東京「森林の市」の役割
連日、私が訪れた日比谷公園の「森林の市」(およびパワースポット笑)について書き続けるのもナンだから、まとめたい。
実は、この会場を一周するのに2時間以上かかった。そんなに広かったわけではない。アチコチで出会いがあり、話し込んだからである。
たとえば、声をかけられて出会ったのが、「チーム組子」の面々。ここでは山梨県の木材による商品を扱っていたが、そこでは「山梨県FSC認証割り箸」をいただいた。
覚えているだろうか。今年3月?に本ブログで紹介したものである。その際にコメントをいただいた方が出店していたのだ。
ここで扱っていた商品は、割り箸だけでなく、こんなもの。
ヒノキによる棚である。金物を一切使わず、組子の技術で作られている。無垢板だし、シンプルで、デザイン的にもすっきりしていてよい。
実は、この商品、畳める。
こんな形。これで、棚の4面分。価格は1万数千円だったかな。
国産材家具は私も欲しいと思っていたが、この手の商品は価格が高かった。なぜなら家具職人の技量が問われるからである。また広葉樹材を使うからだ。しかしこれは植林針葉樹材で、技術は簡単とは言わない(組子部分はかなりの精度が要求される)が、量産できるタイプ。価格も安く抑えられた。芸術家・工芸家の「作品」ではなく、一般の人が気軽に買える家具である。
肝心なのは、「チーム組子」はさまざまな業界人の集まりだが、中心となるのは鎌倉の女性建築家たちであることだ。つまり山梨県の人ではないのだ。
そのうちの一人鈴木直子さんとは、以前割り箸シンポで名刺交換させてもらっていたが、こういう形での再会となった。
こちらは、エコデパ・ドットコムを運営する有限会社生活アートクラブ。
生活の中の環境商品、中でも国産材グッズばかり扱うネットショップである。と言っても卸主体で、その販売力は群を抜く。ここが扱うと、売れ行きが何十倍にもなるとして知られている。
地方に埋もれている国産材や林産物商品を発掘して全国に広げるのだ。その苦労話は、またの機会に譲るが、写真の富士村真知さんは、凄腕なのだ。
えっ、ウッドライクにしろ、活木活木森ネットワークにしろ、会っていたのは女性ばかりだって? いや、そういうわけではない。そういうわけではないが……まあ、そうです(^^;)。
彼女らに共通するのは、手がけたのは商品企画であり、販売であり、宣伝であることだ。
木材生産に直接タッチしているわけではない。
ここで街の役割が見えてくる。大都会は人口が多い。それは消費地であることを示していると同時に、企画や営業販売や宣伝という職域を担っているということだ。
逆に地方の森林地帯を抱えるところは、生産の場ではあるが、人口減少地であり、これらの役割を担える人が少ないのは否めない。
これは、後に受けた取材でも問われたのだが、「森林地域を助けるために、街の人は何ができるか」という答にもなるだろう。
だから東京の「森林の市」の役割は、単なる見本市で終わってほしくない。また各地の交流会であるのは間違いないが、同時に街の人材を、森林地域に引き込むきっかけになってほしいと思う。そして消費の場としての都会の役割を大いに発揮してほしい。
高層ビルを背景に「森林の市」が開かれているのが象徴的?
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チーム組子の棚、かっこいいですね。うちでも使いたいなあ。ちょうど店舗の部分に棚が欲しかったのです。
前の書き込みのリンゴの木組みもいいですね。リンゴマークのコンピュータを使い、リンゴマークのCDをごっそり買い込んだ私としては、ちょっと弱いところを突かれた館があります。
もうちっと東京に近ければ、こういう場所は見に行きたいのですが。。。
投稿: 沢畑 | 2010/05/17 00:20
ぜひぜひ。
販売は今春より始めているはずです。
http://morimatsuri.jp/kumiko.htm#6
投稿: 田中淳夫 | 2010/05/17 10:38
↑のURLや検索でも販売価格は探せなかったので、電話したところ組子の中心人物とお話ができました。棚を買うかどうか、今後前向きに検討します。情報をありがとうございます。
投稿: 沢畑 | 2010/05/17 22:03
それはよかったですね。棚に限らず、これをきっかけに連携が進めば幸いです。
投稿: 田中淳夫 | 2010/05/17 22:13