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2009/02/05

NHKに日吉町森林組合の湯浅勲氏

このプログで幾度も紹介している日吉町森林組合の湯浅勲参事が、NHKの番組「プロフェッショナル」で、取り上げられた。

森林プランの作成や機械化林業などで仕事を創出し、コストダウンで利益を出してきた立役者である。森林組合の業務のあり方を大きく変えて、森林再生に尽力している。
おかげで森林組合は視察が絶えず、こ林野庁もこのケースをモデルに全国で森林施業プランナーの養成まで行っている。

番組を見て感じたのは、彼の孤軍奮闘ぶり(^o^)。たしかに日吉町森林組合は全国トップレベルの内容を誇るが、そこに近づける森林組合は極めて少ないことを感じさせる。
彼は「全体の1割の森林組合が変われば、一気に変わりますよ」と言っていた(この言葉、別のところで聞いたな)が、その1割に達するのがいつになるやら。

まあ、「プロジェクトX」の後がま番組だけに、なかなか感動的に盛り上げる。ただ、私なりに引っかかった点もあった。

紹介された改革の具体的な点は、「森林組合の現場・作業班の待遇を常雇いにして、職員と一体化すること」であった。これが劇的な効果をもたらしたことを語りつつも、ほかの森林組合にはなかなか取り入れられない点を映し出していた。

日吉町森林組合が、作業班全員を常雇いにできたのには訳がある。組織的にも危機感があったが、何よりも資金的余裕があったことが大きい。当時、ダム工事に付随して大きな公共事業を請け負ったからだ。そのことを抜きに、ほかの組合も常雇いにしろ、と言っても厳しいだろう。つまり、特殊ケースを無理に普遍化させようしている。先に記した「成功事例は失敗の種」になってしまいかねない。

実は、数年前、私も某政党の勉強会で、「林業を建て直すなら、森林組合の労務体制の改革から」と主張した。システムをいじる前に、人の持ちベージョンが高くならないと機能しない。残念ながら聴者(議員)はあまりピンと来なかったようだ。
しかし、今や派遣や請負業務の問題点が指摘されているのだから、いっそ法律で完全出来高払い制とか日給雇用を禁止したらどうだ? 職員との待遇差別にもっと切り込んだ方がよい。

閑話休題。

もう一つ気になったのは、日吉町内の森林の7割は整備が終えたと語られたことだ。残り3割に尽力しているそうだが、早晩終わるだろう。とすると、その後どうする? 日吉町外に出て行くだろうな。周辺組合とバトルか始まるかも。 また2度目の間伐と、主伐も始まるだろう。
番組では森を守るために間伐をする、という論調一辺倒だが、そもそも林業は木材を得るために木を伐る産業であることを忘れている。その点を一般の人は誤解されそうだ。

またナレーションで、切り捨て間伐は天然の森を復元するため……という意味の説明をしていたが、とんでもない間違いだろう。だいたい針葉樹は萌芽更新しないよ。

ただ番組では、そんなに制度や林業技術の問題を取り上げていたわけではない。むしろ道づくりとか間伐に関する湯浅氏の智恵にクローズアップしている。つまり、湯浅氏を描くのが番組の趣旨であり、森林・林業問題は二次的だ。だから、湯浅氏は、プロというより日本の森を甦らせるカリスマ・リーダーとして扱われていた。

たとえば番組では、湯浅さんが、間伐の選木や道の設計などを指導している光景が描かれていた。これがヤラセでなければ、こうした指導はよいのか。現場の実務は、作業班レベルの長がするべきであって、参事が口出していいのかなあ、と感じた。改革は「現場に責任持たせること」と言っていたセリフとズレを生じる。命令系統を飛び越えて口を出すと、後継者(次世代リーダー)も育たないでしょ。
小さな組織では、経営の長と現場作業の長が重なることはままあるが、今や「森林組合のモデル」の長である。ましてやテレビでその姿を映せば、影響力が出る。

そもそも、組織の長がカリスマになってよいのだろうか

カリスマなんて、私のような仲間のいない一個人がなればよいのであって(~_~)\(-_-メ;)コラコラ 組織を率いる人間がなると、何かと副作用が出る。とくに部下は、カリスマには逆らえず、やがて組織が硬直する。

時折思うのだが、戦国武将の中で一番人気が織田信長。カリスマ性を備え、当時の常識を覆して改革を断行したことが理由だろう。しかし、信長の下で働きたいと思うだろうか。私はイヤです(笑)。いつもビクビクしなくてはならず疲れそうだもの。下手に反論したり使命を失敗したら、首切られる。

もちろん、湯浅さんは優しそうです(笑)。反対しても失敗しても首にはならないでしょう。

ただ、多様な形での日本の森の再生手法を許容される雰囲気がないと、またも画一的な森林再生モデルが、全国に喧伝されるだけだろう。

なお、近畿地方では、明後日6日のNHK番組・かんさい特集で「林道づくりの神様・大橋慶三郎」の番組があります。見られる人はお楽しみに。

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林業・林産業」カテゴリの記事

コメント

おはようございます。
わたしもこの番組を見ました。
田中さんがおっしゃるように、湯浅さんの偉大さはよく伝わりましたが、「湯浅さんのあとはどうなるのだろう?」「後継者が育たないのではないだろうか?」という一抹の不安が過ぎりました。
こういう番組は、田中さんのブログとセットで拝見して初めて実体が把握できる。と納得しながら読ませていただきました。
田中さんのさらなる活躍に期待しています。happy01

PS.きのうの記事中のK谷氏の下り、思わず吹き出してしまいました。
先日のTVタックルでも「すぐ喧嘩腰になる」と言われていましたね。(^_-)

 おっしゃられているように、「成功が失敗の種」の事例は多いですよね。そしてそれが語られることが少ないのは、「素晴らしい成功事例」を真似したのに失敗しちゃった自分が恥ずかしいからだと思います。
 熊(♀)の師匠は、
「同じことをすっかり真似しようとしても、やる人が違うと無理です。自分の器にあった ところだけを参考にするくらいのつもりで(成功事例を)ながめなさい。」
とよく言います。
 この場合「人」は「組織」とかにも置き換えられるとして・・・やっぱりまず自分や自分のいる組織を知らないといけないんでしょうね。

この番組、見ましたが、やはりテレビだから(NHKだし)、現実よりはきれいにかっこよくすっきり出来上がっている印象は感じました。きっと作り手の思いこみもあるんでしょうね。

熊(♀)さんの師匠は、人生の達人ですね(^o^)。
自分の器を知ることは、なかなか大変ですが。
とはいえ、「だから日吉町の真似はしなくてもいいんだ」と思われると困る。
ぜひとも、全国の森林組合は、この番組を「参考」に改革を考えていただきたい。

そして組織となると、どうしても後継者問題が重要になります。農林業はとくにそれが課題です。こちらも頭の隅に置いてほしいな。

先日の田中さんのブログで紹介されていた「日本の森林を考える」#37に湯浅さんの投稿記事がありますね。
 p33あたりでは、今日のブログの大橋さんの作業道施工を現場がどのように受け取っているかという雰囲気を伝えておられ 色々配慮した発言だなあと感心しました。
 まず湯浅さんの文章の目的は大橋さんを云々することではなくて、権威として大橋さんを捉える風土を問うておられるものですが、そのうちに湯浅さんが権威にされてしまう(笑)かもしれないと、今日の田中さんのブログを読んで、そう思いました。

あ、うちにはテレビはありませんw

雇用形態は特に問題あるとは思いません。森林組合法がすべて、じゃないですかね。

出来高。どこの組合でも計算上はそうなってるのではと思います。標準単価方式、面積立方単価がもとになってのではと思います。
公共工事の仕様書等条件に社会保険、退職金などの条件があるはずです。公共工事をしないのであれば、日給でも出来高でもいいわけです。
完全出来高は働く方にとっては、一番いいはずです。ピンハネが一番少ないはずですけど。

「視察」
ん~どう考えてもウザイでしょうwww

大橋さんのことは、明日以降に書くとして……湯浅さんも、自分が権威とかカリスマになろうとは思っていないでしょうね。
でも、周りが、そして時代が祭り上げている気がするなあ。湯浅さんを前面に出して、いろいろ仕掛けようという動きが透けて見える。

肯定派のサイトが多いので書き込みにくかったのです待っておりました。
(見逃した出来杉君はどっちだろう)

ビール片手に突っ込み倒しでした。
「そんなん当たり前やろ」

あそこは結構現場が責任を取らされますよ。
知人は3人入ったのですが今はいません。(定着率ってどれくらいでしょう)

目標10立米というキャッチフレーズを聞きますがそれに見合う所得???
ピンはねする先が、組合と山主に返す分と増えているだけ、プランナーの見積もりや現場作業に負荷がかかりますよね。
(補助金に頼らない自立する組合ですもの)
(最低、月給分稼いで置かないと赤字ですよ)


視察林業も事務方の負担が増えるし、
あそこの組合長は、番組に出てこなかったけど参事のワンマン…??

大体しゃべっていることって珍しいのだろうか?

道作りは、大橋さんの方が参考になるだろう
金曜日が待ちどうしい

多分当年の目標は、町村合併した園部と八木を吸収するのかなあ
八木はそれなりに仕事しているようなのでまずは園部かな。(スイングヤーダーとハーベスターを遊ばせるわけに行かないし)

全林協の後押しにNHKのお墨付き、カリスマへの流れに乗ってしまうのならいっそ独立してコンサルになってくれたら、日吉ももう少しましになるのかなあって思ってしまいます。

どうせカリスマにするなら、速水さんのほうがいいかな。

私は、別に日吉町森林組合を否定的に見ていません(笑)。やはり日本でトップレベルの内容を持っていると思いますよ。
それでも、どこにでも応用の効くことではない。

視察は有料だから、むしろ儲かるんじゃないかな。年間1000人以上来るんだから、一人1万円取っていたら結構な収益事業になる。

まあ、職員の定着率はイマイチのようだけど。やはり信長タイプになってきているのかな?

「あの人すごいんだ~。」
って周りから見られちゃうと、
「だって、あの人はすごいから。別だから。」
ってなってしまって信長タイプになってしまう(周りもしてしまう)のかも。

「この人って、実はすごいんだ~。」
ってみんなの噂にならず、各人が思うくらいの人が
いいのかなと思う。
組織とかだと、「実はこの人ここがすごい。」の人が
いっぱいいるほうが、カリスマ一人よりは
長く続きそうですもん。 

それとも、そんなのんきなことを言ってる場合ではなく
カリスマに頼らないといけない事態なのでしょうか・・・。

湯浅さんこそ、まさに「実はすごい」人だったんです。狭い世界で知られた改革者として。

でも、それが一躍林業界の全国区にさせたところが時代の要請というか、仕掛けられたと見るべきか。
ともあれ現代の日本の林業立て直しには、必要な人になったんですね。

熊さんの言うところが、番組中でも出てきた点が線になり、そして面になっていくことだと思います。
湯浅さんのような人が一人二人だと意味がないわけです。あそこのやり方をまねるのではなく、あそこまで組織や仕組みを変えるエネルギーをもった人間がどんどん林業界に増えないと、どうにもならない業界だと思います。

こんなブログもあります。(名前をクリック)

湯浅さんが注目されるのは、林業界に改革者が少ないという事情もあるのでしょう……ね。

ちなみに、ご紹介のプログは知っていますが、お勧めしません(^^;)。前世紀の化石人ですね。林家出身なのに、これほど林業憎んでいる人も珍しい。ま、その程度の人なのでしょう。

失礼しました、勧めたわけではなく、あの番組を見てこんな考えの人もいるということをお知らせしただけでした。
私、国有林で仕事をしております。
いろんな立場の人の意見を拾おうとしていたら、このブログに行き着きました。

こちらこそ失礼しました。あのブログを紹介したからと言って批判しているわけではありません。
私なりの評価ということで。

いささか時期を逸したコメントですが、今朝の出来杉さんのブログに田中さんの名前を明示した誤解指摘コメントを入れてしまったので、本家に同趣旨の投稿をしておきます。
でないと陰口をたたいた(笑)ことになりかねない。

>だいたい針葉樹は萌芽更新しないよ。

の部分ですが
 受け取り手の「普通の都会人」は、同番組のなかで道傍に実生杉苗のアップ映像をインプットされています。
 つまり番組側としては萌芽更新での自然林という意識はまったくないものと思われます。
 出来杉さんのブログに付けられているyamaさんのコメントにあるとおり、ヤマを放置しておくことでそういう苗さえ流されてしまうだろうという指摘のほうが普通の人間には判り易いように思いました。
 田中さん相手には毎度の言わずもがなのコメント 失礼しました。

この問題、私は軽く流していたのだけど、そこそこ反響はあったようで、NHKにもメールや電話があったと聞きました。

もちろん湯浅さんが針葉樹も萌芽更新すると思っていたわけではなく、急斜面は切り捨て間伐だけをして林業は諦めても、森を維持できるだろう……と言ったのを、ディレクターが天然の森(広葉樹林)にもどす、と勘違いしたというところでしょう。

ようするにNHKとしては、湯浅さんを森林再生の旗手にしたかったのであって、林業再生の担い手とは捉えていなかったということですね。

ただ私は、切り捨て間伐を施すことで残った木が立派に育ったら、それはそれで林業になるじゃないか、と思いますけどね。太くて高く売れる木になれば、主伐で全部伐ればいい(笑)。

ああ、全然関係ないですけど国有林の将来が今年来年当たりで決まるのかも?環境省移管がどのこの。
針葉樹は萌芽更新しませんが、天然下種更新の
可能性はあります。北海道のエゾマツ、カラマツ、トドマツの天然更新の仕組みはちと複雑だったと思います。あと、木曽檜は天然林ですから、十分天然林施業の可能性はあります。というか、本当はやってみたいが命が持たないw
これができれば、そのなんだ化石人てゆうの~
共存できますし、同じことを主張できます。
実は森林の更新は理解されていない部分があります。わざと小規模の森林火災を起こさせることもありますし。あいや~失礼しました。

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» 「プロフェッショナル」やっと見た [出来杉計画 ]
少し前にプロフェッショナル見た?で書いた通り、本放送は見事、見逃してしまったんで [続きを読む]

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