稲刈りと複合経営
今日は祝日だった。世間は休みなんだなあ。
島根県で訪ねた奥出雲町。そこで案内された人の田んぼを見た。
写真のとおり、田んぼの一部に刈り残しがある。これは何かと尋ねたら、
「稲刈りの時、そこの稲だけまだ青くて成熟が足りなかったから」
という。ちゃんと稲穂を観察して、刈り取る穂を選んでいるのだ。これが大型稲刈り機、コンバインなどだったら、そんな真似はできないだろう。この田んぼは、有機栽培米だから、ていねいな手法を取っているらしい。
刈り残したところは、水の取水口近くで、水分が多いことが成熟を遅らせたのではないか、というが、こうしたきめ細やかな気遣いが日本の農家の真髄かもしれないぁ。
ちなみに、この方は、十数ヘクタールの山林をもつ林家でもある。少し見せてもらったが、管理が行き届き、そのうえ林床にはアテ(ヒバ)が植えられていた。そしてウシも飼っている。また、改めて紹介したいと思っているが、シイタケ栽培を行い、今度は製材も始めた。
まさに農林畜産複合経営だ。いずれも規模は小さい。しかし、小規模ゆえの有機低農薬栽培の取組や、自慢のシイタケ・ナメタケを見せられると、規模ゆえの経営の仕方があることを感じる。
たとえば始めたばかりの製材は、材をどこへ売るか決まっていないという。まだ乾燥中なのだ。一見場当たり的な新規事業だが、心配しなくても1年に1棟くらいの材木量なら、口コミで捌け口が確保されるだろう。急がないのだ。
家族経営ならではの、小回りの利く、複合経営である。
新生産システムなんぞとは、正反対の方向性かもしれない。
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