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森と林業の本

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2010/01/22

木材価格の下落とは?

先のシンポジウムで、割愛した話題を、もう一つ。

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かなり手作りっぽいグラフだが、スギ角材の価格構成推移である。(1立方メートル換算)

木材価格の減少が如実にわかる。が、その中身はわかるだろうか。

林業関係者では、常に木材価格の下落が嘆きの元である。たしかに30年40年前からすると、情けないほど下がっている。

だが、比較する時代が間違っているとも言える。

昭和30年~40年代は、木材価格が暴騰した時期であり、あの高価格が異常だったと言えるからだ。現在は、木材輸入ができなかった時代、そして役物人気で、国産材が求められた時代ではない。バブルの時代と比べて、現在の株価がどうの、地価がどうのといっても詮ないのと同じく、木材価格も適正価格から外れていたのだ。

そしてグローバリズム進展の中で、木材も国際商品となったのだから、今後も上がる可能性は少ない。常に海外の木材、あるいは非木材マテリアルと競合し続ける。

……というような話は、改めてするとして、ここでは、下がった木材価格の中身を見てほしいのだ。

グラフに示されているのは、立木段階と原木供給段階(山から原木を出してきた状態)、そして製品供給段階(製材など加工済)に分けて見る。

すると、搬出費用とか、加工費用の絶対額はそんなに大きく下がっていないことがわかる。

製材品価格の落ちた分の多くをかぶっているのは、立木価格なのだ。

言葉は悪いが、伐採・搬出・製材加工関係は、きっちり必要額を取っている。だが、売買価格は大きく下がっているから、そのツケをほとんど山元(森林所有者)に回している。

この構図を見れば、なんのかんのと言っても、木材の出荷に関わった人は、利益をあげているのだ。だが、その前段階、何十年も木を育ててきた所有者には何の見返りもなく、搾取されていることになる。

山を売ってお金を得ることは、なんとなく不労所得ぽいが、まじめな林家ほど経費と労力をかけて造林・育林してきたのに報われない。

逆に言えば、森林林業の再生を考える際に、いくら林業が活性化しても、山元に還元されないと意味がない。

この点を、もっと深く考えてほしい。

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コメント

木材価格の下落を山主がかぶっていることがよくわかります。

50年、100年育ててきた木を、放蕩息子が売って、その金でばくちや女遊びをしてしまったということがあるのかとも思いますが、100年に一回しか収入がなくてその前の99年11ヶ月のコストがかかっていること、改めて植林をしなければならないことを考えなくてはならないですよね。

でも遊びほうけたキリギリスに税金・補助金で99年間の面倒を見ることはごめんこうむりたいとも思います。

山の大切さはとてもよくわかりますが、いろいろな人もいるのでは・・

>搬出費用とか、加工費用の絶対額はそんなに大きく下がっていないことがわかる

このグラフだけ見ればそうですが、これに数量をかけなければ、必要な金額が確保できたかは論じられないですね。加工流通部門も厳しい現実にさらされています。

流通加工部門が苦労していないわけではありません。ただ、利益は圧縮されたでしょうが、ゼロではない。(ゼロ、マイナスなら、そもそも請け負わない。)
山元は、これまでかけてきたコストが回収されていないのです。ほぼマイナスです。

ただ問題は、その山元コストの中身が難しい。篤林家もいれば放置一歩手前もあるのだけど、彼らへの税金投入は同じです。しかも、その後再造林するかどうかの審査もない。補助金行政は、こんな穴もあります。

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