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2009/07/24

インフォーマルセクター

インフォーマルセクターという言葉をご存じか。

発展途上国を舞台にした主に社会学や経済学用語だと思うが、働く形態が、小規模・自営である世界だ。具体的には露天商や露天の食べ物屋、人力車、洗濯屋のような存在。だから「路地裏の経済学」などと表現される。
日本なら、テキ屋とかフリーマーケットの世界かもしれない。車の移動販売やたこ焼き、焼き芋などのファーストフード屋、あるいは路上弁当屋は、都心部にもある。少し広げれば、個人タクシーとかも入るだろう。

インドネシア経済が堅調だそうだ。この世界的な経済危機の中で、失業者が溢れる国が多いのだが、なぜかインドネシアは強い。その理由として、このインフォーマルセクターの存在が指摘されていた。

つまり、会社勤めなどを首になっても、インフォーマルセクターな職業に吸収されたおかげで、かなりの労働者が救われているのだ。それは社会保証制度が未整備なため、なんとか自分で仕事を作っている状況とも言える。また、そうした働き方を受容する法律や市民社会であることも言える。(生活水準が、食えたらよい、というレベルであることも一つの要因かもしれない。)

もちろん、法的にも市民意識的にも日本でそのまま適用できない(たとえば露天営業などの許認可は厳しく、ほとんど新規参入ができないし、そうした露天店に利用する客もあまり多くは見込めない)が、このインフォーマルセクター的職業をもっと見直すべきではないか。

実は、こうした小規模事業主こそ、次の起業家が育つ場でもあるのだ。その日暮らしでは困るが、新しいサービスや商品を生み出すきっかけになる。

バブル景気の頃は、こうした珍妙な小規模事業がたくさん現れていた。温泉を配達したり、雑誌の宅配レンタルとか洗車請負業、日記を代わりに付けます……なんて、あの人は今的ビジネスがたくさん生み出された。
また今でも、商店街などに「チャレンジド・ショップ」と言って、空き店舗に安い家賃で若者の出店を促す制度を作っている地域がある。そこでビジネスを覚え、成功したら改めて別のちゃんとした店舗をオープンしてもらう仕組みだ。

その手のビジネスを、不況下の今こそ展開できないものか。会社が倒産したり首切りにあった者が、わずかな資金で当面何かを稼ぐ商売を始める、それを支援する組織を作る。フランチャイズに加入することもできないお金のない人向きだ。そこで、ビジネスを覚える意味もある。単なる福祉として失業者を支えるより、その方が社会全体を健全化する気がする。

もちろん、そこで失敗したら、知らないよ(^^;)。チャレンジド・ショップだって、全員が成功するわけじゃないからね。
でも、それはインドネシアのインフォーマルセクターだって同じ。マズい料理を出す露天は、客が入るまい。さらにやる気のない商売では痛い目にあう。

いっそ全国を特区のようにして、新規小規模ビジネスに対して許認可を緩めたらどうか。
もちろん、小規模ビジネスには、農業や林家の商売も入るのだよ。

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地域・田舎暮らし」カテゴリの記事

コメント

いいですね。↑の考えには大賛成です。15年以上前、マレーシアやインドネシアにはちょくちょく行っていたので、インフォーマルセクターの利用体験も数多くあります。そこでは消費者としての眼力が試されるので、それはそれで結構大変でした。汚そうな屋台で食べたらやっぱり下痢したとか、安物を高く売られたとか、いろいろありました。

それでも、規制で新規参入を妨げている日本よりは、確かに活力のある社会になりそうだと感じました。むらおこし業界では、保健所の食品製造の許可制度や旅館業の許可制度がどれほど起業を妨げているかわかりません。飲食店も旅館も、許可を取るのは選択制でいいんですがね。その代わり、保健所の許可を持つかどうかは明示して、どちらを選ぶかは市場に任せるということで。

賞味期限を盲信して、まだ食べられるモノを捨てるようなお利口な消費者は保健所のお墨付きだけ見ていればいいでしょう。

農業の新規参入に対しては、農地の転用を原則禁止(今のようなゆるゆるではなくて)という条件をつけて、どんどん認めたいです。

いや~!!

インフォーマルセクターですか?難しいことは、わかりませんが、杉の屋台で起業化をサポートできればと考えていまして、今ホームページを作成中です。

考えることが妙に一致して怖いです。

いま、杉の屋台を売り出していますが、先日、田中様と一緒になった大阪での杉談義で別の方に名刺を渡したところ、1台売れました。

大阪の大学でのご注文ですが「毎度あり!!」って感じですが、多分、起業を考えている方には、十分サポートできるのではないかと考えています。

農産物や魚貝類を自分の店先に並べて販売することは、産直市場よりゲリラ的で本物の市場を実感できると思います。

でも、今回は、名刺だけで売れたということに感動しています。

杉屋台、売れましたか! たしかに「これって、大学祭の模擬店にいいよね」と話していた記憶があります(笑)。

本当に屋台がどんどん売れて、それが利用できる環境にあれば、それで起業する人が増え、同時に木材需要が増える、という一石二鳥が狙えるんですが。

木の鳥居にしても木の屋台にしても、まさにアイデア勝負です。爆発的に売れなくても、海杉さんのふところを温めるには十分だから、こうしたアイデア起業をどんどん展開してほしいです。

そして、行政も、こうした小規模ビジネスの規制を見直してほしい。農家民宿も、農家レストランも、かなり阻害されていますからね。また消費者も、自己責任について考えないといけないでしょう。

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