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2009/05/16

続・中国資本が山林買収?

さて、今回の「中国資本が……」の報道を読むとわかるのは、報道側も、登場するバイヤー、つまり中国資本の意を受けて買収できる山林を探している人々も、基本的に山林や林業について素人っぽいことだ。

林業の現状については勉強した後が伺えるものもあるが、どうも山林土地を平地の通常の不動産と同じように考えている様子がある。

だが、現実の山林土地事情を俯瞰すると、買収しようにも境界線の確定さえできていないところが多いし、所有者の名義も100年前に亡くなった爺さんのまま、しかも小規模多人数の所有者が入り組んでいて、さらに地元の権利関係もややこしくて……と、まったくうんざりするような手続きが後に控えている。

そして売買価格を算定しようにも、立木の価値を読むのは、かなり難しい。森林を伐採するにも、誰が手がけるのか、搬出はどうしてするのか、コストを考えると頭が痛くなる。
もし水資源を狙うなら、どれほどの埋蔵量? があるのか、水質はどうか……というのはその筋のプロでないと無理だろう。

そして林業にしろ、水掘削にしろ、資源量や輸送法などを検討すると、とてもコストが引き合わないことはすぐわかる。

中国資本の正体も、不明だ。中国政府の息のかかった団体なのか、純然たる民営企業(そんなのが共産・中国にあるのか?)なのか。

中国人のビジネスでよく指摘されるのは、彼らは短期的な利潤を追求することだ。何年か先に利益を生み出すまで育てようとせず、今が大事。すぐ転売して儲けるとか、今ある資産をすぐに金に替えることを狙う。

その点からすると、日本の育成林業も、水ビジネスも、あまり中国人に向いていないだろう。

もしかして、中国資本は日本のバイヤーに騙されているんじゃないの? と思わないでもない。

これまで日本の様々な企業やビジネスマンが中国に騙されて痛い目にあってきたが、今回は意趣返しを企て、彼らに「日本の山林は美味しいよ」という餌をまいて、一杯食わせようとしている……いう仮説を立ててみた。

たしかに中国は木材や水を欲しがっている。しかも、金融危機の前までは泡銭や持っていた。そこに「木材も水もたっぷり眠っている日本の森林は底値で買い時」という話をちらつかせて、だまし取ろうとしているのではないか?

そこまで壮大な国際的陰謀(^^;)を築けるバイヤーが日本にいるかどうか……これこそ妄想だろうか。

そこまで行かずとも、「日本の山林を買って大儲け」を思い付いた中国資本の手先となって、自分もまったく山林事情を知らない業者が、手当たり次第に山間部に出かけて声をかけている可能性はあるのではないか。

もしかしたら、幾重にもバイヤーが間に入っていて、首尾よく山林の売り手を見つけて、中国資本の手に渡した業者もいるかもしれない。たとえば競売にかかった土地などは、わりと簡単に手に入る。

が、結局は持て余して、何ら利潤をあげることもできず、転売も難しく、中国人の不在地主が多数大面積生れるかもしれない。これこそ、最大の危機である。

もし林野庁なり国土交通省なりが、今回の事象を問題とするなら、中国資本のどうのと小さいこといわず、山林の不在地主対策に取り組むべきだろう。国内でも、まったく森林整備や経営に興味を見せず、土地を眠らせている所有者は多い。彼らこそ、日本の山を荒らす大きな要因だ。

中国資本だからと沸き立つのではなく、広く森林所有の権利と義務を問い直すような構想はできないか。
たとえば、ちゃんと経営したり保全に務める所有者には助成金をたっぷり渡して利得を保証する。逆に荒れたまま放置しているような所有者には、環境破壊者の烙印を押して森林保有税をかける。イヤなら売却するか公的機関に委託させることで、森林の集約化を押し進める。

中国資本の山林買収を逆手にとって、そんな国際的陰謀を仕掛けられないだろうか。

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コメント

食品でさえ汚染する民族に売るぐらいなら、もっと農林業や自然保護に対する間口広げ緩和すれば良いのでは?そこで森林インストラクターや林業家(屋)や就農者なども養成すればよい。

 考えてみれば上水道の施設は山林にはありませんね。地下水脈の集まってくる地点が多いと思います。山間部は大体簡易水道。場合によっては、安定供給できない場所もあります。
 で、中国バイヤーの狙いは二酸化炭素でしょうか?。これならこれで国に対策してもらう必要があるかも。
 少し怖いと思うのは、条件のいいとこを安くで手に入れ皆伐するって手法かもしれません…

最初は、木材資源を狙っているのではないかと疑い、それが無理そうなので、次は水資源狙いではないかと疑っている、という構図が浮かびます。
さらに、CO2の排出権取引狙いだとか、バイオマスエネルギー狙いという声もありますよ。
でも、未だルールも制度も技術も伴わない現状からすると、相当長期保有を考えないといけない。果たして、中国はそれほど長期視野があるのか?

原野商法だったりして

http://www.jacom.or.jp/ronsetsu/jiron/jiron01/01031801.html

狙われるのは、山林だけではないですよ。
商標、特許、技術、ん~金融資産(?)etc.
外資系企業も増えましたし、日本の株式を誰が
所有しているか考えると複雑ですね。
ただ、山林の売買市場があってもいいと思いますが売国と言われかねないw

単純に考えて、日本の安い水源地山林を買いつけてそれを高く売りつけようとしているのか、逆に林野庁が中国資本が買い付けているという噂を広げて、国民の関心を喚起して林野庁が必要だということを印象づけているのか、わかりませんが、
中国資本であるということは本当でしょうか?

ダミー会社によるバイオマスエネルギー確保のための切り捨て間伐材狙いかも知れませんね。

確かに東京財団の報告書には1ヘクタールの山林が55万円と書いてありました。そうすると、トヨタ自動車(株)が三重の諸戸林業から購入した1000ヘクタールというのは、50億円?程度ですかね?

中国に土地を買われる、というところに過敏になっている様子がありますね。日本を浸食しようとしているのではないか……という意識。
だったら、アメリカの土地買収規制も考えないとね。

山林の価格は、場所によってはもっと下がっています。1ha20万円くらいも普通じゃないかな。私も買おうと思ったもの(笑)。
でも、その正確な算定が難しい。

林政ニュースにも記事出てました。田中先生の言っておられる3年前の大台町のケース以外はガセネタっぽいようですね。このニュースと同じ時期に、林業・森林白書の閣議決定ってのを新聞記事で見かけました。ロシア材関税引上げに伴う国産材へのシフトって書いてあったと思います。来年本当にロシア材の関税が80%になるかは知りませんが、こっちの方が中国が脅威になると思うのですが…ま、今回の件はナショナリズムの香りのみを残して消えていくのでしょうかね~。

ロシアの関税80%は、本当は今年からだったのだけど、金融危機で1年、鶴(プーチン)の一声で延期になりました。でも、こんな調子ではまた、鶴の一声で値上げする可能性がある。

きもあれら、早くも「中国人騒動」は収束しそうですね。

>買収しようにも境界線の確定さえできていないところが多いし、所有者の名義も100年前に亡くなった爺さんのまま、しかも小規模多人数の所有者が入り組んでいて、さらに地元の権利関係もややこしくて……<

100年間遺産相続されていなければ、固定資産税が払われないわけで。とっくに国が没収してるでしょう?
境界線の確定も登記上では済んでいるはずですよね?
私有地に関して「地元の権利関係もややこしくて」って具体的になんですか?

 新年を迎えました。今年もよろしくお願いします。
 固定資産税は、土地の名義人が死亡していても納税管理人が納税している場合があります。大規模所有者で、相続がもめた場合で、時間が経つと法定相続人数が鼠算式に増え(大規模土地所有者は子供がたくさんいたり、予想外の相続人や遺言があったりして上手くいかない場合もある)、さらに収拾がつかなくなっていて、とりあえず誰かが納税管理をしている場合がある。また、土地と上ものの所有権が異なったり、親戚通しで分収契約があったり、契約満了時に想定価値を大きく割っていたりしてさらに収集がつかなくなっていることもある。
 また、小規模土地所有者の場合、山村は不動産価値が低くて、家屋を含んでも、課税標準額が課税額(確か30万円)に届かなくて、固定資産税がかかっていなくて全く自分の試算を掌握できていない人もいる(最近は名寄せが配布されるが、固定資産税がかかっていない人には届かない)。
 地域の事情としては、かつての入会山林があり、それを個人に分割したりしているが、実質は入会であるという意識があったりして、もめているところもあるし、そこを県や市町村で分収していたりする事例もあります。昔の大地主が小作人に自分の山林をエネルギー(薪)収集場所として開放していて、薪や炭、椎茸原木として共同で使用している例もあり、以前はこれが売買の妨げになっていることもありました。以前世話になった小作人に木を使っていたのでしょう。土地を離れる時に、そこだけ残している元大山主もいたりします。大規模山主が破産しても、それを換金整理することが出来ない場合もありますね。現在の貨幣経済価値では、山自体に価値がなくなっている状況ですから・・・。三重県の大規模山主の例は、特別な場合でしょうね。100ヘクタール程度の場合は特に中途半端になる可能性が高いですし、山林の位置がまとまっているのはごくわずかで、山火事による全滅するリスクを分散するために、山の位置を分散したりしている例もあります。
 また、借金のかたに取得した山林があったりして、山林がまとまって存在していることの方が珍しいのではないでしょうか。(昔は金貸しをやっていた人も多い。ただし、それは悪いことではなく、人を雇用したり、ゆうりに山林を売却したりして土地の人の生活に後見している場合が多い)
 最も、登記上の境界線が現場にあっていれば問題は少ないのでしょうが、合っているところは、近年の国土調査終了山林だけだと思います。さてどれくらい終了しているのでしょうか。
 長くなりましたが、そんな例がありますので、コメントしました。

>固定資産税は、土地の名義人が死亡していても納税管理人が納税している場合があります。大規模所有者で、相続がもめた場合で、時間が経つと法定相続人数が鼠算式に増え

鼠算式に増えるなんてありえません。
ちゃんと法的処置を講じれば、一定期限内に申し出ないと権利放棄となりますし。
納税管理人が納税するのも近いうちに相続する前提での話し。100年もボランティアで納税する馬鹿がどこにいますか。


>昔の大地主が小作人に自分の山林をエネルギー(薪)収集場所として開放していて、薪や炭、椎茸原木として共同で使用している例もあり

私有地なんだから、今後は出入り禁止で一件落着でしょ。なんでもめるんですか?

>最も、登記上の境界線が現場にあっていれば問題は少ないのでしょうが、合っているところは、近年の国土調査終了山林だけだと思います。

それって山林に限らない話でしょ。なぜ山林の話でそれを強調する必要があるんですか。
しかも、元の文章の終わりには「イヤなら売却するか公的機関に委託させることで、森林の集約化を押し進める。」と売却ができることになっている。前半の売却は難しいという話は自ら否定しているようです。

 そうでしたか。私の不見識でした。でも、このような例があることは例外かもしれませんがあることはあります。私が承知している範囲の話でした。一般的な例ではなかったのかもしれませんね。国内である程度共通的なこととして、例外でないことを検証してからコメントしますね。

新年早々、盛り上がっていますね、店主のいない間に(笑)。

佐武信さん。山林の所有問題に興味を持っていただくのはありがたいことです。
ただ山林は、通常の土地とはかなり違います。たとえば縄延びといって、登記上の面積と実勢の面積は、ほとんど3、4倍もの差があるのは当たり前だし、共有地が多く、所有権が複雑です。私有地であっても、勝手に立入禁止なんかできませんよ。ある種、法の概念の外にある、といってもよいくらい。
ぜひ、一度調べてみてください。驚異の世界が広がります(笑)。

なんか、こわいですよね。
買収されて、利益目的で、日本の森林の水が採掘されすぎたり、開発されすぎたら、日本は中国の今の壊れ汚れた山地や自然の身の前になってしまいそう。

日本の森林は、自然環境やCO2問題で日本にとって重要ですし、貴重な動植物も生育しているし。。買収しただけで放置していては、貴重な動植物にとっても、里にすむ人にとってもよい環境は保てないです。
きちんと管理している、里山のような環境(ここにも多くの絶滅が危惧される動植物がいる)を維持できるように、買収後も水の利用限界量や、開発の限界をきめる制度をすぐにつくるべきでは?

中国の企業家のみならず、買収して水をたくさん売って利益を得ようとするならば、その責任として、環境や現地に住む人たちへに配慮をおこたるべきではないと思います。
そのような制度もつくるべきではないでしょうか?

目先に利益だけもとめていれば、水で争うのはめに見えているはず、争えば、ビジネスどころではなくなるでしょう。
助け合いの精神が結果的に自らを救うことに気がついてほしいです。

う~ん。この記事は、今から2年近く前に記したものですね。

私は、中国の山林買収なんて怖くない、と主張しているんですよ。水目的なんてこともあり得ないと。

ぜひ、最近の記事も読んでください。

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