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2009/02/10

森林命名権

またもNHKネタなのだが、今度はニュース。

神奈川県が、森林のネーミングライツ、つまり命名権を企業や団体に与えて寄付を受け取る取組を始めるそうだ。いわば命名権ビジネス。これまで公共施設などで例があったが、それを森林に広げるわけである。

対象とするのは相模川や酒匂川上流などの7万haあまり。県有林のほか民有林もあるようだ。これらの森林の命名権を、10ha当たり5年間で300万円で売り出す。

とはいえ、森林だから名前など付けてもアピールしにくく目立たないと思うのだが、命名した森林の名前を県が作る地図に載せるという。また二酸化炭素吸収量の算定書を発行することで、企業イメージを高めるのに使ってもらおうという魂胆である。

全国初という言い方をしているが、企業の森はどこでも企業名を出しているから、ある意味ネーミングライツだろう。全体として、今流行りの「企業の森」「森林アダプト制度」をよりリアルにした印象があるが、さて、このご時世どれほどの応募があるか。ただ寄付といわずに、ビジネスとして発展させてもいいのではないか。命名権も森林資源である。

たとえば、1本1本の木の命名権を販売する。個人でも買えるようにするのだ。公園の木とか街路樹などに命名のプレートを1年間かけることができる。神社やお寺に寄付された鳥居や燈籠、そしてプレートが並ぶのと同じ感覚で。もしかしたら、結婚記念とかにも売り出せるかもしれない。ちなみに離婚したら、ひっそり外す(^^;)。

クリスマスにイルミネーション付ける権利とかもいいな。さらにバレンタインデー・チェコはもう古い、これからはバレンタイン・ツリーだ(^o^)なんて。立木トラストほど重くなくて軽いノリで売り買いできないかな。

そこそこ太い木なら、森林療法的な「私の木」を選んで買うことで、いつも心に巨木を描くことによって、ストレスを解消してもらう。

木1本だけではスケールが小さいと思うのなら、森全体も考えられる。

以前、私は森林の命名権ではなく、森林自体に広告を描く「アド森」案を出したが、これを発展させる。森林の会員権を販売するのはどうだろう。会員制の森だ。会員にならないと、近づけないし入れない。この何十haかの森は「私の森だ」と主張する権利(^o^)。案外、山主気分になりたいと買う人は現れないか。企業の森ほど本格的な契約ではなくて、気軽に応募できる。

ある種のオーナー制度だが、所有権を譲るわけではない。命名権とかその木や森をいじる権利だけである。それも1年とかせいぜい5年の期限を付けることで、柔らかい取引にすることで裾野を広げられないか。

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森林活用(茶・蜂蜜・山菜…樹木葬)」カテゴリの記事

コメント

おはようございます。
わたしもこのニュースを見たとき、不況風真っ直中の現在、手を挙げる企業なり人なりがいるのかどうか疑問でしたが、この田中さんのご意見を伺って、発想を広げアイディアを出せば、活発な産業になるかも。と期待が出てきました。
これが活性化されれば、森林も元気に、生き返ることができるのではないでしょうか。
そして人々も森林と身近に接することが出来ますね。
日本全体も元気になっていくような予感がしてきました。

いやあ、私の案がうまくいくかどうか……。
どうせ、思いつきですから(笑)。

最近、このブログのタイトルをまた変えようかと思っています。「思いつきブログ」に。このブログに書いていることを、あまり真剣に取られては困るという意味を込めて(^^;)。

でも、思い付くまま次々に表に出すことが、次の発想を呼び込みます。否定的に捉えると、次の段階に進めない。あくまでここは、発想の応酬で新しいことを考える場にしたいのです。ブレーンストーミングの方法論ですね。

「思いつき」大いに結構ではないですか。
この世の中、思いつきから発展してきたのですから。
みんな、思いつき、新たな発想が出ないので行き詰まっているんじゃないでしょうか?
どんどんブレイクしてください。
期待しています。

そうですね。

思いつきに思いつきを掛け合わせて、
厚いカンの壁に風穴をグサッと破り開けたい!

田中先生、狙ってベストセラー著を書いてください。

応援しています。


すいません。私神奈川なんですけど、知りませんでした。というか、名前をつけるほどの森林があるのかと・・
鹿の被害、施業の悪さ、山蛭もでますから
林内に近づけません。
ネーミングライツのお金でもう一度植林から
はじめてやり直せと、県の職員が来たら
ゆっておきますわw

 すみません。
 
 何処かの知事は、スギの花粉がすごいから皆伐して植え直せーみたいな事言ったそうですが?
 何十年も育てた(施業方法、樹種選定がまちがっていたとしても)森林を金にもせず処分費用まで補助金使って、あげくにまたまた補助金で植林するようなバカな事しないでほしい。

 発想の転換で今ある森林を如何に再生させるか、手を入れるか。魅力ある、遊びにも行ける森林にするか。

 できると思う。

 >この田中さんのご意見を伺って、発想を広げアイディアを出せば、活発な産業になるかも。と期待が出てきました。
これが活性化されれば、森林も元気に、生き返ることができるのではないでしょうか。投稿: 花姥

 >思い付くまま次々に表に出すことが、次の発想を呼び込みます。否定的に捉えると、次の段階に進めない。あくまでここは、発想の応酬で新しいことを考える場にしたいのです。ブレーンストーミングの方法論ですね。投稿: 田中淳夫

まぁ、松沢知事は自ら丹沢の山に行って間伐作業を手伝ったりしているそうですから、こういう方向の取り組みには積極的ですね。隣の某都知事に比べると(^^;)、その辺は前向きに考えてくれている様です。

ネーミング・ライツ、確かに面白いアイディアではありますね。森林以外でも応用は利きそうです。Wikipediaで「命名権」を見ると、「ENEOSの森」が先例として挙げられてはいますが、手法が何か違うんですかね。

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