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2009/05/24

バラ農家のカーボン・オフセット

生駒山が、バラの産地であることを知っている人は多くあるまい。

奈良側の平群町にはバラの温室栽培を行っている。何も園芸でバラの庭園を作っているのではなく、切り花として出荷しているのだ。年間250万本を出荷する堂々たるバラの産地なのである。

ここでは約100種類ものバラを20棟ばかりの温室で栽培している。加温して年中出荷できるのが強みだ。

ところが、昨年、一昨年からの石油の高騰で、経営が苦しくなった。重油の値段がウナギのぼりになったからだ。温室栽培は、暖房など温度管理が生命線である。

そこで考えたのが、電気によるヒートポンプ式冷暖房に切り替えること。電気代は、重油代よりは安くすむ。そこで1基何百万円もの電気ヒートポンプに替えたのである。

すると、金融危機以後の石油価格の暴落で、また安くなってしまった……。

ところが、そこに神風的アイデアが生れた。それがカーボンオフセットだ。重油を燃やすより、ヒートポンプはCO2の排出が少ない。電気だって重油による火力発電だろうけど、効率が違うし、直接熱を発生させるのではないからだ。

ここにカーボン・オフセットの可能性が出てきた。排出を減らしたCO2を売ることができるのだ。電力会社は、CO2排出削減ノルマがある。自前の削減だけでは限度があるから、他者から買い取ることでカバーしようとしている。そこで減少したCO2量を金銭換算でバックしてくれるわけである。

しかも、電力会社側からすれば、ヒートポンプを導入して電気を新たに買ってもらえるお得意様にもなってもらったわけだから、売上が上がる。一方的に金を払うわけではない。カーボン・オフセットの取引は、たいした出費ではないのだ。

これでバラ農家は、出費増を抑えることができた。なかなかのアイデアである。

こうしたアイデアは、林業界にも応用してほしいものである。

重機をみんな電気自動車にするとか(^o^)。それはさすがに無理か。
だが毎年太る木の蓄積量を測定して公表するくらいの努力は必要だろう。施業も工夫して、無駄な作業を減らす。それは森林認証の取得にもつながるはずだ。伐り捨ての間伐材(腐って、CO2をまき散らす)を減らして、どれほど有効な木材製品にして世間に販売したかという指標があってもいいのではないか。

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森林学・モノローグ」カテゴリの記事

コメント

またもや切捨間伐が悪者になってますね(^_^;)
切捨て間伐にも長所が有りますが、それを言い訳がましく論ずることは今はやめます。

で、お尋ねしたいのは、どのようにすれば捨てることなく間伐をしていくことが出来るのでしょう?

年間100ha程度の切捨間伐をしてる林業家の悩みです。

理想論でない、現実可能な(業として成り立つ)反論コメントが欲しいのです。
業として成り立つのであれば、どんどん取り入れて行きたいのです。

よろしくお願いします。

(コメント欄でお願いするのも筋違いだけど。。。(^_^;)

伐り捨て間伐をなくすのは、一にも二にも商品開発するしかないですね。
少なくても過去の吉野は、植え付け後10年くらいからの材はみんな利用していました。

これは一林業家の問題というより業界上げての取組でないと難しいですが、少なくても建築家や工務店と組んで搬出できるだけの価格で売れる間伐材商品づくりを考えるべきだと思います。
たとえば直系5㎝くらいの材なら、オシャレな外装材に向いていると思うんですが。

ちなみに間伐率は30%以上にしないと、やっても効果が出ないと林学的な研究結果が出ていますが、そんな伐り捨て間伐も多いのではないでしょうか。

切り捨て間伐という言葉が、悪者ですが、田中さんがおっしゃるように商品開発すればいいのですがマーケットが未成熟ではないでしょうか?

それよりも、実現性の高いのがバイオマス源として利用する事ではないでしょうか? 燃料として利用するのが一番だと思います。関西電力でも、火力発電に国産のバイオマスを利用したいのだが量的に獲得するのが困難と聞いています。山から出てこないのだそうです!

それで、林野庁が運営しだした山村再生支援センター制度を利用してどこかの会社とどかの山村が手をつないで、切り捨て間伐された木材をバイオマスとして利用するシステムをどこかで開発しませんか?

それを商売にしたいと目論んでいる方もいますよ。

田中さん、杉翁さん、コメントありがとうございます。
ですが、あえて反論させていただきます。

田中さま
過去の吉野林業では、10年生以上の間伐材を搬出しても十分ペイできたからでは無いでしょうか?
人が担いで2本出せば一日の日当が出た時代と今を比較するのはいかがなものでしょう?

次に、一林業家すらも取り組めないような事柄では業界は取り組まないでしょう。
切り捨てられている間伐材は搬出に多大な費用がかかる場所に有るものであったり、曲がっていたり細すぎたりと基本的に建材に不向きな立木です。

そこで使えそうな、例えられている5cmのインテリア外装材。
自らの経験で概算を計算してみたところ約250000円/坪
1haから出材される木材量1.5m2
(計算因子は省かせてもらいます。)
経費的に可能かどうか、工務店に訪ねてみます。
放置材的には焼け石に水でしょうけど。。

そして、現在では間伐率は30%が標準となっていますが
これとて「施業後15年くらいは間伐をしなくても。」と言う条件での結果では無いでしょうか?
業として林業をするのであれば、20年生までに不良木の沙汰。
のち30年生から5年おきに20%利用間伐を3回。
以後10~15年置きに10%程度の間伐を主伐まで繰り返すのが理想だと思っています。
この理想をこなすには、好条件の立地と300m/ha程度の路網は必要でしょう。

杉翁さま
私どもの所にも電力会社から問い合わせが有りました。
火力発電に混在して利用したい。とのことでした。
設定単価は工場着で4000円/m3

電力会社は絶対量を集めるのが「困難」だと言ったのではなくて
自らの希望する価格で必要量を集めることが「困難」だと言ったのでは無いでしょうか?
この価格では主伐時に出た「端材」を集めるのが関の山でしょう。

色々と反論させていただきましたが
確かに「切り捨て間伐」はむごい。
なんとか利用して、山主さんに還元できないだろうか?
と、現場を見て回っていつも思います。

ですが、今の林業界の現状や放置された森林の状態では、ベストでは無いかもしれませんがベターな方法だと思っています。

「切り捨て間伐」反対を叫ばれるなら
それを回避する方法を伝授してください。
現実的なヒントをください。


山主・林業家・事業体を含めた川上から、建築家・工務店などの川下までを巻き込んで試してみたいと思います。

よろしくお願いします。

た~さんへ。
私が例に挙げた「10年ぐらいの小間伐材も商品化した」吉野林業は、戦後の一時期の木材価格が高騰した時を指摘したのではありません。主に江戸時代から戦前です。戦後の吉野は話になりません(-_-)。

間伐材を活かす最大の壁は、コストと商品の価格です。コストダウンにも限度があるでしょうから、ここでは触れないとして、問題は商品価格です。
たとえば磨き丸太は、本来なら間伐材利用の商品でした。でも、価格は太い主伐材より高くできた。
そうした商品開発をできないか、と考えています。そのためにも建築家や工務店と連携して、高く買い取ってもらえる(家一軒の価格の中で吸収できる)方法を模索しなければならないと思います。
十分に林業を知り、能力のある建築家なら、コストを含めた価格設定をした商品を作れるはずです。

こうした意見・提案は、これまでもしてきましたが、結果的に自分で動くのがイヤな人が多くて何ら新しい動きにつながりませんでした。
た~さんは、さっそく工務店に相談してみるとおっしゃいましたから、期待しています。数ある建築関係者の中には、必ず一緒に汗をかいてくれる人が見つかると思うのです。

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