北欧バイオマスエネルギーの裏側
川崎汽船が、ノルウェーの木材ペレット供給会社バイオウッドノルウェイASと、ペレットの原料となる木材チップ輸送の長期契約を結んだというニュースを見つけた。
2010年12月から川崎汽船の木材チップ輸送船2隻で、北米や南米、アフリカなどからチップをノルウェーまで輸送するビジネスだ。年100万トン程度の輸送を見込んでいるという。それで木材ペレットを年間45万トン程度生産し、国内外の電力供給会社に販売する計画を持っているらしい。
ノルウェイを始めとする北欧の国は、バイオマス・エネルギー先進国とされている。とくに木材ペレットによる発電や熱供給が主力だ。林業が盛んで、大量に出る端材をエネルギーに変えるモデルケースになってきた。日本から視察にたくさん行っているはずだ。
だが、上記のニュースは何を意味しているか。
いまやノルウェイは、エネルギー用の木材を自給できなくなっているということだ。
ドイツに作られた巨大な木質バイオディーゼル工場でも、原料を集めるために広くヨーロッパ全域、ロシアからも木材を輸入していると聞いた。輸送距離が延びれば、輸送エネルギーも増え、おそらくCO2排出量も増えるだろう。
このことは、以前から指摘されていた。木質廃棄物を利用する手段としてのバイオマス・エネルギーとしてスタートしたはずなのだが、エネルギーがビジネスとして回転し始めると、もはや増減が難しくなる。安定供給するための材料が必要となるのだ。
そして、チップを輸入する必要が出てくる。同時に国内の林業でも、量産が課題となる。おかげで、いくら「持続的な森林経営」を看板に掲げても、過剰伐採が進んでいる。目先のエネルギー不足の解消のためには、背に腹は替えられない。
また金融危機などで木材需要そのものが細っても、製材等を止められない。製材量を減らすと端材も少なくなり、エネルギー供給が不安定になるからだ。
結果的に、製材や集成材も大量に作られるが、売り先に困ることになる。それらは、極端にダンピングして輸出される。とくに日本に……。かくして国産材の売行き不振は、いよいよ加速する。
さあ、どうする、ニッポン?
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