龍馬の国の木材商品開発
話を高知にもどすが、いまや高知の町は龍馬一色。
なんでもかんでも、龍馬に結びつけている。酒蔵は「龍馬ともっとも関わりがあった」ことを売り物にし、食べ物も龍馬セット。お土産品も、龍馬グッズがあふれている。そして県内では「土佐・龍馬であい博」を開催中。
私も、取材の合間を縫って、ちゃんと見て回っている(笑)。
まず朝一番に「龍馬の生まれたまち記念館」を訪れ、龍馬の住む居間にお邪魔。
私も縁側でくつろぎました(笑)。
そして高知駅前の「高知・龍馬ろまん社中」にも入場。ここはNHKの「龍馬伝」におんぶに抱っこされた中身のない展示だったが、それでも生龍馬と記念撮影(笑)。
あえて、こんな企画にノル私。
そして、その横には「とさてらす」と名付けられた、ようするに観光案内と土産物売り場があった。ここで気になったのが、この壁。
この凸凹。木でつくられているのはもちろんだが、材料は何か。
そこで、この商品は知っているかな。
そう、「木のトレイ」である。ようするに杉を薄くそぎ、それを張り合わせる技術が開発されて、それでトレイをつくったもの。が、全然売れない。
木のトレイの製造を始めた各地の工場は軒並み赤字で、なかには補助金返さず倒産したところも出る始末。まあ、ひどい木工商品づくりの典型例なのだ。
馬路村も同じ。が、そこから違うのは、同じ技術を使ってトレイ以外の商品開発に乗り出したこと。ウチワやクッションなどもあったが、東京のデザイナーと組んで生み出したのが、モナッカというブランドで売り出している木のバックだ。
これがモナッカ・バッグだ。
高知県馬路村で開発されて、イタリアのファッション展示会にも出品されて、たしか優秀賞取ったんじゃないかな。今では、ものすごい高値で販売されている。
それで名を挙げたわけだが、私からすると、木材の量は出ないことに不満があった。高級扱いして、ブランドをつくるのはいいが、いくら売れても木材使用量はしれている。まあ、利益が山に落ちるのならいいのだが……製造元には落ちても山主には還元されないだろう。
今回見かけた「とさてらす」の壁は、明らかにそれと同じ素材。つまり、壁というインテリア素材としての可能性を示しているのだ。これなら量はある程度出る。
これは、私は注目する。実際に壁素材としてはどんな効果が出て、デザイン的にもどんな味が出せるかは簡単には言えないが、一つの木工技術をバッグだけではなく、さまざまな異分野に応用する姿勢に期待したい。
考えてみれば、薄板を張り合わせて柔軟な木素材をつくることは、商品の素材づくりにすぎない。それをトレイに止めず、バッグや壁に応用してこそ、商品になる。半商品に止めては売れないのである。これは、東濃檜と同じだ。
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