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2010/06/29

加子母の木の家

高知に行っていたので、岐阜の加子母ツアー報告が止まっている。

プレスツアーで行ったのだから、ちゃんと報告したいと思っているのだが、向こうで考えたことをちゃんと書こうとすると何回の連載になることか。そろそろ次の話題に移りたい(~_~;)。
とりあえず東濃檜のふるさとである。商品と価格の問題については、早くまとめよう。

東濃檜は、世間の木材業者が「売り手主導」で売りたいものを売る時代(※消費者無視)に、しっかり消費者に目を向けた製材を行うことで高値を付けた。つまり、買い手目線にたったビジネスを展開したことが成功に導いた。

だが、今や製材のレベルはほかの製材業者も追いついたし、大壁構法全盛の現在はさほど見栄えにこだわらなくなった。次の段階に移らないといけないのである。

ちなみに、前回、東濃檜は製材メーカーの柱の銘柄と説明したが、その点からは加子母の木は原木である。製材は、森林組合直営の工場のほか地元の小さな製材所で行う。(それを東濃檜の柱であると呼ぶのは差し支えない。(原木は東濃檜丸太)

考えてみれば、製材品というのは半商品なのである。だって、消費者(エンドユーザー)は、丸太はおろか、角材や板が欲しいわけではない。そんなもの、持て余すだけだ。

欲しいのは、最終商品である。その商品をつくるために、よい製材(角材や板)を求める。だから製材は商品への道半ばなのである。

では、木材の最終商品とは何か。たいていの場合、住宅だろう。家具もいいが、物量的に建築物が圧倒的だ。

つまり家が売れれば、そこに使う製材は売れる。そして製材に東濃檜が使われれば、加子母の山の木は売れる、という連鎖があるのだ。

今回の加子母森林ツアーのテーマは、実は東京の建設会社・丸二が「加子母の木で建てる家」であった。

丸二という会社は、創業者が製材所経営から立ち上げたそうだが、時代の流れの中で木造住宅から鉄筋コンクリートへと主軸を移していたそうだ。
だが三代目の現社長は、再び木造住宅に回帰することを決め、その際のテーマに「無垢材」にこだわることとして、加子母と組むことにしたのである。これは経産省の農商工連携事業にも認定されたらしい。

ある意味、丸二の戦略と、加子母森林組合の足りなかった部分が結びついたわけである。

そう考えると、理想的な展開だ。

そして打ち上げたのが、CASIMO12501550。そしてCASIMO販売システムだった。数字は、価格を意味する。つまり1250万円の家と1550万円の家。

販売システムとは、加子母森林ツアーや、交流会(セミナーや人材教育)の主催、そして産地直送、植林活動などを通して、建築希望者の募集と普及を計るものだ。

東京と岐阜だから、「近くの山の木」に入るかどうかはともかく、生産者と施主の「顔の見える家づくり」の手法を取り入れた住宅販売というわけだ。

ただ今のところ外観のパースはあるが、あとは平面図だけだ。内装イメージがわかりにくい。部屋は全部洋風で、大壁構法。だから柱は見えない。代わりに梁の一部を見せる(2階の床を1階の天井にする。騒音、大丈夫か?)ほか、フローリング、それに腰板にヒノキを使うそうだ。

さて、肝心の家である。

Photo

正直言って、フツーの家(笑)。斬新なデザインではない。
一目見て、こんな家に住みたい、という気持ちになるほどのインパクトはなかった。

なぜ、加子母の木なのか、ストーリーが見えない。環境を持ち出しているが、エンドユーザーからすると、付け足し部分だ。家としての魅力はなんなのか。

これは加子母森林組合も、丸二も、どちらもなんだが、原木としての東濃檜(の魅力)に頼っているよう。そして総ヒノキの家がこんな価格で手に入る、と宣伝するつもりらしい。しかし、それは最低限の消費者ニーズまでで、次の付加価値がよく見えない。これなら外材の家でもいいユーザーが天秤にかけるだけだ。

もっと、物語を描くべきではなかろうか。この家に住んだ自分の将来が脳裏に浮かぶような感情を刺激してこそ、「それほどの家が、こんな価格で手に入るのですよ」と思わせないといけない。

この家に住むと、どんな楽しい生活が始まるのか。
一本一本の木を育て、加工する間にどんなドラマが展開されたのか。
ヒノキのフローリングは、通常のオークの集成材とどう感触が違い、心地よいのか。
腰板があることによって、どんな住み心地、心理的に影響を与えるか。

上記それぞれのセールストーク、担当者はしゃべれるかな?

私に、営業戦略つくらせろ(笑)。台本書いてあげるから。

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コメント

あ。
営業担当者に営業をしている?
では、その田中さまを売り込む営業を・・・。

は、さておき、家の魅力って難しいですね。
相手の好みをまず掴まないといけないんだろうなとは思うのだけれど。


家の魅力は人さまざまです。が、環境は後回しで最後の選択肢であることは間違いないですね(^^;)。

環境に鋭く反応するユーザーは2%から3%しかいません。その層を狙った営業というのもアリだけど、そこに群がる環境商品の数多いことよ。
それに木造の家にそれだけの根拠があるのか難しい。

その、2~3%の人だと思い込まれて、熱く攻められたらつらいですね。思わず退きます。

決して無反応ではないのだけれど、そこまで鋭くない人はもっと多いだろうから、そこを適度に攻めて気持ちよく落とす。
どのくらいの反応帯にいるかを見抜くことが必要になってくるのかと思います。

私は、親の介護のために家を建て替えたいと考えているのですが、当然ながら、介護のための家ですから、30年も持てば十分です。私自身は、いろいろ事情あって生涯独身になるので、一般的な家族向けの住宅は必要ありません。
今までは、私のような人は例外扱いでしたが、これからは、ある程度のボリュームになるだろうと思いますので、介護に重点を置いた、そういう人向けの住宅もあっていいのではないかと思います。

価格は一緒、デザインはどちらも棄てがたい、営業窓口の人柄もどちらもお気に入り……そんな条件下になって、初めて環境という選択肢は登場するのです。最初から環境を打ち出しても顧客を引きつけることはできないですね。

また最近は200年住宅なんて長持ちすることを売り物にする住宅も出てきましたが、これまた施主の選択肢としては抹消部分でしょう。
虹の輪くぐりさんのように、30年でいいという顧客も少なくないと思います。最近は減築という言葉が登場しているように、家を小さくする建て替え・リフォームも増えていますから。

こうした本音の消費者ニーズを拾いだしているかどうかが重要ですね。

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