『森を歩く』裏話2
実は、「森林療法」をテーマに本を書かないか、という提案は今回が初めてではなかった。
そもそも私が森林療法なるものを知ったのは、2001年くらいだったと思うし、02年には雑誌の記事にして、03年に出版した『里山再生』にも一章を割いて紹介している。その数年後だと思うから04年?05年?に、この部分を膨らませて本を作らないか、という提案があったのである。
実際、私も少し動いた。現状を確認して、企画書づくりもやってみた。
……で、やる気をなくした(笑)。
理由はいくつかある。まず。森林療法は、現・東京農大の上原巌准教授が研究をしていたものが唯一無二の状態だが、その研究内容を紹介するだけなら、私の出番はない。彼自身が書くのがもっとも適している(事実、その後彼はものすごい勢いで何冊もの本を出版し始めた)。
一方で、林野庁が森林療法に目をつけて動きだした頃だったのだが、それがイマイチ怪しげだった(^^;)。森林セラピーと名を変えて研究会が作られていたが、何をしているのか、したいのか、現在進行形ゆえつかめなかった。
かといって、森林療法以外に「クナイプ療法」やら「森の幼稚園」とか「園芸療法」まで絡めて動きをルポしたって、読者は面白がるように思えない。絵空事の提灯記事も書きたくない。
また未完成のものを紹介するのもどうかと思う。実践しているところが、全国にほぼない状態だからである。
そんなわけで、投げ出してしまい、幻の企画になったのである。
そうした下地があった上で、角川SSコミュニケーションズを訪れて、新たに企画を提案されたわけだ。今回は、ある程度企画を固まっていて、その執筆者として私に白羽の矢?を立ててくれた形になる。
これまで出版された類似書のほとんどは、一般出版社というより林業関係団体やその周辺組織から出されていて、書き手も内部、つまり上原さんを始めとる森林療法研究をしている人そのものであるが、今回は外部の目で書くこと。
ようやく森林セラピー研究会のやっていることが固まってきて、実施している森林セラピー基地なども全国に誕生し、目に見えるようになってきたこと。
内容的には、森林療法・森林セラピー解説書ではなく、かといってルポでもなく、読者目線の一種のガイド本を意識しているとのこと。
テーマは、森歩きの森林セラピーに絞る。そして全国各地の実施地をルポすること。
そして、だいたい、こうした理由から受けることを決めたのである。その代わり、企画構成は任せてもらうことになった。
それが昨年の6月だったかな。
それから全国10カ所を取材することになったのだが、恐ろしいのは、出版日程が3月と決まっていたことである(笑)。
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