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森と林業の本

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2009/08/21

村おこしはムリ!

先日訪れた某山村。

実は、この村の地域づくりのアイデアを探るための視察であった。私のほか4人の参加で、それぞれ専門分野から、この村を舞台にしたツーリズム・プランのほか商品開発などを模索するというものだ。

実は、当初から担当者が言っていたのだが、「来れば来るほど、フツーの田舎」なのである。ずば抜けたものがない。一応、林業の村だが、他地域を圧倒する特徴はない。歴史的なものも、村ではいくつも碑を立てたりしているが、どうも地味でマニアック。ずば抜けた景勝地もないし、名物料理もない。温泉はいくつか湧いているが……。

それでも、多少は見て歩き、いくつかアイデアを出した。まあ、モノになるかどうかは今後次第だが、とりあえずは数で勝負のプランニング。ここ、プレーンストーミングの要領なのである。

その過程で、私が以前訪れて舌鼓を打った某料理屋を訪ねた。ところが前の場所からは移転しており、そこを探して訪ねる。そして、店主と話した。

すると、いきなり「この村で何か地域づくりするなんて、ムリやで、ムリ」。
こちらが訪問の趣旨を雑談がてら話した途端である。
「とにかくやる気がない。やる気のある者の足を引っ張る。とくに行政が何も応援しない。邪魔ばかりする。職員は、宴会を村内の店でせずに町に出る。騒いでいるのを村民に見られるのがいやだからよ。だから村にお金は落ちない。議員も、なんか村の将来とか心配するもんやが、何にも考えていない。あいつら給料もらうことしか興味がない。村には日本と違う法律があるんやな」

いや、しゃべるしゃべる(笑)。

以前の店は、契約がまだ残っていたが、店前の空き地にトラック業者を入れられて、とても食べ物屋をやっていられる状況ではなくなったそうだ。それで移転して、当初は村の産物も陳列していたが、肝心の村の業者が持って来なくなった。賞味期限とか切れたものを持っていたから文句を付けたかららしい。
また村内には、いくつか名所づくりに取り組んだり努力している人々もいるが、彼らの作った施設は、村の村内観光案内図には、絶対に載らない。
そのうえ、日本の法律とは別のルールがある。いくら違反だと指摘しても、村民は平気でやったり、逆に合法なことでも、やろうとすると猛烈な反発があって手をつけられないことがあるのだ。

実は店主は、移住組。それだけにアケスケである。そして、これまでの鬱憤が溜まっている様子だ(^^;)。「そこまで言っていいの?」と問い返すと「いいねん。来るなら来いや」

だが,私も彼のいうことのかなりの部分が当たっていると思っている。とにかく行政に、村を引っ張っていこうというやる気が見えないのである。しかも閉鎖的。よそ者を入れたがらない。

おかげで、視察の一行は、「やっぱりムリだったんだ(笑)」と、妙に明るくなった。アイデアが出ない理由になったよ。

フツーの田舎には、フツーの田舎の良さもある。が、それでも牽引者がなくては立ち行かない。さて、どうする?

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地域・田舎暮らし」カテゴリの記事

コメント

どうもお疲れ様でした。住民がその気にならないところのコンサルはなかなか大変ですよねー。

でも、自分の住む地域を悪く言う(特に相手がヨソ者ならなおさら)のは田舎の大切な娯楽ですから店主氏もさっぱりしたのではないでしょうか。

なるほど、あれは娯楽か(笑)。
それでスッキリ元気になってもらえたら、それはそれで結構。

でも、この山村、よそ者で元気な人はいるのに、その力を使おうとしないんだよな。

よそ者を活かせないのは、住民の度量×よそ者の態度の問題なので、簡単には行きませんねー。

私は「市役所がわざわざ東京から選んでくれた人」みたいな感じで、立場上楽でした。

「とにかくやる気がない。やる気のある者の足を引っ張る。とくに行政が何も応援しない。邪魔ばかりする。職員は、宴会を村内の店でせずに町に出る。騒いでいるのを村民に見られるのがいやだからよ。だから村にお金は落ちない。議員も、なんか村の将来とか心配するもんやが、何にも考えていない。あいつら給料もらうことしか興味がない。村には日本と違う法律があるんやな」

とは、愉快ですね。
こんな村がまだ健在なのは、まったく他所者がきたら自分たちの生活が脅かされるとでも考えているんでしょうね。

勝手に、市役所の観光案内に載せられていない場所ばかりを組んで、温泉も観光スポットにしてお金が儲かる事を直接的に村人に知らせるしか手はないですね。

逆に、このような保守的な村でも観光化するものがある事を思い知らせるのもいいですね。


はじめまして、田舎暮らしを楽しんでいるIターンの一人です。今日この記事を読みました。ほぼ5年前の出来事ですが、その後この村はどうなったのでしょうか?関与されたのでしょうか?私も、普通の村の活性化策を作るのが楽しみの一つで、気になります。無理!といわれるとチャレンジしたくなりますよね。否定の肯定なのかなと思いましたが・・・

案の定、企画自体がボツになった記憶があります(~_~;)。

「地域づくりのため」と張り切るのではなく、「自分が楽しむため」何かに取り組むのがよいのではないかと思います。あくまで自分の利益のために。そして、結果的に何か地域にもたらせれば……。

村 おこしで検索したらこちらの記事をお見かけしました。

もしかしたら、私の田舎?って思うほど同じ状況です。
なので、質問に対するお答えがとっても参考になりました。

ただ、邪魔をするのは行政だけじゃなく、村興しと意気込んで乗り込んでくる団体もそうです。

自分たちのやり方が正しい!みたいな態度で対応されると、ほっといて!って言いたくなります。

そんな団体の方々にはどんな金銭的なメリットがあるのか?と疑いたくなってきます。

いろいろ参考に読ませて頂きますね。

どこの田舎も、同じなのかもしれません(^^;)。
外部の村おこし団体には、なかには利権目当てもあるでしょうが、思い込みと自らの生きがい?のため取り組んでいるケースも少なくないですね。始末に悪いけど。
本欄のケースは、一応仕事で依頼されたのだったと思います。そして有志(私も含む)に声をかけて視察に行ったら、こんな態だったので、やる気が失せた……という感じだったかな。一歩引いた意識だったからよかった。もちろん手弁当ですが。

ここは源氏名で失礼します。
実は、地元で私が親しくしている人のうち、移住者の割合が徐々に増えてきているという事実があります(私は町役場の職員です)。それは、やはり行動力に魅力があるからでもあるのです。地域に小さいころから住んでいる住民は(別にそれが悪いというわkではないのですが)やはり、一歩が踏み出しずらいのです。それは、どうにもならない部分もあると思います。
移住してきた住民は、遠慮もいらないし、かなり自由にやっても何かあった時に迷惑をかける可能性がある地域内ステークホルダーが少ないわけですから。
まじで、移住者をうらやましいと思っている土着住民もいるようです。ですから、一歩踏み出した移住者の行動に相乗りする、連携するというスタイルが出てきます。
それが、うまい具合に転がっていくようになるには、地域(非常に限られた狭い範囲を指しますが)にもよると思いますが、もう少し時間がかかるかもしれません。
その地域に事例が出てくれば、急速な変化が起きるブレークスルーが起きると思ったりもします。

移住者が一定の人数になると、それなりに地域で発言力も出てくるのでしょうか。もちろん移住者の質にもよりますが。
 
じわじわ起きる変化は小さくて気がつきませんが、どこかで臨界点を越えると、大きくブレイクするかもしれませんよ。その時に地元住民が立ち上がるか?

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