
はり倒したくなったのも、今は昔。あまりにも判で押したような台詞に何も感じなくなりました。

でも、うまくいかなかったといって、人のせいにするのは止めて欲しいし、断ったときは、まっすぐにこちらの経験者としての意見を受け容れて欲しい。
農林のシステムがどうなっていったとしても、結局人の話もまともに聞けないような人が、どの業界でもうまくいくとは思えないですね。
敢えて、システムを考えるとすれば、第二の農協がそろそろ出て来ていいんじゃあないか、と。あ、農林協ですね。(笑)

「派遣切り」された人々へ、彼ら自身の責任を問う声がありますが、それに対しては激しく反発を感じます。正社員の枠が縮小した昨今では、多少の努力では追いつかずあぶれる人が出るのは必然です。

ただし、今度は「野菜でもつくって」「山の中で気ままに」という考える人は、その時点で農林業を見下したり甘く見ているということでしょう。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/36391/43935500

この記事へのトラックバック一覧です: 「農林業に就職」のイメージ:

« 農林業系雑誌の廃刊 | トップページ | 田舎物件バブル »

2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

森と林業と田舎