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2009/06/16

「ご近所の底力」で、棚田は守れるか?

なんでか6月14日の昼間に放送されたNHKの「ご近所の底力 ふるさとの棚田よよみがえれ」という番組。わざわざ録画して見た。

ようするに、ほとんど限界集落(この言葉、使っていいのだろうか)になった、宮崎県日南市の酒元集落の棚田をいかに守るか、というのがテーマだ。ここの棚田は日本の棚田百選にも選ばれた美しい石垣の棚田が広がるそうだ。ちなみに、この集落は、すでに棚田オーナー制度なども展開しているが、それさえも維持するのが難しくなっている。

内容は、探したらNHKのホームページに詳しく載っていたので、参考にしてください。
http://www.nhk.or.jp/gokinjo/backnumber/090614.html

提案された棚田を守る手法は、2つ。

一つ目は、農業に興味のある学生にボランティアとして来てもらうこと。これで日常の農作業をこなす。学生にとっては、教室では学べない現場の農業や地域の勉強になるから、希望者は少なくない。この事例は、鳥取県の人材学生バンクが行っている。

2つ目は、ヨソモノではなく、集落の子弟を呼び返すためのイベントを行い、年に何回か帰省を促すこと。Uターンまで結びつくかもしれない方法だ。この事例は、熊本県水俣市の久木野集落の愛林館が行っている。具体的には、「家庭料理大集合!」とか「シシ鍋マラソン」「棚田の灯り祭り」など。都会で暮らしつつも、故郷に帰る機会を作るのだ。

なるほど。……とは思ったが、実は、この2つの事例は、私はすでに取材済だ(^o^)。

だから、こうした手法の可能性は感じつつも、運営の大変さも知っている。やはり、キーマンがいないとできない。

学生人材パンクのボランティア登録は800人を越えるそうだが、それだけの学生を集めるのはあまくない。農学部のある大学が地元にあることも重要だ。
愛林館は、その筋では有名(笑)。こちらも頑張っておられる。そもそも、一つの集落の地域づくりのために愛林館なる組織を作らせたことが出色なのだが、立ち上げた人材の能力にかかっている。

個人的な人材に頼らず、自治体などが取り組まねばならない面も多いだろう。

また、目先の維持は何とかしても、棚田地域の経済力を高めて若者が生活を送れるようにしないと、Uターンしたくてもできない。住民がいなくなれば、ボランティアも呼びようがない。だから、こうした手法を第一段階として、次のステップを考えておく覚悟がいる。

Uターンや、あるいはIターンが可能になる仕組みや、彼らの知識・ネットワークを活かしてほしい。

重い課題だ。

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地域・田舎暮らし」カテゴリの記事

コメント

ご無沙汰しております。宮崎のKOKOさんに教えてもらい、見に来ました。さすがに、よくわかっとられるなーと感心して読みました。

私の活動では、第1点の「即戦力のボランティアに来てもらう」の方が得意なのですが、今回はそちらは鳥取に譲ることになりました。第2点は「全国的に見て私が相当やっています」という自信はありません。一応、そういうねらいもあってのイベントですが。。。

番組の中で日南の皆さんが愛林館の例にあんまり乗って来なかったのは、私は一般の住民とは違う立場というのがよくわかっていたからでしょう。スタジオにいた方々は、愛林館に研修においでになったことのある方もいましたし、棚田サミットでお会いした方もいました。仕事としてむらおこしに取り組める私と、住民同士が生活の合間を見て何とかしようと考えている日南の皆さんとでは、イベントを始めるにしても精神的な負担は全然違うことと思います。

次のステップはもちろん簡単な解決法はなくて、頭が痛いです。私としては、森林や棚田の公益的機能に対して少しカネが来るような制度を作り、それでUターンの呼び水にしたいところです。財源は現在の産業政策としての補助金を廃止するくらいでしょうか。

愛林館の沢畑さん本人がお出ましですか(笑)。
この番組、録画してまで見たのは、愛林館からのメールのためです(^o^)。

たしかに愛林館の活動としては、即戦力募集の方が強いでしょうね。
でも学生人材バンクも、田中玄洋クンの努力の賜物です。学生集めも大変だけど、彼らの興味を引くアルバイトや一般イベント情報も集めないといけない。学生を送り込むのも、勝手に行っておいで、とはいかないから、事前に挨拶の仕方から研修する……。

村おこしの人材に関しては、総務省だったか、村落支援員制度を使って専従を置けないのかな。
次のステップも、集落内だけの問題ではなく、都会との連携がないと厳しいでしょうね……。

おはようございます。
私も見ていました。
 学生人材バンクの事は以前にもどこかで見ました。
人手不足の農家にとってもいいシステムですね。
 熊本県水俣市の案は楽しみながら実家との距離を縮める、まさに妙案だと思いましたが、先々子どもたちが帰ってきたとき、家族を養える地盤はどうなのだろう?と少し不安も残りました。
 やはり仰るとおり、地方だけの問題ではなく国全体の課題として、行政や産業界、都会などとの連携が必要ですね。
 この場に相応しくない素人の稚拙な意見で申し訳ございません。bud

いえいえ、まさに正鵠です。
どんなにUターン、Iターンをする気持ちを育てても、現地で自活できなければ実行不可能ですから。
そのほか子供の教育とかもネックです。

こうした山里が高齢者ばかりになるのは、彼らは年金で生活できるから、ということも一つの理由でしょう。いっそ、「通いの山里維持活動」も視野に入れないといけないかもしれない。

お久しぶりです~~♪
私も日南のこの棚田を手入れされている「やっちみろ会」の方とお友達になり、一昨年見てきました~~☆

達っちゃんクラブのようなイベントもされており、いろいろ教えてもらいました。

また、宮崎へ今年も遊びに行こうと思っています。
(えっと市内の焼鳥屋さんのオーナーさんとお友達になったので♪笑!今度一緒に飲みに行きませんかぁ~~☆)


そう言えば、私も日南市は訪れているのだった。海側の油津でしたが、あそこも町おこしが盛んで、たくさんの人と会いました(^o^)。宮崎は、いろいろ動きがありますよ。

市内の焼鳥屋? どこの市? 宮崎だったら、飲みに行くには遠いよ(笑)。でも、お誘いください。

昨年12月の末に、日南市に「飫肥杉ツアー」で学生5名と出かけたときに、棚田を見て来ました。

私の的外れな意見は、全国の棚田を守るのも大切でしょうが、その前に減反政策を何とか止めてほしい、という事です。
平地の平野の大規模な水田をきちんと利用しないで、ニュースになる中山間地の棚田を取り上げるのは、本末転倒?ではないか、と思うからです。
酒田の棚田は、ウ〜ん!うまく運営されるのでしょうか?大変疑問ですね。

素人の戯言でした。

まさに減反のおかしさは、ここにもあるのです。食糧自給率が低いと憂えながら、農地を耕すなといい、生産性のよい農地よりも棚田に世間の目を集める……。
ここにも、目先の(農協の)損益や、イメージ優先で作る政策の齟齬が出ています。

集落支援員、こちらでもぜひ活用したいと考えています。Uターンの呼び水にはなかなか良い制度かなと。だから、一般論としてはあんまり年寄りを雇わない方がいいでしょうねー。柔軟性のある年寄りならいいですが、役所上がりで柔軟なのはめったにいないです。

他にも、消防団のろくでもない活動(行進の練習とかポンプ操法とか。もちろん、消防団には有意義な活動もあります。)に使う時間と金を森と棚田へ振り向けられたらなあと思います。

>「通いの山里維持活動」

徳野氏が言っているのはまさしくこういうことで、近所の都市在住の田舎出身者がちょくちょく帰ってきやすい土壌づくりをしようという感じです。今回の画面に出て来た青年は、今回は取材のために帰ってきていた側面は否定できませんが、稲刈りや田植えにはよく来ていますから、まるっきりの演出でもありません。

この辺は労働力としてもかなり役立っていますね。

>生産性のよい農地よりも棚田に世間の目を集める……。

棚田が注目を集めている今のうちに利用できるものは利用しておきたいというところです。

でも、田中さんのこの意見をあまり突き詰めて、山村と平野の対立になっては得策ではありませんね。私にとっては、対立すべき相手は農地とか森林とかどうでもいいと思っている人々なので、平野の農家とは手を組んで行きたいところです。

集落支援員、どうも役所や農協を上がった人を任命しようとするところが多いんですが、どこか本末転倒ですねえ。「緑の雇用」に、すでに地元で作業班で働いている人を付け替えるケースと似ている……。
単純に、域外の人を支援員にするだけで、地域の人口が一人増える効用があるのに。

「通い」と言うのは、町に住んで、ほぼ無人の山里に通って何らかの維持活動を行うイメージです。そのためにはアクセスの短縮と、維持する価値を明確にしなければいけませんが。

平地農家と対立するというよりは、棚田へと話題を誘導したがる「誰か」を問題にしているのです。

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