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2009/06/30

ペレットに希望を託す理由

森田稲子のブログ」で、私の木質ペレット批判に対して反論が行われている。

さっそく私も再反論……という展開になってるが、ここで考えてみたいのは、なぜ木質ペレットにそんなに入れ込むのか、という点である。

もともと前世紀の末頃から(といってもたかだか10年ほど前だが)、バイオマス・エネルギーという考え方が登場した。これはヨーロッパで進んでいた木材発電・熱供給(コジェネレーション)などの動きが輸入されたと言えるだろう。

実際、私も『伐って燃やせば「森は守れる」』で、木質のエネルギー利用について紹介している。その後、カーボン・オフセットなどで理論武装も進み、国も「バイオマス・ニッポン」構想も打ち出し、広がっていく。私も、それらに反対ではない。私が批判しているのも、木質ペレット全体ではなく、林地残材によるペレットと言ってよい。

が、そのバイオマス・エネルギーのアイテムとして、木質ペレットが紹介されるや否や、多くの市民が「熱狂」してしまうのである。数々のNPOが木質ペレットに取り組み、シンポジウムが開催されたり、普及活動を自主的に行った。
森林組合などもペレット工場を建設した。ペレットストーブも輸入したり、国産開発が行われて、さらにペレットの配送や通信販売を行う会社も登場した。それが運動か、ビジネスかはさておき、実に多くの民間が木質ペレットに未来を描いたのである。
山元も、木質ペレットそのものに対してどう思っているのかはっきりしないが、少なくても木が売れない! と悩んでいるところにバイオマス燃料としての木材の用途が示されたことで、林業復興の一縷の希望を抱いたのだろう。

木質ペレットそのものだって欧米から輸入された発想なのだが、これまで木質バイオマスと言えば、薪か木炭くらいしか思い付かなかったところに、ペレット化というのは、かなり斬新に思えたのだろうか。輸送や貯蔵に便利、自動供給も可能などの利点に飛びついたように感じる。政府が、バイオマスに注目した流れからペレットに目をつけるのなら理解できるが、なぜ一般市民までが木質ペレットに入れ込むのだろうか。

その理由の一つに、扱いやすさがある。また巨大産業ではなく、身の丈にあった活動が可能という点もあるようだ。

たしかに、薪や木炭といった古典的?木質バイオマスは、火付けも大変だし、維持管理もちょっと技術がいる。一酸化炭素の発生の心配もしなければならない。これを趣味のレベル以上に普及させるのは大変だろう。
一方で、それまで木材発電と言えば、製材工場の端材・廃材をそのまま燃やすボイラーか、製紙工場の黒液(木材よりパルプを作る際に出るリグニンなどベンゼン系の液状物質。よく燃える)による燃焼が中心だった。こちらには巨大プラントが欠かせず、市民団体には手が出ない。

だが、ペレットなら、簡単な機械があれば作れる! 製造や販売、宣伝の役目を担える。
そして自分も、地球温暖化防止の一角に参加できる。林業復興の一助ができる。林地に残る伐り捨て間伐の残骸を救う手だてになる。

そんな思いが、今も木質ペレットを推進する原動力になっているのではなかろうか。

ただ、バイオマス・エネルギー、そして木質ペレットに入れ込んで勉強を始めた多くの人は、徐々に暗くなる。どうやったってコストが引き合わない。そして気候や人口配置から考えても日本では売れないことに気づいたからだ。
さらに欧米に視察に行って、あちらでは林地残材を搬出するのに、ほとんどコストもかからず(作業道網が整備済み)、端材・廃材を使った木質バイオマスが作られている現実に向き合う。林地残材は無料で、ましてや林業と違った次元で考えられていることを知って、いよいよ意気消沈する。バイオマスは林業ではなく、資源エネルギー問題なのである。

近年、国のバイオマス・エネルギーの趨勢は、バイオ・エタノールの方に向かっている。エタノールという液体燃料にしたら、ガソリン供給などで形成された既存のインフラがほとんどそのまま利用できる。自動車もスタンドも、わずかな改造で済む。木質のエタノール化はまだ未完の技術だが、将来的には木質ペレットより期待できるだろう。

が、市民団体は、あまり入れ込まないのである。なぜなら、エタノール化には、それなりの規模のプラントが必要で、弱小の市民団体には手が出ないからだ。せいぜい天ぷら油のバイオ・ディーゼル化くらいに留まる。

そろそろ名誉ある撤退を考えたらどうだろう。もともと木材のエネルギー利用とは、薪利用のように地域内で小規模に行うか、巨大プラントによる端材・廃材処理で行うものだ。あるいは国家規模で研究してエタノール化を実現するか。ペレットも、廃物を活かすつもりで利用法を考えれば、十分に価値がある。

だが、決して木質ペレットは林業の救世主にはならないのだ

林地残材を、「ペレットくらいしか加工できない」なんて頭を硬くせず、それこそ女子大生の協力も得て、高付加価値でどんどん消費される木材商品を生み出す方が、よほど市民が取り組む林業復興になると思うが、いかがだろうか。

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コメント

あと、バイオエタノールだと消費先が「車」で、市民団体としてはあまり積極的に後押ししたくない存在だから、という面もあるんじゃないでしょうか。天麩羅油のガソリンも、自家用車じゃなくて軽トラだったりバスだったり、という辺りにある種の「気配り」を感じるんですが。

おっしゃるとおりですね。
木質バイオマスなんて、エネルギーの無駄使いです。

それよりも、魚梁瀬の馬路村が開発した杉のバッグ、モナッコ?のような今までにない斬新なアイデアで、高い付加価値のある商品を開発する努力を山元側がして来なかった点が一番の問題点です。

生活者の視点がない訳です。新しい時代を生きている女子大生は、その点で最高のソフトです。
このソフトを活用して、世界に通用する新しい木材ファションを開発して、世界に向けて宣伝しましょう!!

夢は大きく、行動は緻密に、そしてアイデアは斬新にいきましょう!!!

近頃は、バイオエタノール自体も、萎んできた感がありますが……結局、技術がまだ追いついていないからでしょうか。素人が出を出せる領域ではない。

馬路村が開発したブランドは、モナッカですね(^^;)。あれは超高付加価値です。ただ木を使う量が少なすぎるかなあ。

盛り上がってますね。
エコエコアザラク、ご苦労さま、です。笑。

森田氏のブログを読んできましたが、
とても専門誌を主幹しているとは思えない情緒論。
市民団体のエコ運動って、精神論だから、
相手すると、すぐ感情論になるから大変ですよね。


エネルギー収支を考えれば
まったくエコじゃないじゃん、、、、と
いうのが胆ですね。

それに対して、森田さんが
反証できるエビデンスださない限り
些末的な感情論しか出てこないでしょう。

環境面でも意味ないし、林業振興面でも、木質ペレットが果たす役割はほとんどないですねえ。

それにしても、ペレットを話題にすると、盛り上がるのはなぜ?

リンク先のブログ見ました。木材や森林がからむとどうしても理屈よりも情が優先されてしまうんですねえ。

こんばんは

一消費者の立場からの意見としては、木質ペレットを燃料として使うには、魅力が足りません。
理由は様々ありますが、薪ストーブの様な”情緒性”が無いんですよね。(笑)
妻の意見も、「煮炊き出来ないなら、石油ファンヒーターで十分」だそうです。実際にペレット・ストーブを導入・運用されている方の意見も、「煮炊きできない(もしくは能力不足)」ってのは多いですから。
それに都市部では、集合住宅に住んでる割合が高くなるから、それも普及の足枷(給排気管の設置)になりますしね。

ただ、「燃料」の呪縛から離れられれば、木質ペレットの将来は、さして悲観すべきものでも無いかなと。
あ、これも田中さんが提唱されていますね。

田中さんへ

あまり木質ペレット推進者に異論を唱えても、向こうはやりたいだけなので、理論的に無駄だと言われても感情的になるだけですから、放置するのが一番です。

それよりも、もっと有効な木の使い方をこちらでドンドン提案しましょう。
そうすれば、向こうも乗ってくるでしょうから。
先方は補助金が出るので取り組んでいる側面もありますからね(笑)

ここでは圧倒的不人気のペレットですが・・・、これは面白くてイイですよ。
http://www.groovetrip.jp/kirinkun/

一般消費者に使ってもらうには、買いたくなるような商品開発をするか、トータルコストが安くなるか、どちらかじゃないとダメでしょうね。あ、木材と一緒か。

今年のエルミアウッド林業機械展では、ペレット商品の展示は1ブースだけでした。最近の北欧の住宅は、地熱を利用した床暖の普及が進んでるみたいです。

きりん君かあ……これは逆転の発想ですね。
暖房用として考えると、「煮炊きできない」という不満が出るけど、最初からバーベキューグリルとして使えばいいんだ! 燃料費は、木炭とどちらが高いだろう。火付きはよさそう。
環境なんて持ち出さずに、新手のアウトドア商品として広げるべきですね。

移動式の木質ペレット製造機(めちゃ遅いらしい)を使って、参加料とってペレット製造ツアーをやれば面白いと思う。早い話ゴミ集めw
林地残材を収集運搬持込で単価千円補助一万という話がお役人から。
エコビジネスは儲かるかも。
おれはやらんけど。。。

きりん君、いいですね。
この値段なら、一般の消費者が買えますね。
アウトドアでも使えそうなので、一度試してみたいです。

でも、こんな商品はこのブログで初めて見ました!
あまり、知られていませんよ!!

もっと量販店でも取り扱うといいのになあ!!

燃料は別に木質ペレットでなくても、何でもいいのがいいですね。
ところで、kaoさん
うまくバーベキュウ、出来ますか?

おっととっと、間違いました!
キリン君の取り扱い説明書を読んだら、木質ペレットをお使いください、と明記されていました。
燃料は何でもいい訳ではありませんでした。
木質ペレットで、バーベキューとはエコですな。
アウトドアは、現在今ひとつ流行ではなくなりつつありますが、こんな変な形のストーブでバーベーキューしている方は見た事ない?

七輪で焼き肉をしている方を見た事はありますが。
皆さん、いかがですか?

気がついたのは、ペレットは炭ではないから煙が出ることですね。だからきりん君、長い首の煙突が必要なのか。
その点を嫌がらないというのが条件かな。

木材発電・熱供給(コジェネレーション)のことですが、内燃料発電とのコストの差はどれぐらいあるのでしょう。
内燃料発電は、よく離島で使われています。大型の原子力発電や火力発電に比べると、相当コストが高いはずです。
佐渡などある程度の大きさで森林のある離島の発電設備を木材発電・熱供給(コジェネレーション)に切り替えて、地元の雇用と所得、森林の手入れ促進に使うためには、どれぐらいの補助が必要なのでしょうね?

コストの差ですか……。どうでしょ。ちゃんと分析した数値あるのかな。とくに燃料となる木材をどのように手に入れるかが重要でしょうね。製材所などの隣に発電所があるなら安くなる。
コジェネの場合は、エネルギー効率が理論的には8割まで行くというから、全部利用できる環境にあるのなら、コストも抑えられると思います。また雇用まで含めたコストパフォーマンスとして捉えたら、案外悪くないんじゃないかと。

バイオエタノールの酵素について
研究している岐阜の大学の教授が
先日報道ステーションに
出ていましたが、
コスト面で合うのであれば、
既存のインフラを利用できるという点で
圧倒的に木質バイオエタノールが
有効だと思います。

ただし、バイオエタノールということであれば、
間伐材といったもったいないものを使うよりは
製材の端材・建築廃材・シュレッダーダスト
といったものを最終利用すべきなのでは。

まずは、間伐材を工業原料として
利用するための方策を考えるのが先かと思います。

木材からエタノールを効率よく作る技術は、数年後には実用化すると信じています。それをコスト面で引き合うようにするには、さらに時間が必要かもしれませんが、そうなればバイオマス・エネルギーの本丸になるでしょうね。

そして、その原材料も、山から搬出した木材をそのまま使うのではなく、いったん別の利用を行った後の、廃材や端材・おが屑をエタノール化するのが本筋であるべきですね。

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