耕作放棄と、農作物放棄
山梨では、限界集落いっぱいの町を訪れた。
それでも、田畑はよく耕されていた……
農水省が、初めて耕作放棄地の調査を行った。その結果が発表になっているが、全国で約47・4万ヘクタールの放棄地があるそうだ。
そのうち13・5万ヘクタールが、もはや農地とししては使えない原野にもどっているという。すぐにでも農地にもどせる土地は、19万ヘクタールである。残りは、多少の整備をしないと農地にもどらない土地。ようするに3割り近くは、すでに農地ではない。
この3つの区分は、時間軸に並んでいて、どんどん原野が増えていくのは間違いない。これは恐ろしい数字なのだが……実はもっと現実は薄ら寒い。
中山間地では、高齢化した住民が、必死に農地を耕している。だから、まだ放棄地が47万ヘクタールで留まっているとさえ言える。
が、努力して耕して作られた作物……米や野菜はどうなっているだろうか。
そこに住む人たちだけでは消費しきれないのだ。かといって、出荷するほどの量と質を保てない。形や大きさなどを整える調整作業も手間がかかってできない。無理に出荷すると、箱代で赤字になる。
で、作った作物を捨てている。
苦労して作り、肥料代や機械代も費やして作った作物を捨てている。
それでも耕すのは、農地を農地のままに保ちたいという「尊厳」みたいなものだ。
それをおかしいと笑えない。なぜなら、林業でやっている切り捨て間伐がまさにそうだからだ。林業の方が、もっと大規模にやっている。なにしろ補助金つぎ込んで捨てているのだから。これって、産業廃棄物か。
先日、聞いた話。なんと昨年度の経済対策で、中山間地で耕した農家には補助金が出るようになったそうだ。もちろん米も。片や減反を強要して、その代わりに補助金を渡し、その陰で(自給用に?)耕した農地には補助金を出す。こういうのは、マッチポンプとさえ言わない。
こちらは笑える。
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太陽電池を棚田に並べて発電すればいいんじゃね?と思う訳ですよ。補助金つけるなら名称を「ほ場整備」じゃなくて「太陽光発電」にしたほうが世間受けがいい。
投稿: なまえ | 2009/04/08 16:00
棚田で太陽光発電ですか? 何もしないよりマシかもしれませんが、あんまり土地の有効利用にはならないような……。むしろ草が生えて電池面を覆うといけないなど管理が大変そうな気がします。
それに発電した電気をどこで使うのか……。町まで送電するのもロスが多そう。
太陽光電池は、都会のビルの屋上に任せておきたいなあ。
投稿: 田中淳夫 | 2009/04/08 22:09
スマート・グリッドですかね。自家発電して、電力を電力会社に買い取らせるんだったか~
ITを電力に応用するような話だったと。
電力の供給側と需要側を網の目のように結びつけるような戦略?構想だったような。
投稿: katrinatrxxs | 2009/04/10 20:52