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森と林業と動物の本

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2010年1月

2010/01/31

フランスは建築用木材を10倍に

木造建築が話題になる日本だが、実はフランスも木造建築に力を入れるらしい。

というのは、サルコジ仏大統領が建築素材としての木材の使用を、現状の10倍にするという声明を発表しているからだ。

フランスは、ヨーロッパで3番目の森林面積を誇る。しかも森林蓄積は増え続けているのだ。おそらく二酸化炭素削減も視野に入れての政策だろう。ヨーロッパの家は石造りのイメージがあるが、骨組みはたいてい木だし、フローリングなどにも木材は多用している。もともと建築資材としての木材は需要があるわけだ。

それにしても、10倍とは大きく出たな、と思う。

しかし、どのようにして木造建材を増やすのだろうか。とくに民間には、どのように対応するのか。

実は裏の手があるらしい。フランスは、街の景観にうるさく、個人の家でも改築には許可がいる。ほんのわずか外観が変わるような増改築もなかなかできないそうだ。それをゆるめる、木材を使う場合は許認可が簡単に下りるようにすることで、推進するのだそうだ。

フランスの場合、大統領権限が強いから、この法案の国会通過は間違いないらしい。

ここに日本との手法の違いを感じる。

日本の場合、すぐに補助金をばらまく。今でも県産材を使う人には補助金を出すケースが各地にある。木材を使うことにかかる負担を軽減しようというのだ。

しかし、これは金で人を釣っているのにほかならない。逆に金が出なければストップするし、回り回って税金を木材業者に渡していることになる。

それよりも規制緩和で建築に木材を使用する許認可、制限をゆるめれば、民間は勝手に動き出すのではないか。

先のシンポでも、木材需要を高めるためのモデルケースを、という声があったが、そこでも補助金の話になりかかった。

しかし、それよりも建築基準法をゆるめる方が効果的ではないか。今の法律では、木造建築の規制が厳しくて建てられないところが多い。また税金やローン関係、相続関係など、さまざまな規制がある。それらを変えるだけで、流れは誘導できるはずだ。全国一律が無理なら、特区を設けるという手もある。

日本も、木質の建築素材を10倍に増やします、的な声明を出さないかね。

2010/01/30

住宅着工件数3割減

国土交通省の発表によると、昨年度の新設住宅着工件数は、78万8410戸だった。

この数字は、前年比27,9%。45年ぶりの低水準だという。すでに100万戸台から80万戸台へと下がっているだろうという推定が出ていたが、実数はそれをさらに下回ったことになる。

このうち何割が一戸建てで、さらに主に国産材が使われている在来構法の家なのか、今の時点ではよくわからない。例年だと4割以下だから、30万戸を割っている可能性さえある。一方で、柱は集成材が7割を占めるから、この多くは外材だろう。

とすると9万戸分? しか国産材は使われないことになる。

あまりにも大雑把な推定だが、そこで使われる丸太の材積は、ざっと48万立方メートル。これくらいなら、1県分の素材生産量だろう。たとえば静岡県レベル? 宮崎の生産量にはるかに及ばない。

もはや、国産材市場は沈没寸前ということか。

かくなるうえは、またもや財政出動(住宅減税など)させて、景気対策の面から住宅着工の嵩上げを図るか。

だが、ちょっと待ってほしい。

すでに少子化の影響で、住宅需要は細っているのだ。しかも政府は、200年住宅構想などを持ち出して、長持ち住宅を推進している。これは、着工件数を増やすことにはならない。

ちなみに外国では、こんなに住宅を建てていない。近々の数字は知らないが、人口が日本の2倍いるアメリカでも、着工件数は日本並。ドイツ、フランスなどヨーロッパは、日本の半分以下だったはず。

ようするに、これまでの住宅着工件数が多すぎたのだ。だから住宅の寿命が30年未満と異常に短かった。これが、まっとうな住宅着工に落ち着く過程と捉えた方がよい。

林業界・林産業界は、その変化に対応した商品構成に変えないと、大変なことになる。

2010/01/29

日本一のチェンソーアートの街?

先日訪れたのは、長野県上田市。真田一族の土地(といっても、戦国時代までだけと)として知られる。
まあ、真田家の話は別の機会として、この街で目立ったのは、なんとチェンソーアートであった。

とにかく、街角にチェンソーアート作品が目立つのだ。クマが多いが、フクロウも。だいたいお店の看板になっているケースが多いが、一般住宅の玄関にもあったりする。

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「日本一、(木の)クマが多い街です」と紹介を受けたが、あながち誇張でもないだろう。
とくに古い町並みが残る柳町通りには、ベンチと組み合わせた作品があり、お年寄りが座っているのがよく似合う。

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なんでも、この地にはチェンソーアートを行うメンバーが何人かいて、彼らのつくった作品が各地に寄贈?されているらしい。正直言って、各作品の出来は???であり、本格的に学びたければ「○○チェンソーアートスクールへ」と言いたくなるのだが(笑)、それでもこれだけの数となると、街の景観にかなりの影響を与えているように思う。

折しも、上田市では、「景観木工」を唱えて木の街づくりに動き出したところ。真田の城に似合う通りにすることを目指している。
チェンソーアートをエクステリアや景観に利用することは、私も以前から提案してきたが、奇しくもここで一歩進んでいる事例に出会うことになった。

2010/01/28

日本再生酒場の割り箸

先の東京遠征(^^;)で、発見した高級割り箸を使う立ち飲み屋について、もう少し詳しく紹介しよう。

私が訪れたのは、新宿3丁目ホルモン横丁である。末広亭の隣と言ってもよい立地。

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ここには4つの店が入っている。日本再生酒場、ハラミ屋、まぐろ屋、ホルモン豚や三八……。まあ、私はお店の宣伝をしようと思っているわけではないので、内容についてはおいておく、ようするに全部モツ系の料理屋である。全部ではないが、だいたい立ち飲み形式の店だ。

これらの店を経営しているのは、い志井グループ。立ち飲み・モツ焼きを売り物にしており、「日本再生」を店名にするなど、なかなか斬新なポリシーがあるらしい。

しかし、立ち飲みとは、安さが命。実際、価格はかなり抑えめと感じた。

そこに高級割り箸である。天削げの、おそらく吉野産だろう。仮に吉野でなくても、木目の詰んだよい木を使っている。当然、価格も高いはず。

私は、国産割り箸論者だが、TPOは考えるので、こうした立ち飲み屋で、中国割り箸が出ても文句は言わない。塗り箸だっていい。さすがにプラスチック箸は嫌だが。
だから、こういう店で、この割り箸が出たのには感激した。しかも、カウンターの引き出し式であることもおしゃれ。

い志井グループのホームページを見たが、とくに環境とか、割り箸について触れているコーナーはなかった。だから、果たしてどうしたポリシーで高級割り箸を使うのかわからない。

しかし、「日本再生」という名を使うほどなのだから、オーナーが日本の山にも目を配っていると信じたい(^o^)。

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ちなみに、2月27日に大阪で、3月8日には東京で、割り箸に関するセミナーが開催されます。講師は私ほかが務めます。「講義」をすることになっているようです(笑)。

2010/01/27

農林漁業専門書店

農林漁業専門書店
農林漁業専門書店
昨夜も東京泊まりになってしまった。チェコ料理を食べるために…。


さすがに疲れもたまってきたから、寄り道せずに早く帰ることにする。
と、東京駅に向かったが、そこで寄り道(笑)。大手町には農林漁業専門書店があるのだ。
目指すはJAビル。…が、なんと、そこは更地になっていた。


しばし呆然とするが、近くに辺りの地図があり、それを見ると、新ビルに移転したらしい。
気を取り直して、そちらに向かう。


新しい書店は、少し広くなったかな?
全体としては農業書が圧倒的に多いが、森林林業関係で、写真のように棚がある。近頃はネット書店もあるが、やはり手にとって本を選ぶことは重要だ。
私も、珍しい高価な本を購入してしまった。


……ただ残念なのは、私の本が、ほとんどなかったことである(--;)。

2010/01/25

六文銭

六文銭
長野県上田市に来ている。

言わずと知れた、真田一族の土地である。幸村ブームの中、観光客も増えているそうだが、実は「木の街」として売り出し中。街角の景観にも目を配ってほしい。

……でも、やっぱり六文銭だよなあ(*^^*)

2010/01/24

林業な女性たち2

林業な女性たち2
東京に来ている。NPOに招かれ、三鷹で話す機会を与えられたのだ。

参加者は、50人くらいだというから、こじんまりした集まりだと思っていたら、なかなか熱い人たちばかりであった。
なぜ、林業にこれほど感心を持つのか、こちらが驚くほど。

とくに目立ったのは、学生、それも女子大生である。芸術系学部なのに興味を持つ人もいる。なかには仙台からわざわざやって来た人もいて、感激するやらあきれるやら(笑)。オイオイ

なぜか就職相談もしたから、進路指導担当教諭目線?かもしれない。

お陰で本もよく売れたし(*^^*)、こちらも勉強になった。

ともあれ、彼女らも素敵な「林業な女性たち」なのである。

ちなみに写真は、夜一人で入ったモツ焼き立呑屋。なんとカウンターに引き出しがあり、そこに割り箸が入っていた。しかも吉野の天削げ箸だ、こんな上等な箸をつかうなんて! 感激してしまった。

2010/01/23

林業な女性たち

最近思うのは、林業周辺には素敵な女性が多いこと。

「素敵」とは、かわいい、美しいというだけでなく、前向き、純、スッキリ、シッカリ、パワフル……なんてキーワードで紹介できる人。森ガールと山ガールを合わせたような感じ? ほかに話して楽しいという、私個人の基準もあるV(^0^)。
「林業周辺」というのも、どの範囲なのか判然としないが、まあ、このところ、私は取材に行って、ご機嫌だということだ(^o^)。なんだかオヤジ目線だな。完全にオヤジ目線か。もっとも、私としてはチチオヤ目線のつもり(笑)。

ともあれ、その一人が、中島綾さん。現在、広島の安田林業に勤めている。現場作業員としてチェンソーを振り回すかと思えば、グラップルなど重機も操縦する。一方で、森林施業プランナーとしての仕事も始めた。まだ2年目とは思えないほど幅広い仕事をこなしている。

で、前職がプロのダンサーだったんだから(@_@)である。

大阪の森林の仕事ガイダンスが22,23日と開かれたが、その会場に来ると聞いて会いに行った。まあ、追っかけみたいなもんです(笑)。

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ガイダンスでは、舞台で、林業の魅力、田舎暮らしなどを語っていた。終わっても、取材者が張りついている。売れっ子である。

私も、彼女の撮影会に参加。

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その後、ようやく再会気分で、しばらく話し込む。

もちろん、ガイダンスで語るような、いいことばかりではないよ。実際、林業現場で働く、勤める、それも独身でIターンの田舎暮らしを始めるというのは大変なことなのだ。それは男女とも同様だが、女性なら輪をかける。

ともあれ、彼女が選んだ道だ。何も一生同じところで同じ仕事を続けろというつもりはないけれど、今後が楽しみである。このまま進めば、林業に関して説得力を持って語れる希有な女性となるのではないか。

今度、生駒に来たら、スリランカ料理を奢ってあげる約束をしたよ(^ー^)。

2010/01/22

木材価格の下落とは?

先のシンポジウムで、割愛した話題を、もう一つ。

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かなり手作りっぽいグラフだが、スギ角材の価格構成推移である。(1立方メートル換算)

木材価格の減少が如実にわかる。が、その中身はわかるだろうか。

林業関係者では、常に木材価格の下落が嘆きの元である。たしかに30年40年前からすると、情けないほど下がっている。

だが、比較する時代が間違っているとも言える。

昭和30年~40年代は、木材価格が暴騰した時期であり、あの高価格が異常だったと言えるからだ。現在は、木材輸入ができなかった時代、そして役物人気で、国産材が求められた時代ではない。バブルの時代と比べて、現在の株価がどうの、地価がどうのといっても詮ないのと同じく、木材価格も適正価格から外れていたのだ。

そしてグローバリズム進展の中で、木材も国際商品となったのだから、今後も上がる可能性は少ない。常に海外の木材、あるいは非木材マテリアルと競合し続ける。

……というような話は、改めてするとして、ここでは、下がった木材価格の中身を見てほしいのだ。

グラフに示されているのは、立木段階と原木供給段階(山から原木を出してきた状態)、そして製品供給段階(製材など加工済)に分けて見る。

すると、搬出費用とか、加工費用の絶対額はそんなに大きく下がっていないことがわかる。

製材品価格の落ちた分の多くをかぶっているのは、立木価格なのだ。

言葉は悪いが、伐採・搬出・製材加工関係は、きっちり必要額を取っている。だが、売買価格は大きく下がっているから、そのツケをほとんど山元(森林所有者)に回している。

この構図を見れば、なんのかんのと言っても、木材の出荷に関わった人は、利益をあげているのだ。だが、その前段階、何十年も木を育ててきた所有者には何の見返りもなく、搾取されていることになる。

山を売ってお金を得ることは、なんとなく不労所得ぽいが、まじめな林家ほど経費と労力をかけて造林・育林してきたのに報われない。

逆に言えば、森林林業の再生を考える際に、いくら林業が活性化しても、山元に還元されないと意味がない。

この点を、もっと深く考えてほしい。

2010/01/21

大仏が環境に与えたもの

最近、仏像に凝って、何かと調べている。何も仏像ガールならぬ、仏像オタクになるつもりはないのだが。

ただ、仏像と言えば、やはり東大寺の大仏を外せない。

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そこで浮かび上がってきたのは、大仏を作るために、奈良時代は全国から銅を集め、さらに木材資材と木質燃料をかき集めたこと。
それが、当時の社会にどれほどの影響を与えたかというと、なんと、世間は金属時代が一時遠のくのである。これまで青銅器、鉄器と進んできたマテリアルの進歩が止まってしまう。
なぜなら、莫大な量の銅をかき集めたため、ストックがなくなるからだ。

たとえば、大仏の建立後、それまで金属で作られることの増えてきた仏像が、いきなり塑像や乾漆像になるのだ。そして木彫りにもどってしまう。

一方で、奈良周辺の森林破壊も進んだのは言うまでもない。奈良の都には、コウヤマキがよく使われたが、それが尽き、ヒノキやスギに移る。また禿山が増えるのである。

さらに大仏には、金のメッキが塗られたから、おそらく大量の水銀が使われたことだろう。すると、水俣病みたいなものが発生したかもしれない。銅鉱石にはたいていカドミウムが含まれるから、イタイイタイ病も出た可能性もあるだろう。

このように考えると、大仏は日本の環境に与えた影響は大きそうだなあ。

2010/01/20

木材自給率50%の不安

先のシンポの様子をもっと教えてほしい、という要望が幾つかきた。

事務局もまとめると言っているので、そちらに期待してほしいが、私も記憶に残っているものを亡備録的に記しておこう。

そこで、わりとシンポの骨格になっていたのが、民主党政権になってから出された初めての農林業政策としての「森林・林業再生プラン」。

その中に「木材自給率50%」目標がある。地球温暖化ガス25%削減とともに、野心的な数値である。

多少とも林業事情を知っている人なら、そんなの不可能だ、という感想を述べている。
しかし、相川高信論者のいうとおり、目標として高い数値を掲げるのは悪いことではない。だから私は反対しない。結果的に達成しなくても、それに向かっての動きが重要である。

だが、私は疑問を挟んだ。

というのは、以前このブログでも指摘したとおり、日本の木材需要の約半分が製紙用チップなのである。そしてそのうち86%くらいが外材だ。つまり全需要の4割以上が外国産チップ。

ということは、木材自給率を上げるためには、このチップの国産化も相当上げないと不可能ということになる。製材をいくら国産化しても無理なのだ。

そこで考えてほしい。せっせと育てたスギやヒノキをチップにするのか? 
製紙用だけでなく、バイオマス燃料とされるのもチップに近いもので、国産材のバイオマス需要を増やそうとすれば、スギやヒノキなど人工林で育てた木を細かく砕いて燃やすことになる。

もちろん廃材や端材ならよい。しかし、これらはすでに引っ張りだこだ。いくら林業を振興しても、限度があるだろう。

なにより、今でも木材自給率を上げている合板用は、価格が安い。そこにチップ需要を生み出しても、安いままだろう。

ということは、しゃにむに木材自給率を上げることに熱中したら、チップに国産材をどんどん投入することになり、木材価格は安い方へと引っ張られる可能性が高い。林地残材を商品化するということは、実はこんな側面もある。

それは結果的に、山元への還元が少なくなることにつながる。まさに「林業振興」が、「山村疲弊」へと結びつくジレンマ!

だから、木材自給率にこだわるのは危険なのだ。できれば山元への利益還元率とか、絶対額のような指標を持つ方がよいのてはないか。

ところで、私の発言を受けて、熊崎実大先生は、「ドイツの木材自給率は、約50%にすぎない」と言った。あれほど製材などを輸出しているのに、木材自給率はそんなに高いわけではないのだ(日本より、相当高いけど)。

実は、残りの50%は主にチップを輸入しているのだそうだ。製材・集成材・合板は輸出するほど作っているが、一方で安いチップは輸入する。

ある意味、水平分業体制が成り立っている。もっとも、そのチップを輸出している国はどこか、チップの価格でその国の林業者は潤っているのかはわからない。輸送エネルギーのことも考えないといけない。それでも、一つのモデルになるかもしれない。

2010/01/19

プレゼンテーション講座

但馬を訪問していたのは、カニを食べに行っていくのが目的はない。いや、目的の一つだったかもしれないが、主要な目的ではない。そうだと思う。きっと。

実は、森林林業活性化プランナー養成講座というのを開いていて、その肝である「プレゼンテーションの実習」を行っていた。それこそ、服装の色で相手の印象を変える方法から、話し方まで多岐にわたったのだが、実際に受講生にプレゼンを体験してもらう。

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とくに自分で何らかの商品を他者に勧めるプレゼンをやってもらったのだが、意外やそこでは、新たな商品の提案がいくつも行われた。

たとえば、新しい形のペンとか、木のコップ、北欧タイプの国産材家具、ノベルティとなる間伐材グッズなどなど。

もちろん、突っ込み所はいっぱいあるのだが、そこで長所・弱点を指摘しているうちに、本当に「これ、売れるかも?」と思い出すから不思議だ(笑)。

最後に、次回への宿題というか、テーマ。

予算100万円を獲得するための、プレゼンをやってもらう。100万円を何に使いたいのか、その理由を周りに納得してもらえるようなプレゼンに挑戦するのだ。もっとも面白く、説得力のあった人には、私から賞品を出すことにした。

たとえば、100万円で宝石を買って女房にやる、でもいい。その代わり、なぜ宝石を買い与えなくてはならないのか、説得しなければならない。自分の趣味であるガンダムのフィギアでも、鉄道模型でもいい。ただ、それを買うことでどんな効果があり、お金を出す方もよかった、と思えるプレゼンでなくてはならない。

もちろん世界平和のために使う、でもいいのだが、面白くなければ認めない(^o^)。

期日は3月。さて、どんな案が出るかな。私も賞品を用意しなければならない。100万円分に匹敵するようなものを。

2010/01/18

カニ三昧

カニ三昧
兵庫県の但馬に来ている。
但馬ならカニでしょう、と泊まり。いや、食べましたよ、カニの刺身に、焼きカニ、カニのじゃぶじゃぶ…。ああ、カニ味噌もあった。カニ雑炊も。

苦しい。もう、勘弁してください。食べられません。
林業なんか、どーでもよくなる(>_<)

でも…。

2010/01/17

阪神大震災と木材産業

今日は、1月17日。阪神淡路大震災15周年である。

この震災を身近に体験した人は、今もなにがしかの心の傷を抱えているように思う。ふとしたときに、感情がほとばしるような……。

さて、15日のシンポジウムは、6人の講師を迎え、さらにパネラーやコメンテーターとして2人が加わっているので、非常に盛りだくさんであった。が、そのために一人の講演持ち時間が25分しかなかった。パネルディスカッションも、かなり時間的にタイトな展開だった。

私は、少々オーバーしたって…と内心思っていたが、なんと「あと5分」「0分」というフリップを示されて、時間厳守を求められる(^^;)。

そのため早口になって、割愛した話題も少なくないのだが、そのうちの一つをここで紹介しておく。

それはシンポジウムから2日後、つまり阪神大震災に関わることだ。

震災発生時、私も翌日現地に入ったが、まさに瓦礫の街であった。そして、目にしたのは、木造住宅の倒壊である。

全壊住宅は、約10万5000棟という。そのうち木造住宅が何軒かは知らないが、実は、倒れた木造住宅には、特徴がある。戦後、昭和30年代から40年代に建てられた住宅が圧倒的に多いのだ。

戦前の住宅は、意外と倒れていない。そして50年代以降の外材を豊富に使った家も倒れていない。私が友人宅を訪ねると、なんとその町内全域が壊滅していた。が、唯一残っていた住宅が、友人のものだった。彼の家は、震災前年に建て直したツーバイフォー住宅なのである。まるで瓦礫の地平線が見えるかのような町内に、さん然と建っている彼の家の雄姿?は忘れられない。

だから、私は今も国産材住宅に不信感を残している。

シンポで私には「国産材が使われない理由」というお題をいただいたので、まず「国産材が売れた時代」を紹介した。そのころの(今も?)木材産業の阿漕なビジネスを…。
たとえば三寸五分角材という名の材が、三寸三部であり、それが三寸二部、三寸一分……と細くなっていく話である。もちろん材質も、乾燥もいい加減なものだった。
加えて、建築そのものも手抜き工事が少なくなかった。

そう、こうしたいい加減な木材によって建てられた当時の家が倒れたのだ。
阪神大震災が6000人を超える死傷者を出したことの責任の一端は、当時の木材産業の関係者にもあるのではないか、と思う。そのことを当事者は、自覚しているだろうか。

今、「安い外材に押されて……」などと、苦境を訴える資格があるのか。

ぜひ、自問していただきたい。

2010/01/16

満員御礼

シンポジウムは、まれに見るほど満員御礼だった。

200人の予定の部屋だったが、開始時間後も続々と来場の列が続き、急遽イスを追加するも間に合わず、関係者席にも客が入り、とうとう立ち見が出た。いや、入れずに外で立っていた人やあきらめて帰った人も相当数いるはず。

だから発表舞台のほとんど前まで人が座っている状態で、緊密感はたいしたものだ。

なんで、「日本の森林バイオマス利用を進めるには 林業復活のための提案」という専門的?業界的なタイトルのシンポに、こんなに人が集まるの。

なかには、民主党の政策をうかがうという意味もあったかもしれない。あるいはバイオマスという言葉に引かれたり、ビジネスチャンスを考えて参加した人もいたかもしれない。わりと企業関係者もいたようだから。しかし、多くの行政関係者やNPO関係、メディアも含めて注目するのは何故だ。林業という一業種、それも遅れた小さな業界の話題に、こんなにみんな熱心なんだ。

たとえば、これまで斜陽とされた養蚕とか、繊維業界の復活を願うシンポジウムを企画して、これほど注目されるのだろうか。

そう考えると、林業って、幸せな産業なんだなあ、と思う。これほど外野の応援団が多い業界って、そうないよ。多くの人が気にして、復活を願うなんて。

そのこと、林業界、木材業界の人は、わかっているのかね?

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盗撮写真は、これくらいですかね…。

2010/01/15

補助金批判

東京でシンポジウムに出席。私を含む(((^_^;)林業界の大物六人がいならぶ凄い顔ぶれで、大盛況だった。

私は、硬派で迫るつもりで、徹底的に補助金批判と木材業界の甘えをたたく覚悟だったが、私の前に話した熊崎実先生が、ズバリ補助金と切り捨て間伐批判を展開したので、私は腰砕けになった。だから私の発言は、極めて穏やかなものになった。いや、本当だって(*^^*)。おとなしく、小さくなっていた(笑)。

この報告、続く。

2010/01/14

パソコン更新、いまだ苦戦中

昨年末にウィンドウズ7のパソコンを購入して、その移設に苦しんでいることを紹介していたが、いまだ続いている(^^ゞ。

本日、問題のワープロソフトがようやく届いた。私は、日本語ソフト(Japanist)を更新しないといけないと聞いて、そちらを購入したのだが、次はワープロソフトの更新が必要だという。するとワープロソフトにも日本語ソフトが内蔵されていて、結局二重に購入させられたことに。

こんなこと、販売店の方で注意してくれよな。ちゃんと、こちらの従来のパソコン・ソフト環境を伝えたうえで購入したのに。

それでも、ようやく新しいパソコンでワープロが使える(これまでの原稿は、旧パソコンで打って、新パソコンにUSBメモリーで移して、メールで送信…という手間をかけていた)。

と喜んで、インストール。が、またまた妙なことが…。しかも、これまでのワープロに登録していた専用語が、このブログのようなインターネット画面では出てこない。ほかにも、いくつも変な点があって、昔と同じパソコン環境を整備するには、時間がかかりそうである。

以前のパソコン移設には、こんなに苦労したことはない。7は優秀なOSだというが、意外と泣かされているのである。

2010/01/13

森林認証制度が日本の山を殺す?

林業界では話題にならないが、木材を扱う業界で最近話題になっているのは、合法木材の問題のようだ。

木材を使う場合、その木を得るために森林破壊になっていないか、という消費者意識にどのように応えるか、というのだ。
世界的に合法木材を求める声が高まっている。地球温暖化問題や生物多様性問題を抱えて、熱帯諸地域の木材はおろか、ロシア、そしてアメリカでさえ、非合法的な伐採をした森林が増えて、その木材が市場を占拠している。これをなんとかしろ、という消費者が増えてきた。

日本には、合法木材証明を出さないと公共工事に使えないなどの枠組みはあるが、その実態はあまり明確ではない。ちゃんと認証に耐えられる管理を行っている森林がどれだけあるのか心もとない。とくに外材の場合は、合法かどうか非常に難しい。

そこでFSCやSGECなどの、森林認証制度が登場する。

環境に配慮した林業を行っている森林を認定するものだが、これが合法証明にもなるし、それ以上の環境問題の切り札なのである。

もともと認証は、森林の管理ツールとして誕生した。だが、世界の趨勢は、徐々に変化してきたようだ。森林認証は管理ツールから、取引の義務ツールになりつつあるのではないか。木材貿易に森林認証が欠かせないパスポートになっていくことを示している。

とくにヨーロッパでは、PEFCsの認証が多国間貿易の際に義務化しつつあるようだ。もともとPEFCsは、各国の森林認証相互承認システムだが、この認証を取っている国の木材は、輸出・輸入しやすくなる。逆にいえば、認証がないと輸出入しにくい。

ところが、日本では森林認証制度は、まだまだマイナーだし、認証面積もしれている。そして市場に出される認証材の量は、極めて少ない。とても、消費者の要望に応えられる状況にない。

そこで気になるのは、日本独自のSGEC認証が、PEFCsに加盟しようとする動きだ。加盟すると、国産材が海外輸出できるようになる…のではなく、世界からヨーロッパを始めとするPEFCsの認証材がドドドと日本に流れ込んでくるだろう。

なんたって認証材である。環境に配慮してるもんね。合法木材のお墨付きみたいなものだ。外材だからと敬遠する向きも文句が言えない。日本の木材は、大半が人工林で持続的だ、と主張しても、認証がなければ信用されないし、そもそも再造林放棄が進む日本の山で、本当に持続的だと言える木材がどれだけあるのか。

下手すると、森林認証がないことを理由に、国産材が駆逐されるかもしれない。
森林認証制度が、日本の山を殺す、なんて言ったら、言い過ぎだろうか。

2010/01/12

東大寺の柱

昨日の続き。

東大寺の大仏殿に入ったわけだが、私が撮影したものの大きな一つは、柱である。

拙著「だれが日本の「森」を殺すのか」に記した通り、現在の大仏殿が建造された江戸の元禄時代は木材資源が尽きていて、柱は集成材になっている。その証拠をしっかりとカメラに納めておこうと思っていたのだが……。

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大仏殿の後ろの隅に、こんなものを発見した。

なんと、柱の一部である。それが無垢の木なのだ。明治の大修理の際に外されたものの一部らしい。材はスギだが、芯の部分が腐っていた。

それにしても、無垢の柱もあったのか。見たところ、大仏殿の柱は、いずれも釘と鉄輪で集成されているのだが。

それにしても、その集成材柱の釘も、かなり乱暴に打たれたものもあり、案外やっつけで作ったんじゃないの(笑)と思ってしまった。

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釘の打ち方をよーく、見て。

2010/01/11

それは東大寺から始まった

今日は東大寺に行ってきた。

写真撮影が目的である。これまでも大仏殿の写真を何かと使ってきたが、もう5、6年前に撮ったもの。何か変化するものではないが、そろそろ新しいヴァージョンに切り換えないと、何かの時に「今の大仏殿と違う」と言われてしまう。だから撮り直しに行こうと思っていた。

行ってみてわかったのは、大仏殿も大仏様も、まったく変わっていなかった(^o^)。当たり前か。 でも、あらためて、その大きさに圧倒される。

ただ、アジア系の観光客が非常に多く感じた。あちこちから中国語や韓国語が聞こえる。それも小学生の団体とかソウルの女子大生グループなどだ。

これが遷都1300年祭効果ならいいのだが。

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ところで写真を撮ったのは、大仏殿だけではない。

                                                 

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これは、大仏殿横のトイレにある自動販売機。見てのとおり、木の装飾が施されている。毒々しい色の販売機を覆って、古都らしい雰囲気を演出しようと工夫を凝らしたものだろう。

実は、このことを教えてくれたのは、昨日来訪した長野県上田市の方からである。

彼は、数年前に奈良を旅して、この自動販売機の覆いを見て感激し、そのことを上田市に帰ってから誰彼となく吹聴したらしい。奈良は、このように景観に木を使って風情を出している、我々も木による景観をつくり、街づくりを進めよう、と。

その意見が人づてに広がり、なんとポッカの自動販売機に採用されたらしい。ポッカは、カートカンという間伐材の紙による缶を開発しているが、その自動販売機は木が貼られているらしい。そういえば、以前林野庁で見た記憶がある。

へえ、奈良が自動販売機木化のスタートだったのか。これ、誇るべきこと?

たしかに奈良は、各地でこのような景観保全は行われている。しかし、それが全国に先駆けてなのかどうは知らない。ともあれ、こんなところに影響があったのならよいことだ。

そこで私も撮影したわけ。この何年間の歳月が、木にいい味を出させた気がする。どこかでこのネタ使おう(^o^)。

どうせなら、せんとくんも、木で作ってよ。

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2010/01/10

真田幸村を大河ドラマに!?

昨日、長野県からのお客さんを迎えた。月末の講演の打ち合わせである。

例によって、私の応接間(笑)ラッキーガーデンで迎えたのであるが、そこで盛り上がったのが真田幸村。なぜなら信州上田市から来られたからである。

上田といえば、真田家の本丸であり、上田城は2度にわたって徳川の大軍を打ち破った伝説の地。そして幸村は大坂城の陣で大活躍しつつ倒れたカリスマ的英雄である。
まさに戦国武将ブームの中でも、一番人気の武将である。

私も、昨年の夏に訪れている。残念ながら仕事が忙しかったうえに、雨。私は朝6時から上田城を雨の中見学に行ったが、写真も撮れなかった(^^;)。それでも、やっぱり上田に来て、ここを見ないわけにはいかないでしょ、という気分だった。実際、全国から観光客はきているという。

ところが、意外や地元では、あまり真田家について興味も強くなければ顕彰もしていないらしい。もちろん郷土の英雄ではあるが、それで町おこしを、という勢いはないという。

今、真田昌幸・幸村を主人公にすれば、絶対盛り上がるのに。一応、地元でも「真田幸村を主人公にNHK大河ドラマに、という運動は始まっているらしい。

それを始めたら、長野より大阪で多くの署名が集まる(^o^)。

ともあれ、その運動にのっかって、木をいっぱい使って歴史的な町並みを作ってもらいたいものだ。

2010/01/09

耕作放棄地を「山林」指定に

長野県が、耕作放棄地で、すでに山林化している土地を、法的にも「山林」に地目変更する政策を打ち出している。http://www.shinmai.co.jp/news/20100106/KT100105ATI090004000022.htm

「県は耕作放棄が長年続いて実質的に林野化している県内の農地数千ヘクタールを、森林法に基づく「山林」に指定替えする方針を固めた。耕作地として復元を目指すよりも、土地の実態に合わせて森林として整備する方が現実的との判断だ。2010年度から5年計画で耕作放棄地の実態を調査しつつ、山林として扱う方が適当と判断した農地を順次切り替えていく。」

これは地味だが、結構重要な政策ではないかと思っている。というのも、以前から手のつけられない「森林」として、耕作放棄地のことを耳にしていたからだ。なぜなら地目は農地のままだと、森林整備計画に入れられないし、林野関係の補助金も使えないからだ。(農地は農振法、山林は森林法) かといって、もはや農地にもどすことも不可能だろうし、やる気もないだろう。しかも農地だと、売買も難しいし、建造物も簡単には建てられない。

もちろん「山林」に変更しても、林業やるとは思えないし、その後どうするの? という面はあるが、地域計画を立てやすくなるのではないか。

ただ行政が勝手にできるのかどうか。持ち主の意向とか、法的にどんな手法で転換できるのかはよく知らない。今回も調査費を計上しただけである。

ともあれ、この措置を全国で実施すれば、日本の森林面積が(統計上)増えることになるだろう。



2010/01/08

素材生産業の収支

世の中、デフレだとかいって、価格は値下げ続きだ。

素朴な疑問だが、どうして商品の価格を下げられるのだろう。いくら安くないと売れないからといっても、原価を割ったら自分が損をするわけで、そんな安売りは利益が減るどころか身を削ることになり、とてもビジネスとしてやっていけない。それくらいなら廃業した方がマシだ。

やはり、それなりに工夫して損はしないように(従来ほどの利益は出ないにしろ)しているはずだ。

実際、某ファーストフード・チェーンは、店内の内装を削ったり、原料を安くしたり、規格外品を仕入れるなどして、原価を下げているそうだ。そのほか流通過程を変えたり、加工の下請けの価格を切り下げたり、自らの利益を削るにしてもマイナスにはならないよう考えている。

それは言い換えると、無駄を省き、知恵を絞っているということにならないか。

そんなことを考えたのは、先日の佐賀で訪れた素材生産業者の話を聞いたからである。

彼は、「補助金をもらってはダメ」だというのだ。

そして、材価が下がっても利益を出す方策を模索している。それも、施業の低コスト化を進めているわけでもない。

あくまで架線を使い、作業道もあまり入れない。プロセッサはあるが、枝払いに使うのであって、玉伐りはチェンソーで丁寧に行う。だから毎月の出材量と現場作業員の人数からすると、一人一日の生産量は3立米にも満たない。今どき流行りの、機械化によって生産量を増やす手はとっていないのだ。

これで、どうして利益が出るのか?

彼のいうには、機械化すると利益が出ないのだそうだ。たとえば玉伐りの際に無駄な端材が出て、全体の生産量が減ってしまう。また径級が狂って安くなる…などするらしい。

このあたりのテクニックは簡単に説明できないが、手作業で丁寧にやることで、結果的に同じ本数の木を伐っても出材する材積は増える。たとえば土場に捨てる端材を減らすことによって一割出材を増やせば、利益も一割近く増やすことになる。
そして丁寧ゆえに高く売れる。全体として利益は出るのである。また直接注文で求められる材質・材長の木を出せば、当然高く売れる。

……このような話を聞いたら、もしかしたら、材価が下がって利益が出ない、と嘆いている素材生産業者は、こうした努力をせずに、昔のままに大雑把な造材をして、無駄をいっぱい出して、利益が出ないと嘆いているのではないか、と思えてきた。

そして、自ら努力をせずに、補助金をもらって穴埋めしているだけではないか・・・・もちろん、各地の事情によって、そんなにうまくいかないところもあるだろう。しかし、である。反論があったら聞いてみたい。

2010/01/07

ノーベル経済学賞の「共有資源のガバナンス」

ちょびっと、小難しいことを(^^ゞ

昨年のノーベル経済学賞の受賞者を知っているだろうか。

米インディアナ大のオストロム教授である。初の女性だということだ。

で、その業績は、主に共有資源のガバナンスである。
共有資源(コモンズ)とは、川や湖、海、森林、さらに魚類や野生動物、牧草地などを指し、個人や組織が共同で使用・管理する資源のこと。

この共有資源を適切に保全管理することは非常に困難だとされている。
個人や組織は、自分だけが得したい利己的な動機に基づいて行動しがちだからだ。
その結果、共有資源は荒されてしまうという「コモンズの悲劇」論も指摘されている。

そのため共有資源の保全管理は人々の自主性に委ねては不可能であり、
「国家による解決」
「市場による解決」
の二つしかないと多くの人によって言われてきた。

だが、この二つの方法も不十分であることは、社会主義国家や強権的国家の現状や崩壊、資本主義社会のさまざまな市場の失敗や環境破壊の進行が示しているだろう。

そこにオストロム教授は、第三の方法として「共有資源に利害関係をもつ当事者が自主的にルールを取り決める保全管理の可能性」を示した。

それによると共有資源の自主管理を成功させるためには7つの必要条件があるとする。その中でも重要なのは「当事者によるモニタリングとルール違反者に対する処罰ルール」だろう。

協力から離脱した者に対して他の関係者が処罰するのだ。それによって協力からの離脱を阻止する。
一般に処罰行動は、離脱者だけでなく処罰を実施する者もコストを負わねばならない
しかし調査と実験によると、関係者は自らの金銭的コストをかけても離脱者を処罰することが観察された。
一般に人は「利得の最大化行動をとる」はずだが、なぜあえて自らも痛みを伴う処罰を行うのか。

おそらく「怒り」や「筋を通す」気持ちが個人の利益を凌駕するのだろう。その奥底には、なんらかの合理性があるのかもしれない。
最近は神経経済学なる分野によって、人間の感情や行動の誘因が神経科学的に調べられている。それらを解明できれば、うまく説明できる日が来るだろう。

私は、その理論に触れて、なんだか田舎社会の論理に近いような気がした(^^;)のだが、都市社会にも適用できるだろうか。現代社会では、処罰するにも、さまざまな逃げ道が用意されているからなあ。たとえば、今や「村八分」的処罰は、たいして効果が見られない。法的裏付けも難しいかもしれない。

それでも、こんな研究がされていることに面白みを感じた。

2010/01/06

志賀島の金印

福岡では、帰る前に志賀島にわたって(といっても道路でつながっているが)、v古ぼけた資料館で「漢委奴國王」の印を見てきた。もちろんレプリカだけど。

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漢の光武帝が日本からの使者に下賜したとされるものだ。

が、実はこの金印にはかなり疑問があり、偽物説も根強い。だいたい、江戸時代とはいえ、どこから掘り出されたかもはっきりせず、発見過程も、その後の鑑定も、非常に怪しげなのだ。

とはいえ、今や国宝である。誰も訂正できない(^^ゞ。

実は、樹木の世界にもよく似た話はいっぱいあって、奈良県の名勝・又兵衛桜(後藤又兵衛にちなむとされる桜の大樹)も、真っ赤な偽伝説だそうだし(植えた人は、今も生きている)、縄文杉の年代といい、たいていでっちあげ。

それでもいいのだ。

楽しめたら(^^;)。

                                                    

2010/01/05

寒波襲来

今日は佐賀に取材。泊まりは博多だ。
せっかく九州に来たのに、大寒波が襲来している。雪まで舞う始末である。

私が出かけると雨がよく降るから、雨男と呼ばれている。雪のことを娘にいうと、「雪男!」と言われてしまった。

2010/01/04

朝日新聞一面に「四万十式林道」

全国版ではどうか知らないが、今日の朝日新聞朝刊〔関西版〕のトップ記事は、「四万十式林道」だった。

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見よ、一面のトップ記事だよ。

よほど、話題がないとしか思えない(笑)。

四万十式と呼ばれるのは、正確には作業道であって林道ではないが、それはともかく、こんな専門的な、業界用語的なことを一面とは。

内容的には、専門家からするといまさらではあるが、それを一般向きに書いたことはよい。多少物足りないというか、欠けている部分もあるが、まあ、いいだろう。記事はべたぼめだ。エコだ低コストだと、よい部分ばかり並べている。

しかし四万十式作業道には、林道の大御所から猛烈な反発があることを知っているのだろうか。これ読んだら、また怒り狂う人が出るんじゃないかなあ(笑)。

今頃、編集局には抗議が寄せられているんじゃないだろうか。

それにしても、トップ記事だよ。

それほどニュースバリューがあることなのか。正月明け一面にふさわしい「明るい話題」だと考えたのだとしたら、整理部の見識が…。謎が謎を呼ぶ、記事である(爆笑)。                        

2010/01/03

波乱の相

謹賀新年

本年も森林と林業と山村を、ブログともども、よろしくお願いします。

今年も生駒大社と宝山寺をダブル詣でした。

幾度も無心に手を合わせていると、波乱の相が頭に浮かんだ。いや、何が波乱なのかわからない。林業なのか、日本の政治なのか、地球なのか、いや私の仕事なのか、はたまた我が家なのか。

で、御神籤を引くと、どちらでも「吉」。さほど上位の運勢ではないが、

「ものは前向きに考えるが躍進の秘訣」
行く先に喜びごと、あるなり」
「官位、俸祿もわが思ふままに満つるなり」

なかなか、よいことが並んでいるじゃないか(^o^)。

もっとも「今までのことはあらためて、別に願ひ望むことよろし」
「今苦しくとも必ず快方にむかう」

なんて項目もある。

ともあれ、「物事に存する良き面を意識し、研鑽にはげむべし」なのかもしれない。

追伸 年賀状は、こちらが送った先からは来ず、送っていないところからたくさん来るのはなぜだろう? そして、今年は、いつにもまして私の名前を「田中敦夫」と間違えた年賀状が数多いのはなぜだろう? 私の名前は、…田中淳夫です。

また、ある人からは「銀座でみつばちプロジェクトしているんですね」とあった…。

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