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2010/04/21

「風説の流布」価格

これまで木材価格に関連して、花卉産業と比べたり、あるいは野菜の高値を連想したりと、まさに「思いつくまま」に記してきた。

それらを振り返って気がついた(いや、これも思いつき)のだが、ようするに森林や木材は、その原価や加工費、労働量、需給関係、そして利用価値などを積み上げることで価格を決定するようなシステマティックな商品ではない。

どちらかというと、好きか嫌いか、流行っているかいないか、目立つか目立たないか……といった感覚的なものに左右されがちだ。いわば感性で価格が決められる要素が大きい。その点から言えば、木材を扱う商売は、まさに「山師」だ。のるかそるか、相場の乱高下を楽しむ面があるのではなかろうか。

となると、重要になってくるのが「風説の流布」である。

本来は株式取引の場で使われたらしいが、嘘か誠かわからない情報、噂を流すことで売り手買い手の気持ちを左右することで、株の値段を上げたり下げたりする。その隙間を縫えば、安く買って高く売れる。
その情報は嘘でも本当でもよいのだ。もちろん本当の方がよいが、とにかく世間に流行らせることに意味がある。そして一時的にも信じてもらえれば、価格に反映する。

どこぞの会社が、合併する、事故を隠蔽している、画期的な技術を開発した、新商品を発売する、という風説を流せば、株価に跳ね返る。

雨が続いたり、大雪だ、台風だという気象を、うまく野菜の生育とか出荷に結びつけて品薄状態を演出する。

高速道路ができるとか、工業団地計画をでっち上げて山林を高く売る原野商法もある。
中国人が山を買いに来ているという情報を流して、山の不動産価格をつり上げる御仁もいるのかもしれない(^^;)。

ならば、山主もあえて「風説の流布」をやってみてもいいかもしれないなあ。

外材の輸入が止まるとか、外材は10年で朽ちるとか、毎日木を目にしていると癌が治るとか、国産材で家を建てると補助金がもらえるとか、風説を流して価格をつり上げても文句は出ない……かも(^o^)。

あれ、すでに流れているか。間伐をした森林はCO2を吸収するとか、森林にはマイナスイオンが多いとか、森歩きをすると病気が治るなんて研究成果が発表されているもんね。

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コメント

風説の流布を専門に企画・実行する会社があるんですって。
という、風説を流布・・・いや。あったりして。

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/20100405_359184.html">エイプリルフールネタが信じ込まれたのか株価が上昇なんて,それこそネタような本当の話が今年ありましたが,リンク記事にもある通り,これってどういう法的解釈がなされるんですかねぇ

 ガンが治った、血糖値が下がったって話は聞きました。この話の場合、木に関わる人は健康で長生きしてくれないと困ります。

エイプリルフールにも関わらずだまされる人がいるんだから、使えますね(⌒ー⌒)。

本当に「外資が日本の森を奪おうとしている!」という噂を流し、中国語をしゃべる人を何人かつれて山村を歩き回ってみたらどうか。そのうえで愛国心あふれる人々に出資を頼んで二束三文の山林を高値で売りつける商売をしてみたい。

まぁhttp://smartchart.nikkei.co.jp/smartchart.aspx?Scode=3715.1">件の会社のチャートを見ると,4/1の値は通常の変動範囲なんですよね,と後からは気づきます(赤い5日移動平均線がまさにこの日に上昇しはじめているのは気になりますが).また,翌日の安値こそ戻ったけれどその後全体としても上昇傾向ですね.これが正しい情報が正しく判断された結果ならばいいのですが・・・まさかエイプリルフールネタでまだ買われているわけがないですから,その後何か他のニュースがあったのでしょう(たとえば4/8?).

>本当に「外資が日本の森を奪おうとしている!」という噂を流し、

あがたしも書こうと思いました(笑)

でもそれで騙された人が今度は黒幕田中さんのネガティブな風評を流すという化かし合いが始まったりして・・・

=====
ところでマイナスイオンという言葉,使う人によって定義が異なるのでその理解を共有しないと会話が成立しないやっかいな存在です.実は和製英語なので本来の意味はよく分からないのですが,おそらく負の大気イオンの俗称から始まったものでしょう.そうだとすると,なにしろ気相のイオンという超希薄・超微小物質ですので,いったいそれが「何」であるか測定し同定すること自体が難しい状態です.一応総量を推定する測定法はJIS化までされているのですが,湿度等の影響を強く受けるので,実験室ならともかく野外ですと信頼できるデータを得るには万全の注意を払う必要があります.

なんていう地道な研究が(少ないながらも)行われていたところに,あのマイナスイオンブーム.意味は拡散し,うさんくさい商売の宣伝にまで顔を出し,「珍理論」が幅をきかせ・・・

これをちゃんと最後まで書くとまた長文になるので,ここまでということで.

マイナスイオンブームは,「科学っぽいけど何となく分かるような気がする」用語を使って風評を起こせるということを思い出させてくれました. いまさら自然大気中のマイナスイオンというとうさんくさい目で見られることがあります(将来きちんとした研究が進めば変わる可能性はゼロではありませんが)ので,何かほかのいい科学的成果はないかなあ-森林の「よい」風評を作り出すには.でもそれは「第二のマイナスイオンブーム」を産み出して科学の立場をおとしめてしまうことになるかも.そしてブーム終焉時には,森林の評判は地に落ちてしまうかも(そのころは誰かが濡れ手に粟なんでしょうが).

黒幕は表に出ないのです。ちゃんとダミーを仕立てる……(^_-)。

マイナスイオンというのは、本来的な意味はさておき、ほとんど広告コピーですよ。身体にいいというのはどう考えても嘘っぱち。あれを売り文句にした家電がどれほどあるか。中身はないも同然なのに。現在は虚偽広告扱いされて禁止になったんだっけ?

ただ森林総研にもマイナスイオンを測定して、いかに身体にいいか説明しようとした報告書があります。国家的機関がこんなインチキ商売に手を貸していた(主に森林セラピーだけど)のだから、木材業者がやっても文句いわれないだろう。

嗅覚を考えると,空気中の微量浮遊物質(それこそ分子レベルの小ささ)が,本人の自覚の有無を問わず何か人体に影響すると考えるのは不思議ではないんですよね.そういう意味で真面目に研究してきた/いる人もいます. とは言っても測るのが難しいし(何しろすぐ変化しちゃう),特に野外ではにおい物質などといった強力なライバルが同時に存在するので,なかなか難しいようです.

で,におい物質なんですけど,森林にはそれが充ち溢れている場合があって人体に影響を与えることがありますよね.もちろんhttp://www.amazon.co.jp/dp/4827550662/">森林セラピー(←リンクにて田中さんの本を宣伝しました(笑))の文脈でも研究されているはず.もしかしたら将来には,「これまで未知だった×××というにおいが発見され,それは身体の○○○という不具合を改善してくれる.そしてそれは森林にしかない!」なんて宣伝が起こるでしょうか.

=====
あと,人を集めるという点では,東京・明治神宮の深い森の中にある湧水「清正井」がすごかったです.パワースポットだか開運スポットだかとして紹介されたら人が殺到.もちろん行列.おかげで,柄杓を持ってぶらりと立ち寄るなんてことができなくなりました(有料エリアであるためか,以前は実に静かだったのに).

 今後はパワースポットで人寄せでしょうか?「大地のパワーは森に集まる」.そういう場合には風水も入れて,「間伐で運を開こう!」「国産材の家で運気アップ」とか.

へえ、明治神宮の「清正井」がそんな状態ですか。私も訪れたことがありますが、有料ゆえに穴場だと思っていたのに。

パワースポット! これは使えますね(笑)。パワースポットの森から伐り出された木材ということで値段をつり上げたらどうだろう。ご神木でもいいかな。まあ、森林破壊だと言われそうですが。

家運隆盛や子孫繁栄のご祈祷済みとか、魔除けの真言の文字入りの柱材など。

お札も木でできているのがあるから、お札のサイズが大きいバージョン(笑)だと思えば、ありかも。
もちろんパワースポットの森由来の材で作ります~。

>中国人が山を買いに来ているという情報を
>流して、山の不動産価格をつり上げる御仁
>もいるのかもしれない(^^;)

この業界を舐めちゃいけません。
もう既にわんさか湧いてます(笑

まあ上手くは行ってないみたいですが、
この現象を誘発したのは間違いなく東京財団ですね。

いっそのこと、中国の神様を奉ったご神木というのはどうかなあ。キョンシー……じゃない、孔子様か老子様。いやいや風水で龍の相がある木だとか。

実は東京財団の黒幕は、古代中国・殷を裏から支配した流浪の民の秘密結社で、その末裔が現代中国の指導層を操り、次は日本の国土支配のために乗り出した。その手段として日本の闇社会を牛耳り不動産業界と組んで、あの報告書&書籍を出したのである。いよいよ大東洋統一の鐘を鳴らす時が来たのだ!……こんな壮大な陰謀論をぶち上げてほしいな。

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