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本の紹介

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2009年7月

2009/07/31

書評「自然はそんなにヤワじゃない」

家には、買ったものの読めない本が山になっている。が、それでもまた買ってしまう。それが古書など今買わないと次に見つからないかもしれない本ならともかく、新刊でも手に取ってしまう本もある。

今回の本もその一つ。やはりタイトルに惹かれたということになるだろうか。というのも、このタイトルの言葉は、私が常に考えていたことだからだ。自然を保護? そんなに自然はヤワでもなければ保護されるほどおとなしくもないだろう、と。

新潮選書
自然はそんなにヤワじゃない 誤解だらけの生態系

                  花里孝幸・著 新潮社

著者は、現在信州大学山岳科学総合研究所の教授。主に湖沼の動物プランクトン(ミジンコなど)を研究している。

構成は、4章に分かれる。
第1章の「生物を差別する人間」は、「邪魔者扱いされる雑草」「虫けらはバカものか」「クジラだけがなぜ贔屓される」「嫌われ者のユスリカが人を助ける」「微生物は環境浄化の万能選手ではない」……など。生態系を見る人の視線を問題視している。
私もよく「ホタルの群舞は赤潮と同じ」とかやっていたが、まさに生態系を人間の好みや美醜の感覚で捉えることのおかしさを指摘している。ただ、ここはちょっと飛ばしすぎか? 

第2章の「生物多様性への誤解」。ここは専門のプランクトンを例に、生物多様性の根幹をつく。「汚れた湖の方が生物多様性が多い」「洪水が架線の生物多様性を上げる」など、私がこれまで書いてきたことを、ちゃんと具体例や理論面から説明し直した感があり、私も気持ちよい(^o^)。この例は、私も使えるな。
生態系ピラミッドの上位生物を駆除した方が多様性が増したり、存在量も増えるのだ。そして自然界には、中小規模の攪乱(破壊)が必要なのである。

第3章の「人間によってつくられる生態系」。ここでは生物の生存戦略として、繁殖力が高く新しい環境にすぐに適応するr-戦略と、少なく生んで大切に育てるK-戦略が紹介される。前者は昆虫や小魚などで、後者は人間に代表される大型生物。そして「温暖化で増える生物もいる」「人間の攪乱を喜ぶ生物」「人間が生態系を変えた後」など。
まさにプランクトン学者が生命体の生態系を語った真骨頂だ。私が以前から考察してきたことを、きれいにまとめてくれたような気がしてうれしかった(^o^) 我田引水か?

第4章は「生態系は誰のためにあるのか」として、人間が作った生態系で成り立っている現在社会を描く。水田はあきらかに人が作ったものだが、そこに棲む動植物を保全しようという動きがある。が、一方で人が関与することへの忌避感も拭いがたくある。まさに「水田の我田引水」なのである。そして「里山は人間と自然のせめぎあい」「生態系は人類のために」と、強引に引っ張っていく。
内容は概ね同意だが、ここはちょっと飛ばしすぎ。もっとじっくり書けば説得力が増したのに。まあ、私もよくやってしまうけどね(^^;)。

自分の研究している専門分野では圧倒的な説得力があるのに、それを大きな分野に広げると、「そういう書き方すると反発買うのに」というところが出てしまうなあ。まあ、私なんぞは、すべて自分で研究した分野じゃないので、いつでもやってしまうけどね(^^;)。

ともあれ、里山の存在する生態的な位置づけや、人間が自然に対して持つべき視点をよく指摘している。satoyamaの生物多様性社会と持続的開発の意義を世界に広げようとしているなら、まずここにあるような理論武装はすべきだろう。

そして里山だけでなく、林業や農業など自然への関与度の高い産業のあるべき姿までつなげることのできる1冊である。

サイドバーに掲載。

2009/07/30

焚火の缶詰

まだ蚕を追いかけた旅の疲れが取れない……。

で、こんな話題提供にしておきます。

毎日新聞によると、「たき火の缶詰」という商品が開発されたそうだ。

岐阜県中津川市の加子母森林組合と、東白川村の木工加工会社「ライフフォーレスト」が共同開発したもの。

どんな缶詰かというと、一斗缶の中に、ヒノキのおがくずなどを固めた燃料「まきちゃん」5キロと、火付け用のかんな屑、それに鍋と蓋、マッチ、軍手、火挟みが入っている。これに火を点けると、だいたい2~3時間燃えるそうだ。また別売りの追加燃料もある。
これで暖をとれるとともに、煮炊きもできる。缶詰には、ちゃんと空気穴があり、そのままたき火を行える仕組みだそうだ。重さ約8キロ。1缶2980円(送料別)。詳しい使用説明書も付いている。

ようするに災害時の非常用燃料セットである。おが屑をいかに売るかという点から開発したそうだが、一つ一つは何のことはない品だが、セットにすることで至れり尽くせりのたき火セットになる(^○^)。

こうした商品をマジメに考え、開発し、販売したことに、この森林組合の頭の柔軟さを感じる。明後日の、女子大生開発会議でも、こうした発想に負けないよう期待したいものである。

災害時の避難先に指定されている役場や学校などに常備しておくよう営業をかけるのも面白いかもしれない。が、いっそのことたき火をしたくても、なかなか機会のない都会派アウトドア愛好家に売りつけるのもよいかもよ。

2009/07/29

帰宅しました

長野~群馬、シルクを求めて300里……の旅から帰りました。

蚕の臭いが身体に染みついた気がする3日間でした。

ああ、疲れた。ナンか写真を張り付けようかと思ったけれど、それもする元気がない。ともあれ、帰還です。

2009/07/28

ご神木

ご神木
長野県上田市の科野大宮には、元禄5年に枯死したご神木を保存していた。
三百年もの間、腐らせずに残したのだから、たいしたものである。

2009/07/27

座繰り

座繰り
長野県岡谷市に来ている。ここは数少ない国内の製糸工場の一つ宮坂製糸所。蚕の繭から糸を繰り出す現場だ。
女工?の指さばきは魔術師のよう。無から有を生み出すがごとし。

2009/07/26

セミナーつづき。

昨日、今日とセミナーつづき。

それも昨日は里山について地元生駒市で行ったのだが、本日は森林管理セミナー。こちらは私は講師兼スタッフ?の状態で、手作りで会場設営から行った。

内容についてはまたの機会にするが、どちらも参加者はアラカンが多い印象がある。つまり還暦前後のリタイヤ組?である。

里山については、仕事から離れて森林ボランティア的なことをしたい人。
森林管理については、山林を持っている(相続など)が、どのように扱ったらいいかわからない人が、対象。

前者は自分は山林を持っていない。そこでいの一番の質問は、他人の土地である森林にとうして手をつけたらいいか、である。
後者は、自分の土地の確定に悩む人。なんだか裏表の関係だ(笑)。

実は、どちらも多いのだ。森に手を出してレジャー的保全活動? をするか、自ら森林を購入かレンタルしてもいいから遊び場にしたいと思っている人もたくさんいるし、森林を持っているけど、どうしてよいのか持て余している人も少なくない。

本当は、両者をマッチングするのが一番よい。

後者のセミナーでも質問があったが、いくら小面積の山林を売りたいと言っても買い手をどうしたら見つけたらよいのか。ここは、インターネットに両者マッチングサイトを作ると、人気を呼ぶかもしれんぞ。ネットの山林ブローカーである。

早くも、新ビジネスネタを見つけた(^○^)。

森林管理セミナーの様子。1

2009/07/25

病院特別室の天井

父が病院内で引っ越しをしたのだが、いろいろあって特別病室入り。

それがすごいのだ。もちろん一人部屋だが、なんたって畳敷き(^o^)。そして木調家具があり、冷蔵庫も洗面台も付いている。ベッドだって木製だ。窓の外には緑も見えるし。

いやあ、私も見舞いに行ってくつろげる(^○^)。寝っころがれるぞ。

そして驚いたのが,天井だ。

Photo こんな感じ。

ここも木調である。

ただし、よく見ると、印刷であった……。

それでも木目はみんな違うし、木目の盛り上がりもある。触ると(わざわざベッドの上に立って、天井を触った)ほんのり柔らかい。おそらく樹脂製だろうが、よくできている。

こんな偽木材が出回るようでは、真性の木材製品が売れなくなるはずだ。

ただ、これまでの無味乾燥な白い壁(でも、染みがある)と、金属製ベッドに家具、カーテンだけの病室とは雲泥の差。

何も差額ベッドだからよいという次元ではない。あきらかに病人の心によい影響を与えるのではないか。

そこで考えた。

木製の内装を病院に売り込めないか。患者の気持ちをよくして病気が早く治るというデータでも付けたら、人気を呼びそうな気がする。

ただし、高いと差額ベッドにしか使われない。簡単・安価であることが重要だ。この際、合板でもよいから、自然素材を病室に使うことが重要だ。

ちなみに、父の病室には特別料金を払っていない。今回はたまたま。だから、いつ追い出されるかわからない(^o^)。

トラックバック削除

最近、あまりにも邪悪な(^^;)トラックバックが多い。まったく関係ないものから、あきらかに営業のものまで。海外からも増えている。なんだか、その手の業者に拙ブログがターゲットにされたのかも。

いちいち削除するのも面倒になったので、当面、トラックバックは受け付けないことにします。また近々にアップしたものも、トラックバックできないようにしました。
もともと真っ当なトラックバックは数少なかったので、実害はないと思う。ほとぼりが冷めたころに(あるいは忘れたころに)、また受け付けるように変えましょう。

コメント欄にも邪悪系はたまにありますが、こちらは残しておきます。

2009/07/24

インフォーマルセクター

インフォーマルセクターという言葉をご存じか。

発展途上国を舞台にした主に社会学や経済学用語だと思うが、働く形態が、小規模・自営である世界だ。具体的には露天商や露天の食べ物屋、人力車、洗濯屋のような存在。だから「路地裏の経済学」などと表現される。
日本なら、テキ屋とかフリーマーケットの世界かもしれない。車の移動販売やたこ焼き、焼き芋などのファーストフード屋、あるいは路上弁当屋は、都心部にもある。少し広げれば、個人タクシーとかも入るだろう。

インドネシア経済が堅調だそうだ。この世界的な経済危機の中で、失業者が溢れる国が多いのだが、なぜかインドネシアは強い。その理由として、このインフォーマルセクターの存在が指摘されていた。

つまり、会社勤めなどを首になっても、インフォーマルセクターな職業に吸収されたおかげで、かなりの労働者が救われているのだ。それは社会保証制度が未整備なため、なんとか自分で仕事を作っている状況とも言える。また、そうした働き方を受容する法律や市民社会であることも言える。(生活水準が、食えたらよい、というレベルであることも一つの要因かもしれない。)

もちろん、法的にも市民意識的にも日本でそのまま適用できない(たとえば露天営業などの許認可は厳しく、ほとんど新規参入ができないし、そうした露天店に利用する客もあまり多くは見込めない)が、このインフォーマルセクター的職業をもっと見直すべきではないか。

実は、こうした小規模事業主こそ、次の起業家が育つ場でもあるのだ。その日暮らしでは困るが、新しいサービスや商品を生み出すきっかけになる。

バブル景気の頃は、こうした珍妙な小規模事業がたくさん現れていた。温泉を配達したり、雑誌の宅配レンタルとか洗車請負業、日記を代わりに付けます……なんて、あの人は今的ビジネスがたくさん生み出された。
また今でも、商店街などに「チャレンジド・ショップ」と言って、空き店舗に安い家賃で若者の出店を促す制度を作っている地域がある。そこでビジネスを覚え、成功したら改めて別のちゃんとした店舗をオープンしてもらう仕組みだ。

その手のビジネスを、不況下の今こそ展開できないものか。会社が倒産したり首切りにあった者が、わずかな資金で当面何かを稼ぐ商売を始める、それを支援する組織を作る。フランチャイズに加入することもできないお金のない人向きだ。そこで、ビジネスを覚える意味もある。単なる福祉として失業者を支えるより、その方が社会全体を健全化する気がする。

もちろん、そこで失敗したら、知らないよ(^^;)。チャレンジド・ショップだって、全員が成功するわけじゃないからね。
でも、それはインドネシアのインフォーマルセクターだって同じ。マズい料理を出す露天は、客が入るまい。さらにやる気のない商売では痛い目にあう。

いっそ全国を特区のようにして、新規小規模ビジネスに対して許認可を緩めたらどうか。
もちろん、小規模ビジネスには、農業や林家の商売も入るのだよ。

2009/07/23

Satoyamaイニシアティブ

たまには「思いつき」ではない、硬めの話題も。

Satoyamaイニシアティブ」 というのを、ご存じだろうか。

環境省などが進めているもので、人が関与した2次的自然、いわゆる里地里山の重要性を世界に訴える動きだ。里山の自然の持続的な利用は、生物多様性の保全と両立できるとし、、自然共生社会のモデルになるべきものと位置づけている。
環境省では、国連大学高等研究所と連携して、人と自然が共生する地域社会を実現していくための国際的なパートナーシップとして、来年度に名古屋で開かれるCOP10の場において「Satoyamaイニシアティブ」を提案する予定である。

国際的な枠組みづくりとしてのイニシアティブ構想は、我が国の里地里山に見られるような景観や土地利用における持続可能な自然資源の利用と管理に関する情報を、収集するとともに共有することをめざす。そして世界的に推進されることを期待するという。

すでに日本の里地里山のような二次的自然の重要性については、参加各国から一定の合意が得られた。そして持続的利用の重要なポイントとして、生態系サービスの評価、自然の保全と人間の福利を両立させること、利害関係者の参画などが指摘されている。

今回のイニシアティブは、日本の里山を世界に売り出そうという構想? と理解してよいのだろうか。これまでの自然保護の潮流は、どうしても原生自然に目を向けがちだった。しかし、人類と自然の共存共栄を考えると、里山こそモデルになる。

私は常々、日本の里山は、珍しいほどうまくできた自然だと思っている。人が自然からさまざまな産物や利益を得つつ、自然も生物多様性などをよりよく達成しているのだ。そこには一方が得をすると他者が損をするというゼロサムゲームとは違った構造がある。
しかも何も事前に精緻な設計をしたわけではなく、あくまで人間が農業を通じて手を尽くしてきた結果として、うまく自然と人間の利益がかみ合っている。あえて言えば、自然界の大いなる意志があったかのように。

他の国の自然に、こうした例があることを私は知らない。部分的に東南アジアの田園地帯や農家の果樹林を中心とした共有林・あるいは庭、またイギリスの放牧地を囲むブッシュとかが近いとは思うが、精緻さと地域的広がりでは、日本の里山の方が上だろう。たとえば日本の里山は、森林(雑木林)だけでなく人工林も竹林も包含しているし、農地と森林、草地と水辺゛といったつながりが見える。さらに文化的装置(宗教施設など)も多い。

(もちろん、今後新たな里山的環境の発見報告があることを望む。)

私は、林業地そのものを里山にすべきだと思っている。木材だけでなく、多くの林産物を人工林内で生産し、人間側の利益が増すと同時に、生物多様性が高くなる施業をめざすのだ。それは景観もよくすることにもつながる。森づくりの歴史を文化として前面に出す。それらを全部含めて環境教育の場に人工林を利用する。人工林と天然林の違いが出なくなるかもしれない。

とはいえ、現在の日本の里山が、そんな理想的な状態かどうかは、はなはだ疑問。むしろ森林環境を悪化させ、里山から離れていく人工林が増えているような気がする。

森林の理想化モデルづくりにもイニシアティブを発揮してほしい。

2009/07/22

中本製箸のスギ割り箸

金沢市の中本製箸は、今や日本で最大手の割り箸メーカー。年間2億膳は製造しているそうだ。これは、国産割り箸の何割かを1社で占めていることを意味する。

以前はロシアのエゾマツを材料とした割り箸を作っていたが、3年くらい前から国産材を使いだした。それも、北海道のエゾマツだけでなく、スギ材も扱いだしたのだ。来年度は、8割を国産材にする予定だという。

私も拙著『割り箸はもったいない?』を執筆の際は取材に行きたかったのだが、取材コスト面で断念している。結構、コストパフォーマンスを計算して行った出版だからね(~_~;)。
まあ、その頃は外材による割り箸しか作っていなかったから、国産割り箸と言えずに少し躊躇した面もある。

だが、今は大いに興味を持っている。それは、単に杉箸を作り出したからではない。その製法は、いわゆる背板などの端材を材料にしたスライス式(吉野式)による製造ではないからだ。スギの丸太から作っているのである。

私は、スギ材でもロータリー式で割り箸を作れないかと幾度も提案してきたが、「スギは柔らかくて、ロータリーレースで剥き取ると割れるから無理」と言われ続けてきた。が、スギで合板づくりができるのだから、剥き取るのができないわけはない。さらに北海道では、丸太をスライスする方式の製造法もある。

中本製箸は、ちゃんと技術的に確立したのだ。おかげで機械化も進んで大型マシンで割り箸製造が行われている。材料も、合板メーカーから合板用に仕入れられたスギ材も割り箸に回してもらっているそうである。スギ割り箸をロータリー式で作れるのなら、生産速度も早く、しかも安価にできる。国産割り箸を普及する大きな戦力になるはずだ。

ただし、それでもコストは安い中国製の2倍になるとか。しかし、その程度なら営業努力と流通の工夫次第で吸収できるのではないか。すでに大手外食チェーンで使いだしているらしい。

これが、国産割り箸の本命になる可能性を秘めている。

2009/07/21

08年度の木材自給率

3連休も終わったことだし、話題を林業に(^o^)。

2008年度の木材自給率が発表されている。

林野庁の「平成20年木材需給表」(用材、丸太換算)によると、昨年の木材自給率は24,0%になった。前年より1・4ポイント上昇している。4年連続のアップで、いよいよ自給率が4分の1に近づいた。半分近くがパルプ材のはずだから、実質2分の1と言えるのではないか。
たかだか数年で18%から6ポイントも上がったのだから急進と言ってよいだろう。しかも、注目すべきは木材の総需要量は7797万立方mで、前年より5,3%減少していることだ。

つまり、木材の需要は減ったのに、国産材需要が伸びているのは、実際の国産材消費量の減少が少なかったということである。言い換えると、需要減の多くは外材輸入を減少させて賄い、国産材は踏みとどまった感がある。

もくろん、以前に紹介した東北地方の統計のように、国産材消費量が伸びている状況までは行かないわけで、全体としては国産材も需要減だから、木材市場は冷え込んでいるのだが、マクロに見れば大健闘ではないか。

とはいえ、今後も需要減が続くなら、いつまで現場が持ちこたえるか。あるいは回復期に入った時に、増えた分を全部国産材で賄えるような状況づくりができるか。

ここは目先の変化に追われず、樹木の時間に合わせた対応をしてもらいたい。

2009/07/20

Nスペ「マネー資本主義」

今夜は、NHKスペシャルの「マネー資本主義」の最終回だった。

世界中を巻き込んだ金融危機の正体を解説する5回シリーズだ。ぼんやりと知っていた金融の世界で起きていた事象を、うまく整理して紹介していて、ストンと喉を通ったような気分になる。この10数年、金融の水面下で何がうごめき、モンスターに化けて、やがて破綻したのかわかってくる。硬い内容だが、価値ある番組だ。

と言っても、今夜見たのはゲストに西原理恵子が出るからである(^^;)。残念ながら、あんまりぶっ飛んだ発言はなかったが(止められたかな~)、結構本質を突いている。

それは、お金は麻薬だ、ということである。一度、儲かった経験ができると、止まらない、止められない。損をしても、次取りもどす気持ちになる。本当は「投資はギャンブルだ!」ぐらいの発言をしてほしかったのだが、それは番組上、マズいのだろう。

しかし、ギャンブルは麻薬であり、依存(中毒)症状があるのと同じく、マネーゲームも中毒になるのである。貨幣経済になって以降、世界はマネー依存症になっている。

それでも、コツコツ稼ぐかぎりは、依存症状も小さく、すぐに抜け出せるし、我に返る余裕もあるから、結果的に健全な経済状況を展開できる。しかし「濡れ手に泡」を経験すると、脳内麻薬が発生して、さらに「泡」を求めて手を濡らし続ける。

たとえば補助金を求める手でもある。補助金をもらい続けると、補助金なくして成り立たない身体になる。しかし、補助金は、「泡」である。ものづくりでもなければサービスでもない。天から降ってきたようなもの。
以前、講演で「補助金止めますか、それとも人間止めますか」と口走って顰蹙を買ったが、もはや止められないんだろうなあ。

現在、景気後退をストップさせようと、世界中がジャブジャブ補助金なら補正予算やらをつぎ込んでいるが、いずれも借金なんだから「泡」である。おそらく、再び泡が弾ける時が来るだろう。

金融という実体のないものが弾けた後は、何がどうなるか。通貨自体、たとえばドルが弾けて、世界機軸通貨機能が停止するような、通貨危機に陥るかもしれない……。

そんなことを考えながら、テレビを見ていたのだった。

2009/07/19

ゴルフ・トーナメント

父が入院した。

おかげで昼間はそちらに時間を取られることが増え、仕事は朝か深夜にシフトするようになってきた。と言ってもデスクに座りぱなしもきつい。深夜は、リビングでテレビをつけながら食卓でゲラを広げるようになった。

テレビの音量はギリギリまで下げている。この前は、たまたま付けるとゴルフの全英オープン予選をやっていた。思わず見てしまう。実は、ちゃんとゴルフのトーナメント中継を見るのは今回が初めて。これまでは、ゴルフ場の景色を見たらすぐにチャンネルを変えていた。

今回はなぜ見る気になったのか。一つには、石川遼とタイガーウッズが、同じ組で回っているからだ。これは、それなりにインパクトがあって、ゴルフファンならずとも興味がわく。

そしてもう一つは、今私が校正しているゲラは、ゴルフ場の本のものだからだ。

以前からちょこちょこと紹介しているが、9月に私はゴルフ場の本を出版する。その作業が佳境に入っているのだ。間違われないように繰り返すが、ゴルフの本ではない。ゴルフをやらない私がゴルフを語れるわけがない。あくまでゴルフ場の本だ。ゴルフ場の自然を取り上げているのである。

ゴルフ場の自然はどんな状態か、を論じているゲラを読み返しながら、テレビ画面でゴルフ場を眺めるのは、なかなかオツではないか、と自分なりに決めつけて見始めたのだ。

ところが、環境ビデオ感覚だったのが、結構見ているうちにはまってしまった。石川遼は、なんと13位まで順位を上げ、一方でタイガー・ウッズは35位、41位……と順位を下げる。石川はアンダー1だから、もし1、2度バーディをやれば、一桁順位になれる! 

と思っていたら、あるホールで、強風にあおられ、ドーナツ状バンカーとラフというスゴイ場所で捕まってしまった。そこでダブルボギーをたたいて、その後は完全に調子を崩してあっという間に予選落ち。またタイガーも同じく予選で消えてしまった。

それにしても、このイギリスのコースは難物だ。海に近いコースは日本では珍しいが、そこに生える植生も日本にはない様子だ。だいたい周辺に森林がない。コース間にも樹木がほとんど見えない。そのせいもあって、めちゃくちゃ風もきついし、雨も降っていた。そして、ドーナツ状バンカーも含めて、コースの難易度が私が見てきた日本のゴルフ場とは比べ物にならない。ラフなんぞ、腰近くまで雑草が繁っている。

ゴルフ場の自然を論じても、そもそも日本と外国、とくにヨーロッパはかなり状態が違うようだ。もしかしたら、日本のゴルフ場は、世界でも有数の生物多様性の高いゴルフコースではないか……そう感じた。

というわけで、ゲラも真剣に見ています。誤記のないよう、頑張ります(^^;)。

2009/07/18

おが屑も商品化

木材の価格が下落しているとき、「おが屑の方がよく売れる」という声を聞いた。

以前から、木材の単位は小さくなる(丸太-製材-集成材-合板-パーティクルボード(チップ)-ファイバーボード……)ことを指摘して、将来は木粉が主流になるんじゃないか、と冗談で予言してきた私としては、一歩現実が近づいている(笑)。

実際、おが屑は、いろいろ需要がある。とくに家畜の畜舎に敷く敷き材としては貴重だ。これまでは藁がよく使われたが、藁が手に入りにくくなったうえ、おが屑の方が処理が簡単らしい。さらにキノコの菌床としても利用される。エノキタケやブナシメジなどは購入時にくっついているからよくわかるが、シイタケだって今では菌床シイタケの方が多い。そのほか、農家でも利用するし、オガライト・オガ炭を生産しているところもある。

また、木質ペレットに固める前の木粉を、そのまま燃焼させる方式も模索されている。

だが、おが屑は、製材を行って出るものであり、木材が売れない、製材が行われないと生産されない。そのため製材業が不振だとおが屑は品薄になってしまう。すると価格が高騰する。昔は廃棄物扱いだったのに、今やおが屑の方が価格が高い? と冗談が出るほどだ。

そこで、最初からおが屑を生産することをめざす会社が現れた。

栃木県の小金建設は、製材所などから端材や間伐材を集めて、おが粉を製造する事業に乗り出すそうだ。1000万円かけておが屑製造用機械を設置するという。社員も7人派遣する計画。建設会社の異業種進出の一つである。まあ、農業や林業への進出よりは、本業に近いかもしれない。

ただ、おが屑の販売先は、ペレットの原料などだというから、(^^;)である。まあ、需要があってペイするならいいけどね。来年度に960万円の売り上げをめざすそうだ。

おが屑が、廃物利用から木材の主力商品に変わる日も来るかもしれない。

2009/07/17

山主への道?

オモシロイ話が転がり込んできた。

私に、山林を買わないか、というのだ。場所は生駒山山中。

山主にはなりたい、と以前から言ってきた。さっそく現地を見に行く。と言っても、なかなかどこが現地かわからないのだが。

それでも条件としては、2カ所に分かれていて、合わせると図面上は160坪ほどだという。でも縄伸びするので、実質は4倍の500~600坪くらいはあるのだろう。1カ所は、ハイキング道レベルの道は通っている。横に溜め池があり、それで2つに分断された形か。もう一つはかなりの斜面。

で、金額は?

2つ合わせて100万円でどうだ、と地主はいうそうだ。そんな山林でその値段はあり得ないだろう。もちろん市街化調整区域で開発はできない。国定公園にも指定されている。

そのうち30万円まで下がった(^^;)。地主は、現金がほしいそうだ。本当の山林では、これでもバカ高いが、生駒山の土地柄としてはこんなものか。

が、溜め池まで行ってみると、池の周りに鉄条網の柵がある。そして農家組合の看板。ようするに溜め池の管理と水利権の主張のためなんだろうが、その柵が肝心の土地も囲い込んでいる可能性があった。

それは困る。地主は、登記簿上は自分の土地だから売れる、と言うのだが、それを仮に私が買ったとしても、地元の農家は絶対に譲らないだろう。勝手に柵を撤去したり張り直したら、何が起こるかわからない。勝手に土地の境界線を移動させて奪い取るのは田舎ではよくある話だ(-.-)。

実は、私の親戚名義の生駒山の山林(父にも相続権があるから、未来の私も権利があることになっている。)も、気がつけば勝手に削られていた。山林内に奥の墓地へ行く道があったのだが、気がつけば拡張され、ルートを微妙に変えてこちらの土地を浸食している。おそらく10坪くらいは減っているのではないか。

こちらも正式に異議を出せば、大もめになるだろう。

というわけで、ペンディング。

山主になるチャンスなんだがなあ。

吉野なら、1ヘクタール20万円でもあるよ、と言われているが、遠いからなあ。

さて、山主への道、私はどうなるか(^○^)。

来週の森林管理セミナー(既述)は、そんな境界線確定の話になる。幸い出足好調で、かなりの人数が集まりそうだ。

2009/07/16

マルシェ・プロジェクト

私の地元に、くまがしステーションという名の道の駅がある。

交通の要所でもなければ観光地でもない生駒山麓に道の駅を作って どうする? と思っていたが、意外や大はやり。いつも人で賑わう地域づくりの拠点になっていた。

なぜ人が集まるかと言えば、農産物の直売所を開いたからである。野菜のほか花卉類がいつも並び、それ目当ての人が多い。私も時折足を運ぶが、つい出来の悪い野菜(^^;)まで購入してしまう。

直売事業には、いくつもの利点がある。生産者の顔が見えるとか、生産者が自分で値付けできる、などだが、これは大げさに言えば、これまでの第一次産業の分業体制を否定しかねないものかもしれない。

さて、農林水産省は、今年度から「マルシェ・ジャポン・プロジェクト」をスタートさせるそうだ。マルシェというのは、ようするに直売所を指すらしい。
この農林水産物の直売事業の設立の費用や運営費用を助成する。初年度は運営軽費の全額を助成するという大盤振る舞い。事業主体を今月末に公募する予定だそうだ。

ただ内容を見て行くと、初年度は全国に10カ所くらいで、大都市偏重だ。ようするに、大都市に農・林・水産物の直売所を作って、観光名所ならぬ、買い物名所にする発想のように感じる。客を大都市中心部?に買い物のために足を運ばせるのか。

その点からは、生産者のためというより、大都市への集客装置扱いだ。

以前取材した、東北の辺境地では、蕎麦屋を開いて大成功した。蕎麦目当ての客が年間3万人も集まったという。

そこで、この集客力に期待して今度は農産物を売る大きな販売所を作ったところ、意外や閑古鳥。蕎麦屋からいくらも離れていないのに、客が来てくれない。客はあくまで蕎麦目当てであって、野菜目当てではなかった。観光客は、野菜を買っても持って帰りにくいのだ。

そこで考えたのが、生産者が都市部に出かけること。各地の商店街やスーパーマーケットやイベント会場に営業をかけて、直売所を定期的に開けるようにした。
すると、大賑わい。直売所を儲けたところには集客効果も高まって、誘致されるようになっていた。

やはり野菜など日常のものを買うのは、近所なのだ。お土産にはなりにくい。
生産者側にしても、毎日出張するのは大変だが、いつも違う場所で店を開ける。そして、会場も呼んだ側が用意して運営してくれるから経費も手間もかからない。

直売所とは、こうしたものではないかなあ。国の金で大規模な直売スペースを作るなんて、箱もの行政でしょ。運営を補助金でやったら、コスト意識もなくなるし。
そして、大都市に出荷できるのは近郊農家だけになりかねない。無理に出荷すると輸送コストが膨らんで、売れ残りを出すまいとダンピング合戦。かくして喜ぶのは消費者であって、生産者は赤字……なんてことにならないように。

2009/07/15

高校生の木材商品開発

広島県の府中東高校のインテリア科の生徒による作品展(福山市東桜町の広島県民文化センターふくやま)のニュースが流れていた。8月末まで。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200907140232.html

昨年度までの10年間に3年生が在学中に課題研究で制作した木製家具と遊具など7点を展示しているという。

たとえばステゴサウルスをイメージした骨格模型や、プロペラ機の主翼が台となる机、木琴と一体となったたんすなど。なかなか斬新な発想が満ちている。

少し調べてみると、この高校のインテリア科は、これまでも様々な家具や遊具の作品を発表しているようだ。ラブランコ?とか、ロープが付いて山登りが出来る「お山の大将」、テーブルといすを組み合わせた「ふれんどりぃ~」……。

さらに、児童施設などの備品を作り替える地域貢献授業も行っている。老朽化した家具に替わる新作を生徒が授業で手作りするのだそうだ。

これは、女子大生も負けてはいられません(笑)。向こうは自分で作れる強みはあるが、こちらもなんとか試作品まで持ち込みたいし、もっと売れる実用品を考えたいなあ。

2009/07/14

商品市場の変化を考える

女子大生・木材商品会議に向けての、思考トレーニング

そこで思い出したのが、以前聞いた「市場の移り変わり」論だ。

日本のような先進国の市場は、単にモノの売り買いだけではなくなっている。

ちょうどテレビドラマ「官僚たちの夏」で、昭和30年代の国産自動車やテレビの開発の状況が描かれているが、それも参考になる。

まず、当初は売り手市場だ。ものが足りない状況。発展途上国型と言えるかもしれない。その場合に必要なのは、供給量を増加させることである。
車なら、まず自動車自体を製造して世に出すことが重要だ。輸入することも考えられる。ちゃんと安定供給されることが重要だ。すると、どうしてもほしい人が高くても買う。
実は、木材に関しては、昭和30~40年代がそれに当たる。とにかく木材不足だった。住宅だけでなく、さまざまな建築資材としての木材が求められた。だから外材も輸入したし、国産材も品質無視で供給された。

次に品質競争。当たり前だが、単に自動車、あるいは木材であればいいのではない。さすがに欠陥品はマズいことに気づく。自動車ならちゃんと走ることが重要だ。故障が多くても困る。木材も正確な寸法や強度が求められる。
もちろん自動車はこの点をクリアした。が、現在の国産材市場は、まだこの段階も完全にクリアしていない。

やがて訪れるのが、コスト競争。ちゃんと走る車が、必要量供給されることを前提に、安いものが売れる。木材も同じ品質なら安い方がよい。だから円高で価格がどんどん安くなった外材も喜ばれた。そのうえ品質も輸入商社が検査して確保した。国産材の価格は、その後下落を続けて安くなったが、品質とのバランスで、いまだ足踏みを続けている。

そして、安定供給され、品質も価格も十分になってくると、プラスαが求められてくる。
現在の自動車は、安全性を高めるためABSやエアバックを装備したり、衝突安全ボディを売り物にしている。カーナビ標準装備を掲げるところも現れた。
この点に関しては、木材は出る幕が少ないが、ツルツルに表面をモルダー加工したり、色合い無節、木目などを強調するのは、この一つか。表面の圧密加工とか、防腐剤注入材もある。これは高級材としての分野としてみると、すでに先に進んだ。ある意味、過去の木材市場は、この部分が肥大化してしまったのではないか。一部の林業地は、品質競争を抜きにして、このプラスαに走ってしまった

最後に、成熟市場が訪れると、もはや製品自体の性能では差がつかなくなる。
そこでトータル競争の時代が訪れている。具体的には、企業イメージだ。どんな立派な自動車を安く開発しても、その自動車会社が贈賄事件に絡んだり、派遣切りを率先してやれば、イメージは降下する。社長、社員のモラルも問われる。
だから自動車も、CMでは「家族団欒」とか「スポーティな走り、乗り心地」などを売り出すしかないし、企業も社会貢献を考え出す。環境のことを考えて植林します、なんてのは、その一つだ。
こちらは、木材-林業界にとって何ができるだろうか。もともと森林は環境に密接しているのだから、もっとも売り出したいものなのだが、現実には森林伐採のイメージを持たれてしまった。そこで合法証明を付ける、FSCやSGECなど森林認証制度や木材認証制度で、環境負荷度や品質保証、行われている。トレーサビリティも、その一つだろうか。

さて、この展開の中で、何が求められ、どんな商品が作られるべきだろうか。

2009/07/13

かみえちご山里ファン倶楽部、職員募集

NPO法人かみえちご山里ファン倶楽部から、「職員募集!」の案内が来た。

せっかくだから、この欄で紹介しておこう。募集要項は、以下のホームページより、http://homepage3.nifty.com/kamiechigo/

このNPOが発行した活動記録「未来への卵」の書評を、約1年前に3回にわたって載せた。

http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/2008/05/post_00d8.html
http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/2008/05/post_95be.html
http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/2008/05/post_95be.html
http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/2008/05/post_4608.html

4回でした(~_~;)。

こちらに、このNPOの形についてはかなり触れているが、一つの「限界集落」地域活性化のために、外部の人を受け入れて結成されたNPOなのである。
だから、ここで働くにはかなりの覚悟がいるだろうなあ。いや、覚悟しないで、勢いで飛び込んだ方がいいかもしれない。考えすぎてはいけない。どうせ、現実は違うのだから。

なお、この案内をメールしてきた専務理事は、「日本一のうつ病のNPO」だと書いていた。自分で鬱だという人はあまり信用しないが(^^;)、悩みは深いのだろう。だからこそ、面白い、と思えるかどうか。

ただ、給与は安いよ(^^;)。それが最大の鬱の原因だったりして。それでも、ワーキングプアにはならないはず。食べ物は不自由しなさそうだし、住居も提供される。そして心が豊かになれるから。都会でうだうだ迷っている人、考えてみたら?

2009/07/12

本榧の碁盤

昨年亡くなった叔父の遺品が、実家に届いた。

本榧の碁盤である。

Photo                                              

見ていただきたい。この厚さ、そして柾である。どこを見ても節は見つからなかった。年輪の流れを見ると、この素材となったのは、おそらく直径1mを越える大榧だっただろう。

国内産か、あるいは中国や東南アジアなど外国産かはわからないが、これほどの木はそうない。

なぜか、碁盤といえば、最高級の品は榧の木製である。碁石や将棋の駒を置いた時の音がよいとされる。とはいえ、価格もとてつもない。

試みにインターネットで検索してみると、中国産でも55万円以上、国内産の木によるものなら77万円といった値段が付けられていた。もっとも国内産の本榧の柾目となると、ときとして1000万円を越える値段が付くものもあるという。

遺品には、碁石などもセットになっているから、100万円を越す逸品だとしてしもおかしくない。国内産の場合は、どこそこの榧の木である、という履歴もわかるようだ。

仮に、こんな榧材が、1立米あれば、何百万円になることやら。1本全体だと数千万円もあり得る。もしかして、木材価格としては最高レベルかも。

ただ、こうした碁盤の価値は、稀少性も絡んでいるだろう。こんな木がたくさんあったらいいな、と考えてはいけないのである。

叔父が残した碁盤と碁石などを引き取ってくれと言われて受け取ったのだが、父母も、今は囲碁をしない。私も囲碁には縁がないし、どうしたものか。
叔父は、囲碁を愛していたことは聞いていたが、これほどの盤石をどこで手に入れたかわからない。

2009/07/11

松の木の下に

Photo 写真は、生駒市の街路樹。

ちょっとした道の合流地点の真ん中だ。

で、見た通り、松が植えられているが、枯れかけている。そして、その林床には、花が。

以前は、松だけだった。もちろん松は生き生きしていた。

その下に草花が植えられるようになった。おそらく、松だけでは空間がもったいないと感じたのか、彩りが足りないと感じたのか。

しかし、草花のポット苗を植えるということは、そこに栄養たっぷりの土壌が加わるということだ。痩せた土壌を好む松には、よくない。

私は、結構以前から、折に触れて関係者にこんな植え方はおかしいのではないか、と言っていたのだが、そのままであった。

しばらくは元気だった松も、今年くらいからかな、急速に樹勢をなくして枯れてしまった。案の定、である。松は、土壌に菌根菌が繁殖しないと元気に育たない。そして菌根菌は、貧栄養土壌でないと腐食菌にやられてしまう。

マツの育つ環境を無視して、彩りだけを考えた「みどりのまち推進」は、成功しないのだ。
もっと、街路樹も科学的に管理しましょうよ。

2009/07/10

木材商品・風呂木

8月1日の女子大生・木材商品開発会議の前に、新しい木材商品を紹介しておこう。何かの参考になれば幸いである。

熊野古道近くの山林で育った尾鷲ヒノキの木片が「入浴木」として売り出されている。
http://sankei.jp.msn.com/region/kinki/mie/090708/mie0907080225000-n1.htm

尾鷲市内の入浴施設「夢古道の湯」で販売しているもので、熊野古道沿いの市有林から出た間伐材などで製造している。その商品は。

ヒノキを直径9センチ、長さ11センチに円柱加工して磨いたもの

毎月数百個、1年で約8000個が売れたそうだ。ようするに風呂に、ヒノキの片を浮かべておけば、ヒノキの香りがする、という入浴剤代わりなのである。(2個で840円)

ミソは、「熊野古道の森からのおくりもの」と焼き入れていることだろう。お土産になるのである。最近は入浴業者向けの長さ1.5メートルの丸太も売り出して、北海道から熊本県まで約40カ所から引き合いがあるらしい。

実は、この木片を入浴剤にするアイデアは、先輩格がある。

それは㈱四万十ドラマの「風呂板」だ。ヒノキの小さな板に、少しヒノキオイルを塗って風呂の入浴剤として歌出して馬鹿売れしたらしい。こちらは3枚で600円とか。

どちらも、尾鷲ヒノキ・熊野古道とか、四万十川のネームバリューを最大限に活かしたことは間違いないが、小さな木片が高付加価値商品になる見本だ。

風呂にこだわらなくてもいい。
実は、私も尾鷲の製材所でもらってきたヒノキの円柱を、車内やトイレに置いていたことがある。匂いがしなくなると、少しずつ円柱を切り落とす。すると,またヒノキの芳香が漂うのである。
そこで考えたのは、カッターナイフの刃のように簡単に切り落とせる切れ目を入れておくことだ。素人はノコギリも持たないし、切るのは結構大変だ。しかし、手でパキン! と割るようにできれば、簡単に新しい香りが出せる。これで芳香剤として商品にならないかと考えていた。

こんな商品開発、やってね。

2009/07/09

村ぶろ

7月9日付け朝日新聞の夕刊に、「ブログでおこせ過疎の村」という記事が載った。
http://www.asahi.com/national/update/0708/OSK200907080098.html

これは和歌山県北山村が開いた「村ぶろ」というブログのポータルサイトによる地域おこしの紹介だ。北山村は、和歌山県の飛び地で、三重県と奈良県の間にある。小さな山村。

この村がプログ事業を初めて、地元民だけでなく、仮想村民を募集して、それぞれ綴ってもらうのだ。すでにブログ数は1600を超えたという。ページヴューは、1日約15万件。村民全員でも500人程度の小さな村だから、これはすごい規模なのだ。
おかげで村(だけでなく、紀伊半島全体)の様々な情報が常に更新されているし、それ自体が村の宣伝になる。
そして、重要なのは、このプログ・システムを販売していることだ。するとシステム使用料が入る。現在、全国17カ所で使われ、その収入が年間1000万円にも達する。

自主財源を1000万円も新たに確保したというのは、小村にはすごい価値だろう。めざせ、ライブドア? アメブロ? やっぱりココログ? かv(^0^)

もちろん、私はこの事業がスタートした2年前に取材している(^o^)。

この事業のすごいことは、何もITに詳しい人がいて、始めたのではないということだ。
村の公式HPを作ろう、という命が下った時に、担当者は、「いまやインターネットはホームページよりブログですよ」と提案したことから始まったという。

まあ、このくらいの知識なら私も当時持っていたし、誰もが感じていたことだろう。が、どうせやるなら村のブログを立ち上げるだけでなく、ポータルサイトになってブログを提供する側に回ろう、という発想だった。

とはいえ、担当者がIT技術に詳しいわけではない。ちゃんと業者に依頼して作ってもらったのだ。もちろん何千万円もかかるが、それを村長は、議会の了承を取り付けて予算を組んでしまった。その時には、ちゃんとシステムを販売することも考えていたという。元は取れる、と踏んだのだ。

結果は、お見事!

システム販売以外にも、ポータルサイトを通じた通販を手がけたり、広告収入も入る。さらに宅配便などの窓口業務も行えるという。今後は、各地の村ぶろサイトのネットワーク化も考えているようだ。

地理的に不利でも、技術がなくても、ずば抜けた資源がなくても、思いつきのアイデアと、それを実行するリーダーの的確な判断と小回りの良さがあれば、活路は開ける見本だろう。

2009/07/08

クレーム

執筆活動をしていると、ときにクレームが付くこともある。

と言っても、読者からのクレームは基本的に歓迎である。まったく要旨から外れた内容には困ってしまうのだが、少なくても真正面からの異議・反論は面白い。

問題は、媒体・編集サイドだ。私に記事を依頼した側から、クレームが来ることもままある。それも、編集者そのものというよりは、そのうしろの組織が発するケースが多い。

最近経験したのは、林業事業体は「日当制のところが多い」とか、せっかく山里に移り住んだのに「街にもどる人もいる」、「給与面や待遇などの面で続かない人も多い」などの文言に対するもの。ようするにクライアントの全●連の意向のようだが、もっと褒めてほしいらしい。「だって、本当のことやん!」という点に文句が付く。

ほかにも、生駒山のイノシシのことを書こうとすると「イノシシは害獣なので、面白く取り上げられては……」とか、「名水を紹介!」という企画に「飲用に適していると検査を受けていないところを紹介するのは……」と難色を示す。

どちらも、典型的なお役人的対応です(笑)。

考えてみれば、役所(および役所に近い組織)の関係窓口には、本当の広報の意義とか報道の重要性を理解しているプロはほとんどいないだろう。そして、組織にとっての損得を考える訓練もしていないのではないか。
世間の読者ではなく、組織内の読者、つまり上司などがその記事を読んでどう思うかを気にする。仮に、民間の情報誌が紹介した検査を受けていない湧き水を飲んで腹を壊した人が出ても、その責任を、発行元が負わねばならないことはあるまい。

媒体(本や雑誌など)を本気で読まれるにはどうすべきか、という視点も足りない気がする。
対象を褒めちぎった記事なんて、必要性がない。意外性のある問題点や利点を指摘するからこそ、読者の目に止まる。記憶に残る。「格調高く」と言われるのだが、格調高い記事は、読まれません(笑)。面白い記事を、いかに格調高くするか、に頭を悩ませるのが筆者です。

……以上、最近テンションの下がり気味から出た愚痴でした。

2009/07/07

国産材の時代、到来か?

ドツボのような不況の進行で、林業界もよいニュースがない。原木価格が2割、3割下がったなんて言われている。

が、河北新報に面白い記事が載った。
http://www.kahoku.co.jp/news/2009/07/20090706t72019.htm

東北の木材需給の統計が出たのだ。

製材や合板用として東北6県の加工業者が仕入れた丸太素材のうち、国産材(地場産含む)の割合が2008年は8割を超えたことが5日、農林水産省の木材統計で分かった。

なんと、製材や合板用に使われる原材料の8割が国産材になったというのだ!

ほんの数年前まで、合板はほぼ100%外材、製材も東北ならおそらく半分以上は外材だっただろう。秋田県でロシア材を輸入して製材したものを、「秋田で製材したから秋田産材」と主張して顰蹙を買っていたのを思い出す(笑)。

それが、ものすごい勢いで国産材に転換が進んだのだ。

6県の製材工場や合板工場などに入荷した08年の丸太素材は合算で約541万2000立方メートル。うち国産材は約446万6000立方メートルで82.5%を占めた。入荷総量は景気悪化による住宅需要の減少などで前年より約89万3000立方メートル(14.2%)減ったが、国産材は23万立方メートル(5.4%)増えた。

どうだろう。全体の木材需要(入荷量)は、金融危機後は格段に落ち込んだのに、逆に国産材需要は増えたのである。つまり、減産するのは外材であり、国産材は減らさないどころか増やしたことになる。

国産材の割合は青森が96.5%と最も高く、岩手86.8%、山形83.1%、秋田81.2%、福島80.3%の順。最も低い宮城でも74.1%に上った。国産材の割合は各県とも増加傾向で、04年に29.5%だった宮城は44.6ポイント増、秋田も42.1%から39.1ポイント増と急伸している。

東北に多い合板メーカーおよび、大手製材所が、不況下でも国産材への転換を進めたのである。もちろん、その理由は、国産材の価格が安くなり、しかも輸送費も少なくて済むからだとは思うので、それが林家に直接利益に跳ね返るわけではない。しかし、林業復活の目が出たと言える。
このまま各社の工場が国産材仕様になれば、景気回復後や材価のアップが始まっても、そうそう外材にはもどれないだろう。また外材の供給は、長期的に見てしぼむのは間違いないから、国産材は打って出るチャンスだ。

国産材の時代がやってくる(と思いたい)!

2009/07/06

第1回女子大生・新商品開発会議in女子大

懸案の女子大生による木材新商品開発会議を開催します。

以下の日程・場所という案が出ています。もし異議がなければ、この線で進めます。

日時:8月1日(土)14:00〜16:00

場所:京都女子大学のどこかの教室

議題:これからの木材新商品開発会議の進め方について

申し込み;参加希望者は、直接高桑(takakuwa@kyoto-wu.ac.jp)まで、氏名、職業、連絡先(メールアドレス等)をお知らせください。

同時進行で、ミクシィのコミュ「木ごころ知れた女心」で意見交換を進めますが、今回は顔合わせとともに、具体的な会議の進展を図るための方策を探りたいと思います。

参加資格は、もちろん女子大生だけではありません。さまざまな分野の人が交わることで、新たな発想を紡ぐことを目的としています。だから、まったく木材に関係のない世界の人も歓迎です。いえ、そうした人こそ期待します。

同時に、木材を扱っている人の参加も望みます。単なる夢物語を語って楽しむだけで終わらせるのではなく、目に見える形で商品を提案したいからです。

斬新な発想と、様々な業界のプロが結びつくことで、現代の混迷を破るトバ口にしたいと思っています。

なお、終了時間が午後4時と比較的早く設定していますが、参加者間のアイスブレイクも大切ですよね(^^ゞ。期待しています。

2009/07/04

某村の財政観

昨日は、終日某村に行っていた。この村は、合併を拒絶し、自らの村の生き残りを模索している。

そこで聞いた村役場の課長の話。

もともと合併協議会には入っていた。が、合併して効果を出すためには、それぞれの町村が、まず行政のスリム化に取り組まねばならない、と村長は訴えた。が、ほかの首長は、ほとんど関心を持たない。それで危険を感じて離脱した。

実は、この村では、その前より行財政改革に取り組み、それこそ職員給料を絞り、村の祭りも中止して支出を減らす努力をしてきた。そのため、ほとんど余裕がなくて新たな事業に取り組むこともできなかった。

当時、村の年間財政は約20億円。ところが、合併協から離脱した頃より小泉改革が始まり地方交付税交付金の削減が加速し始めた。そのため財政は、ほとんど15億円になったという。ところが、村長は「10億円までなら耐えられる」と言っていたそうだ。一方で、残りの町村で合併してできた市は、恐慌状態になったようだ。

そして、ここ1、2年。「なんだか余裕が出てきたんですよ。あれほど苦しいと思っていたのに、意外やお金が余る。おかげで新たな事業を始めることができる様子です」
そして、いろいろな仕掛けを行っている。今秋には、そのための第3セクターの株式会社も設立する予定だ。そこでは、村の資源を外に売っていく仕事を担う。

ちなみに今年の財政規模は、21億円。これには、景気対策名目でドカドカと国がお金をばらまいたためである。

「でも、このうち2、3億円は余計ですね。釣られて財政を膨らませても、すぐに萎むんだから大変になります。うちの村は10億円でもやっていくつもりでないと」

どうだろう。どこかの総理大臣に聞かせたい言葉ではないか。いや、すべての自治体が、こうした覚悟を持つべきだろう。余計と言われたお金をばらまいて、その借金の付けは誰に回すのか。

自分の任期中だけ安泰にいたいと思っている総理や議員、そして官僚には無理かもしれないが、本来国家の経営とは100年の計が必要なんですよ。知ってました?

2009/07/02

森林セラピー検定の結果発表

いつのまにか、森林セラピーガイド、森林セラピスト検定試験(正確には、森林セラピー検定2級、1級らしい)の結果が発表されていた。

と言っても、私が受験したわけではないので、何もわかんない(^^;)。合格率も内容も示されていない。ただ、受験番号から推測するに、2級、1級とも、ざっと1300人以上が受験して(多分、同じ人が両方受験するケースが多かったのだろう。1級だけ受けるとは思えない)いる。そして合格者が528人、153人となる。この数字をそのまま使えば、2級の合格率は、約40%。1級は、合格率10~11%か。ただ受験番号は欠番もあるし、申し込んでも実際に受けなかった人もいるだろう。

実は、前回検定試験について、中身がわかんない、と書き込んだら、詳しく報告してくれた人がいた。それによると、2級、1級受験者数は、648人、336人だったという。 こちらの数字を使うと、合格率は81%と46%程度ということになる。

2級の合格率が半分以下だと、かなり厳しい数字なので、後者が実勢ではないか。

ただ、問題なのはこの後で、決して試験に合格したからといって、すぐにセラピーガイドやセラピスの認定資格をくれるわけではないらしい。

2級合格者は、9月にインターネットによる認定講習を受講して、ようやく「セラピーガイド」に認定される。 これは講習だけだから、受講さえすればいいのかな。でも受講料は1万5000円。

1級の合格した人は、まずインターネットによる講習を受けた後に、10月に1泊2日の認定講習を受けたのち、論文ならびにもう一度試験を受けなくてはならない……。もちろん合格しないと、森林セラピストにはなれない。
これらの講習や試験は、もちろん有料である。3万円とか。当然試験会場に泊まり掛けだろう。地方の人にとっては交通費・滞在費を考えるとかなりの支出になる。

しかも、資格を取ったからと言って、すぐに何かに使えるわけじゃないしねえ。

逆に言えば、これらをクリアして、「俺は森林セラピストだ!」と名乗られても、なんと応答すればよいのか……。

待てよ。セラピスト研修の開催地になれば、かなりのお金が落ちるぞ(^^;)。100人くらいが滞在する(試験官も含めれば、もっと増える)と、その地域にとっては結構な経済効果が見込めるのではないか。

と思って調べると、予定地がわかった。

西日本---福岡県黒木町森林セラピー基地を予定
東日本---神奈川県厚木市森林セラピー基地を予定

どちらもオープンまもないところだが、よい講習場所になるのだろうか。

ともあれ、今後は森林セラピー基地およびガイドの競争と淘汰の段階に入るだろうな。

2009/07/01

お休み

先月は、ブログ皆勤しましたので、今日は軽いネタで(~_~;)。

Photo                                                

                                                 写真は、久しぶりに訪れた東急ハンズで売っていた流木。

値段を見たら、4200円! ほかも5000円以上の品がいっぱい。これがこの値段で売れるんだもの、な。

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森と林業と田舎