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2010/06/16

「田舎暮らし」が変えた社会

唐突に頭に浮かんだ、田舎暮らしの変遷

私の扱う仕事分野に、「田舎暮らし」がある。『田舎で起業!』『田舎で暮らす!』(サイドバー参照)といった本も出版した。まあ、最近はこの分野の仕事の依頼は激減している(-_-)のだが、それでも森林やら林業やら地域づくりやらの分野の仕事で山村など田舎を訪れることも多いから、田舎暮らし業界?には永く触れていることになる。

かつて、私の場合はほぼ20年前だが、田舎暮らしとはまだ社会に十分に認知されていなかった。その当時に田舎暮らしをテーマにした雑誌が創刊されたものの、そこに描かれるのは「田舎暮らしという生き方があるよ」というライフスタイルの紹介・提案だったと思う。

バブル景気の真っ盛りに、出世だ金儲けだ名を上げたい世間をワッと言わせたい……といった目標が人生の主流だった時代に、リゾートでもなくアウトドアでもない、田舎暮らしを提案し、その先駆者を紹介する試みはすごいことだった。

そもそも田舎暮らしそのものは、否応なく強いられた時代(国土開拓など)を除くと、まずイデオロギー的なものとして始まった。共産党の山村工作隊は先駆的存在かもしれないが、その後も全共闘くずれあるいはヒッピー文化の「共同体」建設の場として田舎が選ばれた。(これを第1期田舎暮らしとする。)

その後、政治的というよりは文明論的に田舎暮らしに興味を持つ人たちが現れる。公害問題に触発されたり安全な食品を求める、あるいは自給自足生活への憧れから田舎に入る人も現れたが、彼らもどちらかというとイデオロギー的だろう。いわば「反現代文明」思想である。(第2期田舎暮らし

ところが、バブル景気前後から現れたのは、そんな片意地張った田舎暮らしではなく、田舎で暮らしたい、こんな生活があってもいいんじゃないの、というライフスタイルを追求した人々だった。先の田舎暮らし専門誌も、「ライフスタイル」誌の創刊だったのだ。

それはバブルに踊る世間への反発・反動かもしれない。事実、金儲けに狂奔するのはイヤだ、もっと別の生き方があるんじゃないか、と感じ始めた人が、田舎に目を向けだしたのだ。

さらにバブルが弾けてからも、不況風吹く都会を離れて田舎で新たな生き方探す、といった一群の人が大量に田舎に流れ込んだように思う。

こうしたオルタナティブな(もう一つの)ライフスタイルの舞台が田舎だったのだ。(私は、これを第3期田舎暮らしと名付けている。)

さて、現在はその延長ではあるが、徐々に変質?進化? している。田舎に新たなビジネスチャンスを求めたり、人生リタイヤ組の指向が混交しているからだ。
そして田舎側も、そのライフスタイルを真正面から受けて、それを人口増のチャンスとか、産業化の動きまで見える。また田舎暮らしそのものが、「二地域居住」のようなスタイル(かつての別荘暮らしとどこが違うかは、またの機会にして)も広がりだした。
ビジネス化の動きもある。不動産業界はもちろん、コンサルもいれば旅行業も生まれた。さらに「田舎で働き隊」や「緑の雇用」など政府や自治体政策自体が「事業」であるからだ。

おそらく「田舎暮らし産業」なるカテゴリーを設定したら、数兆円規模になっているだろう。
もはや、オルタナティブなライフスタイルは、国を動かしつつあるのだ。いや、すでにオルタナティブとは言えなくなっているのかもしれない。(これは第4期か、まだ3期半くらいの田舎暮らしかもしれない。)

社会全体が「草食動物」化していると指摘される(その正否はともかく)が、田舎暮らしは草食系ライフスタイルと捉えることができるからだ。利益よりも生き甲斐を求める、量的拡大よりも質を追求する生き方だ。そのうち都会で金儲けに邁進する人が珍しくなる時代が来るかもしれない。その時、求められる社会規模は、大都会ではなく中規模都市、そして田舎になるだろう。

そう、新しいライフスタイルは、社会を変える。変える力がある。
「田舎」という言葉は、かつて悪口であり卑下した意味を含んでいたが、今では素敵な世界的な憧れを持つ層さえ生み出しているのだ。

さて、林業にもっとも縁遠いような都会派のファッショナブルな若い女性たちを林業界に目を向けさせたら、それはライフスタイルの転換と言ってもよいのではないか。そうしたら社会は変わるかもしれない。そしてオルタナティブな林業が生まれるだろう。

……以上、思考実験、思考錯誤(^^;)。

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木を伐る林業女子。

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コメント

キャー ナカシマ(?)さんじゃあーりませんか~!

あら、見破られちゃった?

できるだけ顔の見えない一枚を選んだのに。
ほかにも一杯あるけどね(⌒ー⌒)。

もう一枚、もう一杯(?)宜しくお願いしま~す。

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