あさひやま動物園の真実
そもそも北海道に、なぜ行ったのか。
それは「あさひやま動物園」でペンギンが見たかったから! (~_~)\(-_-メ;)ウソデス
今やあさひやま動物園といえば、上野動物園を抜いて日本一の動物園とされ、映画にまでなった動物園だけでなく地域再生のシンボル。地域づくりの事例としても注目されている。なにしろ、この動物園に行くツアーが企画されて、全国、いや海外からも人を呼び集めているのだ。おかげでテレビに雑誌に多く取り上げられ、すでにどんな動物がどのように展示されているか知ってしまっている。
実は、私は今ほど騒がれる前に某雑誌に企画を出したのだが、ボツになった。編集者の見る目がなかったと今なら断言できる(^^ゞが、だから今回が初めての訪問だ。
さて、訪れたあさひやま動物園は、いかなるものであったか?
それが……最初に門の前に立って思ったのが……「しょぼっ!」
そう、小さかったのだ。そして入ってからも、意外なほどフツー。そんなにきれいでもなければ、目を見張る造りをしているわけでもない。有名な海を飛ぶ(泳ぐ)ペンギンを見るチューブ状通路も、5mもないかなあ。水槽も傷だらけで汚れてるし。展示説明版も手書き。
それでも、見ていて飽きない。ライオン、トラ、黒ヒョウ、オオカミにエゾジカ、オランウータン、チンパンジー……そして白クマにアザラシ。じゅんじゅんに回るが、一つ一つは、立派な施設でもない。だが、徐々に仕掛けがわかってきた。
見学者にすっと寄ってきた飼育員が、さりげなく生態を説明する。そして隠し事をするように
「ペンギンの散歩見た? あれ、見学者が多くて見づらいでしょう。実は、別の時間にもっと近くで見られるポイントがあるんだ。しかも、一緒に歩けるよ」
私にではなく、若い女性に言うのが本当ぽい(笑)。
実際、その時間に聞いた現場に行くと、
おお、人気がないところをペンギンが歩きだした!
まっ、すぐに人がたかりだしたが。
それでも、これくらい近くで見られる。
最後は、こんな感じ。
またオランウータンのコーナーには、こんな展示があった。
ようするに研修生の体験談の発表。なんだか小中学校の作文みたいである(^^;)。ほかにも、一生懸命さを伝える仕掛けがある。それは、足りない設備を補うために、必死で頭を絞った結果だろう。そして動物好きには伝わるポイントを押さえている。
おそらく、現在観光バスを連ねて訪れる客の中には、大アトラクションが見られると思っていて、がっかりして帰る人もいるのではないか。「えらく人気だと聞いてやってきたのに、この程度かよ」と思っている人は少なくないはずだ。ただし、そうした人は、実は動物に興味がないのであり、単なるハヤリモノに手を出したがる人種である。(もっとも、そうした人は、内心がっかりしても、今どき人気の施設を見たことに価値を感じるから、案外喜んでいるのかもしれない。)
これは、案外高度な地域づくり戦略かもしれない。客を選ぶわけだから、いつまで現在の来園者数を保てるかわからない。それにスタッフの工夫次第、アイデア勝負だから、気を緩めると、すぐにぼろが出る。プレッシャーもあるだろう。
しかし、今目の前にある資源を最大限に活かすという点では、地に足のついた戦略だ。
同時に、ここを視察しても、アイデアの出せる人材がいないと上手くいかないという点でもシビアである。真似て水槽設置しただけではダメだよ。
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3回ほど行ったことありますが、何度行っても飽きない動物園ですね。
ただ、オランウータンの係の方が「オランウータンの森を守るために、割り箸をやめてマイ箸を使いましょう」と言ってたのには萎えました。
投稿: kao | 2009/02/24 07:19
あはは、20年前の誤った情報をいまだに使っているとは、付け刃の勉強ですねえ。
こちらも突っ込んで、職員を訓練するつもりを持った方がよいかも。
私も、学生時代にオランウータンを見たくてボルネオのジャングルを歩いた口ですから、言いたいことは一杯あります。
投稿: 田中淳夫 | 2009/02/24 12:09