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森と林業と田舎の本

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2009/04/20

野鳥が減った理由

毎日新聞によると、森林総研の調査で、鳥類の生息域が大幅に減少しているらしい。

国内の森林面積は1970年代から変わらないのに、、林業の停滞で明るく若い森が減って、それを好む鳥が減ったのだというのだ。

なるほど、若い林齢の森林なら日光が林床まで差し込み、草が生えて、その草目当ての昆虫が増える。すると昆虫を餌とする鳥なども増える。逆に林齢が高くなると、日光が地表まで届かないため草などが生えず、鳥獣や昆虫が減る。

現在、森林が伐採されないことで鳥類を含む生態系が狂いだしている……。

この研究に異議を唱えるつもりはないが、疑問が湧かないだろうか。
林業が伐採するのは基本的に人工林。人工林の伐採跡地だって草はよく生えて、昆虫や鳥類を増やしているかもしれないが、少し植生のズレを感じる。それとも天然林の伐採をもっと勧めるべきか。

そして、もう一つ。日本全国に林業地が広がったのは、戦後ではないか。それ以前の伐採は、林業というより薪の採取や焼き畑だった可能性が高い。こちらは雑木林だ。里山と言ってもよい。つまり、鳥類の生息域の減少は、里山崩壊が原因だ。林業に要因を求めるのは、ちょっと無理がある。

それも含めて人為が生物多様性を作ってきたというのなら結構なのだが、では人為のない時代の自然は、元から鳥獣はさして多くなかったことになる。
つまり、人が森林を伐採して生物多様性を増やし、自然を豊かにしたのであり、それは一種のバブルだ。現在はバブルが崩壊して、多様性が落ち着きだした時期に当たる……。だから、あまり悲観的にならなくてもいいのではないか。

こんな理屈をこねたら、世間はどういうだろうなあ(笑)。

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コメント

私は、近代の生態系多様性が低下しているとしたら、最も大きな要因は治水インラ(河川工事)の整備により、河川環境の撹乱が少なくなったことだと考えています。

昔はひと台風来ればそこらじゅう災害でしたが、近年はめっきり頻度が減りました。

斜面中上部の植生というのは、そんなに多様性には影響を与えていないんじゃないかと。

何の根拠もありませんが、治山技師やってた頃の経験に基づく感覚です。

ごめんなさい、訂正です

×治水インラ
○治水インフラ

河川敷環境も、日本では貴重な草地ですね。それが治水という名の流路固定で失われていく。ただ面積的には、山地と比べ物になりません。
どれが、より重要かと計るのは別として、人為による生物多様性への影響をプラスと見るかマイナスと見るかは、もっと検証した方がよい。

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