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森と林業と動物の本

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2009/07/19

ゴルフ・トーナメント

父が入院した。

おかげで昼間はそちらに時間を取られることが増え、仕事は朝か深夜にシフトするようになってきた。と言ってもデスクに座りぱなしもきつい。深夜は、リビングでテレビをつけながら食卓でゲラを広げるようになった。

テレビの音量はギリギリまで下げている。この前は、たまたま付けるとゴルフの全英オープン予選をやっていた。思わず見てしまう。実は、ちゃんとゴルフのトーナメント中継を見るのは今回が初めて。これまでは、ゴルフ場の景色を見たらすぐにチャンネルを変えていた。

今回はなぜ見る気になったのか。一つには、石川遼とタイガーウッズが、同じ組で回っているからだ。これは、それなりにインパクトがあって、ゴルフファンならずとも興味がわく。

そしてもう一つは、今私が校正しているゲラは、ゴルフ場の本のものだからだ。

以前からちょこちょこと紹介しているが、9月に私はゴルフ場の本を出版する。その作業が佳境に入っているのだ。間違われないように繰り返すが、ゴルフの本ではない。ゴルフをやらない私がゴルフを語れるわけがない。あくまでゴルフ場の本だ。ゴルフ場の自然を取り上げているのである。

ゴルフ場の自然はどんな状態か、を論じているゲラを読み返しながら、テレビ画面でゴルフ場を眺めるのは、なかなかオツではないか、と自分なりに決めつけて見始めたのだ。

ところが、環境ビデオ感覚だったのが、結構見ているうちにはまってしまった。石川遼は、なんと13位まで順位を上げ、一方でタイガー・ウッズは35位、41位……と順位を下げる。石川はアンダー1だから、もし1、2度バーディをやれば、一桁順位になれる! 

と思っていたら、あるホールで、強風にあおられ、ドーナツ状バンカーとラフというスゴイ場所で捕まってしまった。そこでダブルボギーをたたいて、その後は完全に調子を崩してあっという間に予選落ち。またタイガーも同じく予選で消えてしまった。

それにしても、このイギリスのコースは難物だ。海に近いコースは日本では珍しいが、そこに生える植生も日本にはない様子だ。だいたい周辺に森林がない。コース間にも樹木がほとんど見えない。そのせいもあって、めちゃくちゃ風もきついし、雨も降っていた。そして、ドーナツ状バンカーも含めて、コースの難易度が私が見てきた日本のゴルフ場とは比べ物にならない。ラフなんぞ、腰近くまで雑草が繁っている。

ゴルフ場の自然を論じても、そもそも日本と外国、とくにヨーロッパはかなり状態が違うようだ。もしかしたら、日本のゴルフ場は、世界でも有数の生物多様性の高いゴルフコースではないか……そう感じた。

というわけで、ゲラも真剣に見ています。誤記のないよう、頑張ります(^^;)。

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コメント

あはははーー、
愉快なお話でした!

その通り、日本列島は世界でも最高度の生物多様性があるんですよ!!
生物多様性のホットスポットです!!

たった24ヘクタールしかない、京女の森でも
これまでに新しい植物や昆虫が次々と見つかっています。

恐らく、日本各地の自然を元国立大学の研究者が無視したためだと思われますが、ほとんど精確な生物調査(生態、分布等)が行われていないのではないでしょうか?

私の実感です。はい!
外国に出かけて、生物多様性を調査するというと研究費が出ますが、里山の生物を研究するといっても誰も取り上げてはくれなかったツケがここにきてはしなくも露呈したわけです!!

2009年に愛知県で、生物多様性COP10とかいやCOP9だったかが開催予定ですが、日本列島の生物多様性はまだまだ調査不足だあ〜、と叫びたい心境です。

京都の田舎より


2009年7月8日の毎日新聞の記事より引用しますが、何と!林野庁さんも生物多様性の意義を評価し始めましたよ!
来年の、生物多様性COP10を意識したのかな?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
森林整備:林野庁、生物多様性も指針に 生態系の監視強化
 国土の7割を占める森林の整備政策で、林野庁はこれまで重視してきた木材生産、災害防止、地球温暖化防止の三つの指標に加え、生物多様性を新たな指標にする方針を固めた。来年度の概算要求に関連予算案を盛り込み、11年ごろに改定予定の国の森林整備の指針である「森林・林業基本計画」に、外来種を含めた生態系の監視体制の強化や動物の生息地の保護対策など生物多様性の視点を本格導入する考えだ。
 間伐は樹木の成長を促すほか、下草をよく茂らせ昆虫や小動物の餌場を作り出す。しかし、生物多様性に配慮して伐採する木を選ばないと、鳥の営巣木を奪いかねない。また、全国の約1割の森林で、増えすぎたシカによる食害が発生し、樹木が枯れ土壌流出も起きている。生態系保全が災害対策や温暖化防止の上でも問われるようになった。
 そこで、林野庁は昨年12月、研究者や森林所有者らでつくる検討会を発足、森林整備のあり方の見直しに着手した。
 その結果、原生的な天然林、里山林、人工林など森林のタイプに応じて分布する生物が異なると判断。これまで不十分だった森林生態系のデータ蓄積が急務と結論付けた。希少な動植物の生息状況に加え、外来動植物の有無やシカによる食害、昆虫や小動物の生息場所である枯木の分布など多様性にかかわる指標について継続調査し、得られたデータをもとに間伐や植林などの計画を練っていく。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
どうですか?
田中さんのご意見は?

生物多様性条約会議は,COP10でした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2010年10月に開催される「生物多様性条約第10回締約国会議」

(COP10)の成功に向け、会議の開催を支援するとともに、生物多様性の保全と持続可能な利用を推進し、自然との共生に向けた地域づくりを促進するため、2008年9月2日、生物多様性条約第10回締約国会議支援実行委員会を設立しました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

お父様が入院なさったそうですが、お加減は如何ですか?
蒸し暑い毎日ですので、元気な者でも体力を使います。
どうぞお大事になさって差し上げてくださいませ。

父は、命に別状ありませんし、今のところ入院生活をエンジョイしているようです。と言っても最近は永く入院を続けられませんから、退院後の自宅療養が心配ですねえ。

林野庁も環境省も、生物多様性に関してはいろいろ進めているようですよ。ただ、それが実効性のある施策につながるかどうかが問題で。あちらを立てればこちらが立たず、という話が多いから。

ゴルフ場の生態系、うーん、どんな本になるのでしょう。たのしみ。

その日本の生態系の豊かさ(と険しい地形)を活かしたコースで、世界に誇れる選手権をやったら、世界に対する日本のゴルフ界の評価も随分変わると思うんですけれど、やっぱり無理かな…。

深夜テレビの言い訳より、原稿に集中して下さい!

(という感じで突っ込んだ方がコメント欄としては盛り上がるかと思ったので、勇気をふるって年上の田中さんを叱ってみました。これもひとえにコメント欄を盛り上げたいという一念であることを、どうぞご理解下さいませ。でも失敗だったらごめんなさい。父上のご回復をお祈りします。)

昨夜も、せっせと校正しておりました(^^;)。今度はテレビもつけず、マジメに……あ、「ホワイトアウト」を少し見ていたか。叱ってください(´-`)

日本のゴルフ場は、起伏が激しいので景観も優れていると思うのですが、残念ながら初級者向きのコースが多いそうです。やはりゴルファーが厳しいところは敬遠するのでしょうか。
いっそ、「ゴルフ場生態系選手権」でも開いてほしい(^o^)。

まぁ、接待ゴルフで取引先を散々しんどい目に遭わせてしまうと、ホールアウトした途端に「○○クン、この新規契約の話しはなしだ!」ってことになりかねないですし(^^;)、ゴルフマーケティングのターゲットがそうだった、ということなんでしょうね。

でも、横峯パパみたいな人が沢山出て来て、子供の英才教育用に厳しいゴルフコースを求める声が大きくなったら変わるのかも。「オラオラ、この程度のブッシュに負ける様じゃ、全英オープンに勝てねぇぞ!」みたいな(^^;)。

そもそもゴルフ発祥の地イギリスでは、我が国のような環境はないわけです。

ヒースのような荒野にしか咲かない荒れ地でゴルフをしていたわけで、風が強いとか雨がきついとか、いってましたが、そんなの当たり前ですね。

日本のゴルフ場は、まるで庭園ですね。
こんなコースでいくら練習しても勝てません。

どこかの平坦なスキー場か、利根川の河川敷で練習した方が腕が上がるでしょう。

英国の自然と日本の自然では、間違いなく日本の自然の方が生物多様性は高いでしょう。

また、難易度はイギリスが高い、のではなくて日本が低いというべきでしょうね。

二つのハンドルネームは、使い分けているのですか?

近年は、初心者向きゴルフコースをリノベーションする動きも広がっているそうです。私は、その工事こそチャンスだ、と思っているのですが、その点については9月刊行の拙著で。

それにしても日本人は、スポーツを勝ち負けのゲームにしがちですね。「ゴルフは己との戦い」だそうですが、つい同じ組内の人と点数を競ってしまう。自分の成績に一喜一憂する。だから、初心者向きコースを求めるのかもしれませんね。

別に使い分けている訳ではなくて、つい全国スギダラケ倶楽部のハンドルネームを使ってしましました。

9月にまたゴルフ場の生物多様性?生態系に関する本が出るんですか!
次々と、出版されるエネルギーに驚いています。
すごいエネルギーですね。いったん書き始めると止まらなくなるんでしょうか?
刺激的な本が多くて、感心します。
8月1日は、多士済々の方々がお集りの予定です。こちらがビックリする程、皆さんが集まられますよ!!
田中さんが来られるのを、今から楽しみにしております。

私は遅筆な方ですよ。加えて、怠け者……。

8月1日の会議で、皆さんの若い息吹を感じて、多少とも覇気を取りもどします(笑)。

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