本榧の碁盤
昨年亡くなった叔父の遺品が、実家に届いた。
本榧の碁盤である。
見ていただきたい。この厚さ、そして柾である。どこを見ても節は見つからなかった。年輪の流れを見ると、この素材となったのは、おそらく直径1mを越える大榧だっただろう。
国内産か、あるいは中国や東南アジアなど外国産かはわからないが、これほどの木はそうない。
なぜか、碁盤といえば、最高級の品は榧の木製である。碁石や将棋の駒を置いた時の音がよいとされる。とはいえ、価格もとてつもない。
試みにインターネットで検索してみると、中国産でも55万円以上、国内産の木によるものなら77万円といった値段が付けられていた。もっとも国内産の本榧の柾目となると、ときとして1000万円を越える値段が付くものもあるという。
遺品には、碁石などもセットになっているから、100万円を越す逸品だとしてしもおかしくない。国内産の場合は、どこそこの榧の木である、という履歴もわかるようだ。
仮に、こんな榧材が、1立米あれば、何百万円になることやら。1本全体だと数千万円もあり得る。もしかして、木材価格としては最高レベルかも。
ただ、こうした碁盤の価値は、稀少性も絡んでいるだろう。こんな木がたくさんあったらいいな、と考えてはいけないのである。
叔父が残した碁盤と碁石などを引き取ってくれと言われて受け取ったのだが、父母も、今は囲碁をしない。私も囲碁には縁がないし、どうしたものか。
叔父は、囲碁を愛していたことは聞いていたが、これほどの盤石をどこで手に入れたかわからない。
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田中さんへ
昨日、京女の森(左京区大原の奥にある24ヘクタールの自然林)にでかけました。大汗をかいて、年輪測定のため参加者と倒れた樹齢500年はあろうかという赤松の枝を切っていたとき、こんな者見つけました! 樹上更新というのだそうですね。すごい! すごい!
と、参加者と自然の営みに感動しました。
朽ちて倒れた赤松の大木の幹から育つ赤松の実生です。
/Users/takakuwasusumu/Desktop/赤松の子JPG.JPG
投稿: 高桑進 | 2009/07/13 06:42
田中さんへ
昨日、京女の森(左京区大原の奥にある24ヘクタールの自然林)にでかけました。
大汗をかいて、年輪測定のため参加者と倒れた樹齢500年はあろうかという赤松の枝を切っていたとき、こんなもの見つけました!
樹上更新というのだそうですね。
すごい! すごい!と、参加者と自然の営みに感動しました。
朽ちて倒れた赤松の大木の幹から育つ赤松の実生です。
画像はgoogleで私の名前を入力して、ブログをご覧下さいませ。
投稿: 高桑進 | 2009/07/13 06:44
なるほど、通常は「倒木更新」だけど、これは完全に倒れていないから「樹上更新」かな。
倒れた親木のからだを栄養に生長するんだなあ。あんまり親が栄養満点だと、マツの稚樹はうまく育たないかも。子供に脛をかじらせないようにという意味……違うか(笑)。
投稿: 田中淳夫 | 2009/07/13 09:59
2004年から6年間枯れてたってましたから、ヒトクチタケ、 マツオウジ等の木材腐朽菌にたかられてましたから、親木にはほとんど栄養分はないと思います。
木の枝の隙間に落ちた種子から生育して、6〜7年は経過しているのでは、と同行した専門家は言ってましたよ。
とにかく、すごいなあ〜、という感想しかありません。子孫を残そうという赤松の大木のいとなみでしょうか。
年輪幅は1〜2ミリありますから、直径1mの巨樹の推定樹齢は最低でも500年となります!
ここは標高が750mはアリ、冬季は2m以上の雪がふる場所です。
枯死した理由は、老齢なこともありますが、周りに広葉樹が生育して土壌が富栄養化したためかと思います。
投稿: 高桑進 | 2009/07/13 10:36