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2010/05/01

野崎まいり

ようこそのお運びで厚く御礼申し上げます。

今日から本当のゴールデンウィークの始まりということでございまして、世間様はしばらくのあいだ仕事のことも忘れて過ごさはられておられるでしょうが、そんな初日に戯れ話でお付き合いを願います。

まことに、えぇ時候になってまいりました。こんな日に堅苦しい話題も野暮でございます。
空は見事に晴れ渡っております。こんな日は、ひとつ生駒さんを散策しようやないか、と思うて車でぐるりと山の周りを走ったところ、山の木々は新緑に萌え、扇蝶、菜種、菜の花、咲き乱れています。思わずうっとりしますなあ。

ところで、大阪側の下町を走っておりましたら、その一角が賑やこうなっておりました。お巡りさんの姿もあり、どうやら縁日のようですわ。

祭となれば、寄らないわけにはまいりません。さっそく車から降りて、人の波に吸いよせられました。ここはどこ? と記憶喪失ばりに見回せば、「大東市野崎」の文字が電信柱のプレートに見えました。そうか、ここは野崎観音さんこと、慈眼寺か。5月1日から野崎まいりが始まったのでした。

実は生駒山-歴史・文化・自然にふれる-』
の本を出版した際に、生駒山系で有名な神社仏閣とか、祭などを調べると、必ず登場するのが野崎観音ですわ。関西では欠かせぬ名刹なんでしょう。野崎観音と言えば、
人形浄瑠璃の野崎心中」やら「野崎小唄」など、何かに付けて取り上げられるわけです。なかでも有名なのは、上方落語の演目「野崎まいり」ですな。

ところが、ここに私は訪れたことがなかった。

これはあきまへん。現場を訪れずに本を書いていいのか!

いいんです、というわけで、書かせていただきましたm(__)m。

そこで今日は、遅ればせながらの野崎まいりを行わせていただいたわけでございます。

野崎まいり。ご存じでしょうか。江戸時代の京都や大坂では、春になれば、生駒山の麓にある野崎観音に参るのが、ちょっとしたブームになっておりました。だいたい船で向かうんですな。当時は近くに淀川とつながる池がありました。そこで、船と岸辺を歩く人々が口げんかをしながら進むのが習わし?でした。

野辺へ出てまいりますと、春先のことで空にはひばりがピーチクパーチク、ピーチクパーチクとさえずって、下にはレンゲ、タンポポの花盛り。かげろうがこう萌え立ちまして、遠山にはふわーっと霞の帯を敷いたよう。麦が青々と伸びて菜種の花が彩っていようかという本陽気、やかましゅう言うてやってまいります、その道中の陽気なこと!

…とこれは、落語「愛宕山」の出だしでございますが、実は同じ台詞回しが『野崎まいり』でも登場しております。

今回の目に止まった縁日も、参道には人があふれ、なにやら楽しげな露店が並んでおります。リンゴ飴にイカ焼きタコ焼きお好み焼き、たまごせんべい。金魚すくいに亀釣り、ひよこ釣り、スマートボール。みんな、わぁわぁゆうてはります。

「寄ってんか、寄ってんか」
「焼きたてだよ、オイシイよ」
「ジュース、冷えてるよ」

客寄せの声も響きます。声だけやのうて、甘いカスタードクリームに、ソースや醤油の焦げる匂いまで誘惑が絶えません。身体が、つつつ~と引き寄せられますな。

あきまへん。まずは野崎観音さんにお参りせな。心を鬼に人をかき分けかき分け、なぶっては捨て、なぶっては捨て、狭い参道を進みましたところ、とうとう石段に着きました。
それが見上げるような急な段ですが、負けるもんかと、かかとを浮かして昇ります。誰に負けるんや、というツッコミはこの際おいといて、途中から足がつりました(;_;)。それでも顔だけは平然と門にたどり着けたのでございます。

1

風が気持ちよう吹いてまして、鯉のぼりもいきおいよう、泳いではります。

意外と狭い境内、もといお寺でしたが、気持ちのよい高台です。このお寺、元はといえば、奈良時代にここに訪れたインドの高僧が、「釈迦が初めて仏法を説いた鹿野苑に似ている」という言葉を聞いて行基上人が建てられたとか。罪作りなインド人ですな。おかげでお寺建てるのに、どんなにお金かかったか。

3

ところで、戦国時代にこの野崎一体が、日本の実質上の首都であったことをご存じですか。

当時この地域を支配していたのは三好長慶ですが、彼は時の将軍・足利義輝を近江に追放し、三好政権を樹立。事実上室町幕府を動かしていたんです。その拠点が、生駒山系は野崎近くの飯盛山城だったわけでございます。

ま、そんなことは野崎まいりになんの関係もございません。ただ、三好長慶を討って、次の実権を握ったのが家来の松永弾正久秀でして、こちらは私のご先祖様に当たります。
エライ人でしてな。なにしろ、主君は討つわ、将軍は暗殺するわ、とうとう東大寺の大仏様まで火をかけて燃やしてしまいました。

ところで、野崎観音さんの中にあるのが南條神社でございます。不思議な神社でして、この本殿の前には「木製の狛犬」があるというんですな。

Photo ところが、いくら探しても前にあるのは、フツーと石の狛犬さん。どうやら拝殿の奥に囲まれた本殿があって、その前にかつて極彩色だった木製の狛犬が安置されているらしい。しかし、見せてくれないわけでございます。

なんでも、左側の狛犬の頭には角があり、一角獣と呼ばれているとか。狛犬はイコマには居ぬイヌのようでございました。

お後がよろしいようで。

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