福井で過ごした時間
まず最初に言っておかねばならない。
私は、オタクではない。この点を、はっきり宣言しておく。
たとえば元祖オタクである鉄道なんかに興味はない。鉄ちゃんとか、鉄オタとは呼ばれたくない。あんな鉄の塊が鉄の上を走るのを見て、喜ぶ趣味はない。
若いオネエチャンは好きだが、、メイド服などユニフォームに興味はないし、メイドカフェに行ったこともない。コスプレに関心もない。なんで、あの不可思議な恰好して楽しいんだ。
アニメオタクでもない。先日、「サマーウォーズ」を一人で見に行ったが、それは作品が優秀だったからで、主人公の女の子に夢中になることもなければ、アニメならなんでもよいわけではない。もちろんロボットアニメにはまることもない。ましてや、キャラクターのフィギュアを集めて、萌え~たりしない。
わかっていただけただろうか?
さて、本題だ。今日は福井に行ってきた。片道3時間ちょっと、しかし日帰りである。結構きつい1日であった。これでは、福井県内を観光する余裕はない。かといって、まったく目的地を往復するだけというのも寂しい。
何か、わずかに寄り道するところはないだろうか。ほんのちょっと、旅の気分を味わえるようなところ……。
そこで思い付いたのが、えちぜん鉄道である。本ブログのサイドバーで紹介している「ローカル線ガールズ」の書評でも記したが、福井県内を走るえちぜん鉄道は、アテンダントと呼ばれる若い女性を乗せていて、彼女らの痒いところに手が届くようなサービスが売り物で、人気を呼んで全国的に評判を呼び、地域活性化に成功したという不思議な存在だ。
そして、今日訪れなければいけない会場は、えちぜん鉄道の沿線なのである。最初はJR福井駅からタクシーを飛ばして行く予定だったが、それよりも早めに着いて、えちぜん鉄道に乗ろう! そしてアテンダントを見てみよう!
勘違いしないでほしい。私の目的は、地域づくり成功例の視察である。アテンダント目当てではない。若い女性を見るのではなく、彼女らのサービスを見学するのである。その点、間違わないでほしい。
で、1時間ほど早めに福井入りすると、えちぜん鉄道の福井駅で、時刻表を見ながら考えた。目的地の駅までだと、わずか数駅で乗車時間は数分。これでは短すぎる。そこでもう少し遠くまで乗って、折り返すことにした。ただし、炎暑の今、永く復路を待つのは辛い。だいたい30分に1本だからだ。
じっくり考えた結果、某無人駅で下りれば、6分待つだけで上りの列車が来る。それに乗れば、目的地駅まですぐだ。往復30分ばかり乗れるうえ、2本の列車だから二人のアテンダントに逢える……じゃなく、見学できる。
福井駅には、なぜか恐竜の待ち客がいた。
そして、アテンダントの放送。盗み撮りっぽい?
市街地を抜けて、九頭竜川も渡って、田んぼも広がる中の無人駅。
いかにも、ローカル線の無人駅。
こちらは、復路のアテンダント(^o^)。
見ていて、彼女らの忙しさがわかった。駅と駅の間は短いので、時間もあまりないのだが、その間に放送したり、切符を切ったり、質問に応えたりと、実に忙しい。駅によっては開く扉の位置も違うので、その誘導もする。子供たちには、手を振る。そのうえ、高齢者の話し相手にもならないといけない。話すときは、座っているお客さんの目線に合わせて、腰を折る。こりや、大変だ。そして、彼女らの魅力もよくわかった。列車内には、人と人の触れ合いがつくる空間の心地よさが漂っていた。
私の乗った列車は、近隣の人ばかりで観光客はいないようだが(おれがそうか?)、乗り継ぎバスの時刻表を繰ったり、観光案内もしている。
そして私は、その忙しい彼女を捕まえて、彼女の鞄に付けているものを指さして頼んだのだ。
「キティちゃん、ちょうだい」
このキティちゃんストラップ、えちぜん鉄道でしか売っていない、彼女らが自分で販売している限定モノですぞ! これを買わずして、えちぜん鉄道に乗ったと言えるか!!
この限定ものキティちゃんには2種類あって、運転手ものと、アテンダントもの。もちろん私が購入したのはアテンダントものである
これでえちぜん鉄道が起こした奇跡がよ~く、わかった。今回の視察は、非常に有意義なものだったと言えるだろう。改めて、「ローカル線ガールズ」を読み返そう。彼女らの写真を見て、また萌え……るんじゃなくて、地域づくりについて考えよう。
以上。
« コンサル事業の名前募集 | トップページ | 立体緑化 »
「地域・田舎暮らし」カテゴリの記事
- 熊野古道の雲海の村(2024.12.03)
- 道の駅「なら歴史芸術文化村」(2024.11.30)
- 流行る田舎のパン屋の秘密(2024.07.11)
- “秘境”よりの帰還(2024.07.10)
- 山村で海を見た(2024.07.09)
私も「をたく」ではありませんが、森林ジャーナリストになりたくなりました。いつもながらの、丁寧な取材と資料収集には敬服します(笑)。
たぶん、キティちゃん両方とも「資料として」購入すると思います。
この際、森林おたくになろうか。まあ、林業関係者にもハスクに萌えてる方々も多いし。私は、何に萌えっではなくて、研究しようか。今、何に最も萌えっじゃなくて、興味をひかれているだろうか。
投稿: 鈴木浩之 | 2009/08/13 00:28
一般に、「鉄オタ」呼ばわりされている人ほど、「私は違う」と言って憚らないものでして…(^^;)。
投稿: RELHAM | 2009/08/13 07:24
断固、鉄オタを拒否します!
私は、えちぜん鉄道の車両が、6101型であるなんてことに興味ない!
各地の限定ものキティちゃんは、集めているけどね……。
投稿: 田中淳夫 | 2009/08/13 09:11
ahaha!
ヲタクでもいいじゃないですか~(笑)
私もえちぜん鉄道乗ったことあります!たまたま福井に出張だったときに、空き時間に「東尋坊」に行くために乗りました。そのときはアテンダントの存在を知らなかったのですが、乗ってびっくりお嬢さん♪でもとても感じが良くて、あとからアテンダントのことを知りました。キティちゃんかわいいですね!
投稿: ももちやん | 2009/08/13 10:15
オタクじゃないって言ってるのに……(T-T)
キティちゃん、彼女らには売上のノルマがあるそうですよ。買って上げてね
投稿: 田中淳夫 | 2009/08/13 15:06
田中さん!
しっかり、鉄オタクじゃあ。ありませんか!!
見直しましたよ、あはは!!
「断固、鉄オタを拒否します!私は、えちぜん鉄道の車両が、6101型であるなんてことに興味ない!各地の限定ものキティちゃんは、集めているけどね……。」
この文章が、まぎれもない正真正銘の筋金入りの本物である事を示す、重傷の症状ですね(大笑い)
まあ、楽しい取材?でしたね。
投稿: 高桑進 | 2009/08/13 21:15
「おたく」ではないということですが、
「まにあ」なんだと思いました。
投稿: 熊(♀) | 2009/08/13 21:36
なんで、みんな「オタク」だ「マニア」だと決めつけるんだ……地域づくりの先進事例視察だと認めてくれないんだ……。
でも、えち鉄の魅力が伝わってよかった
投稿: 田中淳夫 | 2009/08/13 23:18