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森と林業と田舎の本

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2009/05/20

木材利用推進法案

自民党が「木材利用推進法案」が議員立法として国会に提出したらしい。

地球温暖化防止や地域活性化を目的としているようだが、「国全体で木材利用を積極的に推進する体制を構築」するために基本理念や施策を定めるものだという。

項目を並べてみると、

(1)国と地方公共団体による木材の耐久性などの研究と国民への周知、利用に関する技術開発の支援

(2)利用促進のために建築基準法の見直しや緩和

(3)木材を利用した住宅や学校、ガードレールなどへの支援

(4)木質バイオマスへの利用やエネルギー利用への支援

ふ~ん、といった気分。わかったような、わからない内容だ。正直言って、いずれも今更……と思ってしまう。というのも、すでに各自治体では行われている内容ではないか。

たとえば(3)は、すでに各地で行われている。

1_2

これは、高知県で見かけた木のガードレール。これは四万十条例によって作られたという。ほかにも、鳥取県も進んでいたし、各地にある。ただ、ガードレールにもいろいろな規制があって、なかなか広がらない。

これを国道に設置することができるようになる? でも、そうした具体的な法律ではなさそうだ。

また木の学校は、秋田県能代市で進んでいるそうだし、先進事例は数多い。

私は法律論についてよくわからないが、基本理念というものは、法律で定めるものなのだろうか。考えてみれば憲法もそうだが、その憲法は解釈次第で180度違う行為が可能になる。だったら、木材利用推進も、解釈次第で……と思ってしまう。

具体的な施策を推進するためには、何よりも規制緩和だろう。現状では、いくらアイデアが出てきても、それを実行するまでにがんじがらめの規制に苦しめられ力尽きてしまうことが多い。

ところで今度は、自民党に「電力・森林連携事業促進議員連盟」(太田誠一会長)がこのほど、発足したとか。

未利用森林資源の回収、搬出コストの課題に対して、電力エネルギー代替需要を創出する制度化へ取り組むことでなんとかして、資源の有効利用とともに国際的なバイオマス戦略につなげようという考えのようだ。

自民党も、林業関係の議連を作ったり法案を作ったりと、少しは森に目を向けだしたようであるが、素人の思いつきに終わらせぬように。

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林業・林産業」カテゴリの記事

コメント

田中様
ご無沙汰しております。

「緑の産業再生プロジェクト」、「木材利用推進法案」、「首都圏近郊のスギの年100万本」含めて互いに相乗効果がでるという設計がなされていないように思います。緊急対策なのだからと言う言い訳は、通用しません。なぜ、場当たり的な尻切れトンボの国策になるのでしょうか?
山の人も製材所の人も建築の人も、行政の人もみんな明確なビジョンを持たないで各々で立場でしか話ができないからでしょうか。

(ブレーンがそれぞれ意見が違うからでしょうか)

これらの国策が始まるなら、どこかで上手くリンクさせながら、良い方向へ進めるのは至難の業になると思います。

トータルコーディネーターが欲しいと願うのは私だけでしょうか。

言い訳にしか聞こえませんが、行政の立場からコメントさせていただきます。


彼らの気持ちを慮るに、単純に言って「面倒くさい」
これに尽きると思います。

「直ぐに結論を出せ」と上司に言われ、担当者としては、机の上から電話を頼りに狭い世間から世の中全体を想像してみて、その結果が『お金で物事を解決する』という結論。

実務担当者当人には「悪気」がないだけに個人攻撃的には攻められませんけれど、(自分の意のままにならない)他の業界の人との調整は、自分の意見が通らないから(極力)接触を持ちたくない。

そう思っている節が、某林○庁にはあるみたいです。

個人的には、包括行政の大切さについて研修してあげたい、そう思う今日この頃です。

実は、もっとも短視眼であって、長期的視野に立てないのが、官僚であり政治家である……と感じています。なぜなら、自分の任期は数年だから。政治家だって選挙があります。
先日お会いした元農水省職員も、辞めて起業したことで、長期的な展望を持ったそうです。

個別には善意もあれば全体を見通す洞察力がある人もいることがわかりますが、それをまとめあげる点でつまづきます。基本的に、意見の違う人を熱意で説得するなんてこと恥ずかしいし、面倒と感じている人が多いように感じる。

前日の「農協の大罪」を読んでもわかりますが、がんじがらめの体制がそれを後押しします。
現在の石破農水大臣は、近来の大臣の中では出色の農政展望を持っている人と私は思っていますが、それでも新しいことは何もできない。「減反を選択性に」と発言しただけで、袋叩き(^^;)。

 市町村の職員です。
 県職員と相談して、森林組合と打ち合わせして、土木業者に情報を流して、測量業者と展開を模索しつつ、やる気のある林家と対応を検討、上司と策を練って、木材業者に相談、手入れを放棄しつつある山林の対応を検討しながら路網をイメージする。何か木材を利用してもらえる策を考えながら、キャスティングをイメージ・・・。県内や県外のアドバイスをしてくれそうな方に具体策を相談する。コンサルにも電話する。そんな中に、メーカーから提案の電話や面談のアポが入ってくる。そんな日々です。
 今までにアイデアやネタ仕込み、林家との話し合いをこなせていれば、こんなに苦労することはない、なんて今になって反省している自分がいます。
 田中さんや海杉さんやTHE RIGHTSTUFFさんのブログに学んだことやコメントでご指導いただいたことを実践できていれば・・・。
 実際、かなり手こずっています。レールまで行かなくても多少出来ていれば、全額補助金などと言うまれなことで手を打てたような気がします。今まで、サボっていた人たちは全く手が打てないような気がします。私の町はどうかな。
 このようなメニュー、制度自体にもびっくりしていますが、動けていた場所にとっていは本当にもらっていいの?という内容ですね。動けていなかった場所にとっては???????かもしれません。事務手間に原が立つだけかも。
 

林業家として、林業家に辛口コメントを


『全体を見渡す洞察力』
それが出来てれば、今の国有林の不甲斐なさは無かったでしょう。
『トータルコーディネイト』
どうぞご自由に。。。

でも、どうか私を巻き込まないでください。。。

私たちは、その時々の政策の中で利用できるものを利用させてもらいます。
ただ、多くの林業家は、努力不足だと思います。

『情報が入ってこない!』
--自分で探す努力をしてますか?--
『行政は何もしてくれない!』
--あなたは行政に対して何かしてますか?--

待ってるだけで、誰かが助けてくれると思ったら大間違い。

自分で考えて、探して、動いて。。。
利用できるものがあれば利用すれば良いんじゃないでしょうか?
それをすることすら億劫だといわれるのなら。。。

林業なんて辞めてしまったほうが良いのかも・・・ね(笑)

人の悪口を言う前に、自分の怠慢を罵りましょう(汗)

意外なほど盛況で……(笑)。

もちろん基本は林業家個人が努力するものでしょうね。でも、専業林家がほとんどいない状況では、林業経営に熱が入らないのかもしれません。
そして、本来のコーディネイト役は、政治家の仕事ではないか……と思います。それを役人に投げてしまっている。

そんな中で、景気対策という錦の御旗で林業界にも、お金と事業アイデアが投入されるんですが、結局バラバラになってしまう……。

林野庁が5月22日に、山村再生支援センターを立ち上げました。ご存知かもしれませんが、以下にURLを示しますので、ご覧下さい。

http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/keikaku/090522.html

すみませんでした、正しいURLです。

http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/keikaku/090522.html

山村支援は、林野庁の仕事の一部なのかもしれないけれど、それを前面に出してきたのは最近でしょうね。
林業という産業の立て直しと真正面から向かうより、こちらの方が夢があります(笑)。

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