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2010/06/18

「田舎の助っ人」募集の条件

和歌山県那智勝浦町の色川地域、といえば、知る人ぞ知る、田舎暮らしのメッカ……というより先駆的な移住者受け入れ集落である。

30年以上前から移住者を受け入れ、今や集落9つの人口460人中3分の1が移住者になっている。そこで、「助っ人」を募集しているという。

どうやら「田舎で働き隊!」絡みの募集のようだが、すでに一人いる集落支援員とともに7カ月間、色川の地域貢献のために働かないか、というのだ。条件は、40代までで車の免許があること。宿泊所は提供され、手当ては月14万円。

ここまではいい。同じような募集は各地にあるだろう。

が、記事によると、地元の色川地域振興推進委員会の原和男会長は、
「田舎暮らしに憧れ、自分の人生を楽しみたい人よりも、地域貢献をしたい人にぜひ来てほしい」と述べている。

ずばり、本音で条件付けたねえ、と思った(^^;)。田舎暮らしをしたい人に来られても役に建たないのだ。地域貢献の仕事は田舎暮らしそのものと少し違うから。

実は、原さんは30年以上前に移住した一人だ。私も取材したことがある。色川には何度通ったかな。

この色川の移住者の歴史は、先日記した田舎暮らし史をたどっている。最初に入り込んだのは全共闘くずれのイデオロギーを持った集団だったし、次に入ったのは有機農法や自給自足的生活を求めた人々。原さんも、この中に入るかな。そして、その後現在につながるのはライフスタイルとしての田舎暮らしを目指す人たち。

原さんも、いよいよ会長として移住者を迎える中心人物となったわけだが、彼の持論は「田舎暮らしより地域づくり」なのである。今回の募集にも、その意志が伝わってくる。
本当に田舎暮らしをしたければ、まず地域を守ることをしなければならないし、その過程で地域に溶け込まないといけない。イマドキの移住者は、そこがわかっていない……という言い分がなんとなく透けて見えるようで面白い(^o^)。

さて、応募者はいるだろうか。そして適切な人材だろうか。「活動が終わってからも定住したい人なら歓迎する」と言っている。

※色川については拙著『田舎で暮らす!』を参照のこと。

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コメント

社会学の友人が「色川」のことをよく話していました。もうすぐ発売される『撤退の農村計画』という本にも色川が登場します(わたしが書いた部分ではありませんが)。『田舎で暮らす!』を買って読みます!

ありがとうございます。
『撤退の農村計画』も期待しています。

実は今日届いた『町村週報』にも、里山の未来の選択肢として、『撤退』を指摘したのですが、さて読者の反応は?

 どんぐりと木の関係に似ているのでしょう。実がなって落ちて、リスなどに運ばれたり、転がったり。広がる。
 条件がそろって発芽する。発芽まで行くのは少ない。

 実生が少ないから、人は増やすために苗を植える。

 万一、発芽しても、「最近は」増えてきたといわれている野生生物に食べられちゃう、枯れる。

 楽しみも混じって植林をする。
 囲いで保護したり・・・。

 人の手が入ったところは、その行為をしている人の意思で変わる。手が入っていないところは自然の流れで。
 
 集落とまちづくりと田舎暮らしもそんな感じなのでは。

>雇用期間は7ヶ月
>40代までで、車の免許があること
>宿泊所は提供され、月14万

賃金が安いと文句を言ってる
わけではありませんが。
月14万で妻子持ちの方、暮らせますか?
たった7ヶ月間で地域づくりができますか?
非正規雇用の労働と違わないのでは?

私は、この質問に答える立場にはないのですが。

この制度は、応募者を定住させるのが目的ではありません。妻子持ちに、その地域で根付くための就職口を与えるのではないんですね。人生試してみませんか、極端に言えば有償ボランティアしませんか、ということなんだろうと解釈しています。非正規雇用どころか、労働と考えるべきでないのかもしれない。
7カ月間というのは、補助金の出る期間なんだろうけど、地域にとってはその間を集落支援員のお手伝いしてくれることで引き合う。
その点は、まさに田舎で働けるか試してみようという「田舎で働き隊!」と同じ趣旨なんでしょう。

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