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2009/08/20

ワタ畑

022 写真は、木綿の実。

今日は、河内木綿の世界を覗いてきた。

江戸時代の衣料は、その多くが木綿で作られていた。その一大供給地が、河内である。現在の大阪府東部、東大阪市や八尾市を中心とする地域だ。

ここでは、広大な木綿畑が作られ(当時の耕地の7割を占めていたという)、紡がれ、染められ、機織られ、衣料ほかの商品に加工されていった。それらは、北前船に乗って、日本全国を席巻した。米を運ぶ北前船が、帰りに綿を積み、さらに昆布やニシンを大坂に運び、それらは肥料として木綿畑に鋤込まれた。

つまり、河内木綿は、日本の流通の要の一つだったのである。

まだ不勉強で詳しくないが、当時の綿畑は、どれほどの面積になっただろうか。

しかし、明治になると米綿が入ってくる。これは河内木綿とはかなり品種が違い、ワタ実が非常に大きく量産がきくうえに繊維が長くて機械織りに適していた。そのため河内木綿は壊滅的打撃を受けて、姿を消してしまう。

変わって、養蚕が盛んになり、全国に桑畑が作られて蚕を育てるようになった。その最盛期、日本に桑畑は70万ヘクタール以上あった。

こうなると、もはや畑だ作物だと言っていられない。森林面積に占める割合も3~4%になっただろう。それは生態系に大きな影響を与えた。

木綿畑が生み出した生態系が、やがて桑畑の生態系に変わり、それが今や雑木に包まれたり、スギやヒノキの人工林と化してしまった。そして、そこにはまた別の生態系がある。

潜在植生こそ本来の生態系とのたまうセンセイもいらっしゃるが、水田のほかにも生態系を変えた作物はたくさんある。それを無視して日本の自然は語れないし、こちらこそ人の営みとともにある本来の生態系ではなかろうか。

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森林学・モノローグ」カテゴリの記事

コメント

河内木綿は、東大阪市、八尾市あたりで栽培されていたのですか。
昔話にも綿畑や機織りさん達のお話がありますが、まさかこんなに身近なところにあったとは、驚きました。
余談ですが、大阪近辺の昔話はかなり庶民の暮らしに余裕が感じられ、人間と動物との共存がほほえましく語られているものが、他の地方と比べてダントツに多いです。
温暖な気候にもよるのでしょうか。

木綿栽培は儲かったのですよ。米の2~3倍だと言います。また大和川の流路付け替えで、新しい農地が大量に誕生して、新作物を導入しやすかったことも関係あるかな、と思っています。それに加工や流通の場があり、消費地もあった。
大坂が温暖だったってことはないでしょ(^^;)。

商品作物が多いおかげで、豊かだったんでしょうね。河内では一揆はほとんど起きません。せいぜい強訴くらいですか。それが民話にも影響を与えていたかどうか、新視点の研究テーマになりますね。

貧乏症は思うのです

人工林と棉の栽培は共存できないんでしょうか…。棉でなくてもよいのですが、成長を妨げたりして良くないのかしら。

収穫の効率、とかは置いておいて。

綿の栽培は、結構大変みたいです。一年目はよくても二年目三年目は急に生長が悪くなったり、水やりも夏は二度行う……など。

綿でなく、日陰に育つ薬草とか花卉類はいけると思いますよ。

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