「伐り捨て間伐」の取材
昨日、下呂まで行きながら日帰りした理由の一つは、今日の午後に取材が入っていたから。私が取材するのではない、某新聞社の人が私を取材しに来るのである。
で、テーマは「伐り捨て間伐」。
私は、このテーマを聞いて興味を持った。これまで環境問題を扱う中で、森林から林業に興味を移し、さらに間伐に注目する記者も現れている。が、たいていは間伐推進!なのである。
だが、現実の間伐は、伐り捨て間伐が横行している。いや、伐り捨てこそ間伐のこと、という認識さえ広がっているかのようだ。私は、それに異議を唱えてきたつもりだが、あまり影響はなさそうだ。だから「伐り捨て間伐」について聞きたいといわれたら、協力しないわけにはいきません(笑)。
で、今まで話していた。どうやら伐り捨て間伐の現場も見てきたようだ。あれを見て、間伐推進をいう気力は減退しただろう。
話は、林業の根本と現状から説明したが、何より林野庁や森林組合の説明に騙されないように、というのが主眼である(笑)。その点、伝わっただろうか。
間伐は、木材生産と林地の生態を考えた上での技術なのであって、国際的な取引による二酸化炭素吸収源を増やすために行うものではない。ましてや、林地に死屍累々と伐られた丸太を捨てておいて、これが環境をよくする仕事です、なんて言ってもらいたくない。その木々は、腐って二酸化炭素の発生源になっているだろう。そして先祖が多くの汗と莫大な経費を負担しつつ夢を描いて植えた木を無為にしているのだ。
そんなことに国民の血税を補助金としてジャブジャブつぎ込んで、それで目先の数値目標を達成したと喜ぶ次元の低さを改めてもらいたい。
今回の取材は、すぐに記事にするというのではなくて、大きな特集の中の勉強という位置づけのようだ。記者も、森林組合のやる気のなさは感じたようだし(^^;)、今後の進歩に期待したい。
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田中淳夫さんも暴れてますね。嬉しく思います。実は私も「ゆ&り」で「坂本龍一さんをもだました林業」というタイトルで5月5日にアップしています。坂本龍一さんの団体「モアトゥリーズ」で北海道の間伐を進めるというのです。
なぜ?坂本龍一さんもだまされてしまったのでしょうか?とても簡単です。「モアトゥリーズ」が自治体と協定を結んだのです。公務員と森林組合の餌食となりました。
私としましては間伐は助成金で今までと同じように進めて、坂本龍一さんには間伐材の活用路線の開発にかかわっていただきたいと思います。坂本龍一ブランドの間伐材商品、もちろん「地球温暖化防止にも繋がります」的なキャッチコピーもあっても良いかと思います。
林業が下手なのは商品を開発する事です。伐る事も植える事も得意ですが売る事は下手なのです。原木(丸太)は林業の売り手が価格を付けるのではなく、買手(製材製紙業者、ブローカー)が買値を付けるのです。市に出される事もなく、買い手の言い値で原木を売るのです。業界としてのレベルの低さが悲しいです。林業はそれを変えようともしないのですから。山師がいなくなった現在では、価格は叩かれっぱなしです。
田中淳夫さんの言う「間伐絶対促進」には私も反対です。切り捨てのないような間伐が進めばと思います。坂本龍一さんにも目覚めていただければと思います。切り捨てして腐ったら二酸化炭素になるのです。
投稿: 山中慎一朗 | 2009/05/08 20:13
そうなのです、林業人のもっとも不得意なのが、販売とか営業です。ついでに新商品開発も苦手です。
その点は幾度も指摘しているのですが、木材が商品に加工されると、管轄が林業でなくなるらしく、手を出しません。本当は、林野庁が木造住宅の販売促進まで口を出すべきなのに。経産省や国土交通省に睨まれるのが怖いのでしょう。
一方で、市民を騙すのは得意(^^;)。林業不振を外材のせいにしたり、地形のせいにして、見事騙してしまった。市民も、ダムが必要という説明にはすぐかみつくくせに、間伐が必要という言葉にはホイホイ信じて従っちゃう。
投稿: 田中淳夫 | 2009/05/08 21:44
林野庁の弱さには私もつくづく悲しくなります。というより総務省、経産省、国交省がなぜこれまで強気なのかがわかりません。国をつぶしている省庁がどこなのでしょうか?お金がたくさん動いているところなおかと思います。
いい加減にして欲しいです。林野庁がんばれ!農林水産省がんばれ!ついでに北海道林務課もがんばれ!
投稿: 山中慎一朗 | 2009/05/08 22:08
そうですね、批判ばかりせず、エールも送らないと(笑)。よく現状をわかっている人もいるんですが、なぜそれが政策、施策に活かされないのか。いや、長官のことですが。
投稿: 田中淳夫 | 2009/05/09 09:19