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2009/06/25

ペレットは木材の有効利用か

セブンイレブンの売れ残り弁当(食材)を、安売りするか廃棄するかで公正取引委員会から独占禁止法に基づく排除措置命令を受け、ようやく加盟店の安売りをさせまいとした本部にストップがかかった。

この問題で腹が立つのは、「店のブランドイメージを守りたい」と言って、売れ残りは廃棄させようという発想である。一方で、販売機会の喪失(チャンス・ロス)にならないように、常に多めに仕入れさせようとしている。つまり、食材を一定割合で食べずに廃棄させることをビジネスに折り込んでいることだ。

自社のみの利益を得るために、地球環境を持ち出すまでもなく、もったいない精神のかけらもないことを露呈したと思う。

そこで持ち出される言い訳が、「リサイクル」だ。食材は何も全部捨てているわけではない、すでに半分近くを堆肥にして農地に返しています、という。そして、この比率をもっと高める努力をします……。

が、食材を堆肥にしたら、それは有効利用なのか。加工する際に出る野菜クズなどなら、まあそう言えなくもないだろう。野菜クズはほかに用途が浮かばない。が、ちゃんと人様が食べられる料理としての弁当なりおにぎりを堆肥にすることが正しいのか。そもそも堆肥の価格は食材に比べて極めて安く、それだけでは赤字だろう。処理費の代わりとして、それでも赤字の分は、売れた弁当などの価格に上乗せさせているのは間違いない。

食材は、畑なり牧場、あるいは漁で獲ったものを、ちゃんと食べることが基本である。その食べ残しや加工屑の再利用として堆肥などがあるべきだ。

こんなことをグダグダ書いているのは、木材でも同じことが行われているからだ。まず林地に伐り捨てしていることがある。が、それだけではない。林地残材を木質ペレットにするというのも、これに当たる。
まったく利用していない木材を、コスト(エネルギー)をかけて山から出し、木材として使う前に燃料として燃やすのは、リサイクルではなくて、直に最終廃棄につなげている。それも価格が高くて経営的に引き合うならともかく、大赤字で補助金(税金)を投入して帳尻合わせているだけだ。

必要なのは、木材を加工する際に出る端材・おが屑などをペレットにすることだ。あるいは建築廃材を利用することだ(ただし、建築廃材をペレット材料にすることを日本燃焼機器検査協会は認めていないらしい)。これならリサイクルにもなるし、廃棄物の有効利用である。そうすることによって、一本の木をあますことなく利用したことになる。また製造コストも安く済むから、経営的に引き合う。

どうしても最初からペレットにしかならないような木だというのなら、その木質ペレットを別の用途に使うことを考えてほしい。猫砂でも何でもいい。そして、猫のおしっこがしみこんだペレット廃棄物を燃料にしていただきたい(^o^)。燃えないかなあ。ペレットも崩れてぐずぐずになっているだろうが。

木質ペレットだけの問題ではないが、カスケード利用とかリサイクルの本来の意味を忘れて、コストも考えずに単に利用するだけでは「もったいない」。

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