所信表明演説
今日、駅前を通り掛かったら、「民主党幹事長代理 細野豪志来る」との看板が。始まりは15分後のようだ。それくらいなら待って聞いてみるかと、駅前にたたずむ。
なかなかの人気だ。昨夏ほどではないが、かなりの人だかり。細野さんは、やっぱり人気がある。山本モナとのスキャンダルなんぞはどこ吹く風(^^;)で、女性が集まってくる。
細野さんの登場前に、生駒を地盤とする衆議院議員、参議院議員などの演説があったが、やっぱり細野さんが演説一番うまいわ。声の張りといい、口調といい、また内容も、小沢前幹事長のことも触れつつ引きつける。
かつて古代は、言葉には魔力があると思われていた。言葉によって超常的な力を手に入れ、人を操れることを信じていたのだ。だから、呪文という発想などが存在する。
現在の演説は、呪文ではないにしろ、人々を動かす力はあるだろうか。
で、各者が繰り返し触れた菅直人首相の所信表明演説である。じっくりと読み込んでみた。
昨日の国会で行われた演説の中で農林水産業、とくに森林林業政策に関する部分を抜き出してみる。
「農山漁村が生産、加工、流通までを一体的に担い、付加価値を創造することができれば、そこに雇用が生まれ、子どもを産み育てる健全な地域社会が育まれます。農林水産業を地域の中核産業として発展させることにより、食料自給率の向上も期待されます。特に、低炭素社会で新たな役割も期待される林業は、戦後植林された樹木が生長しており、路網整備等の支援により林業再生を期待できる好機にあります。戸別所得補償制度の導入を始めとする農林水産行政は、こうした観点に立って進めます。」
青く抜いた林業部分は、ツイッターに引用できるほど、短い(^^;)。
ようは、路網整備がキーワード。流通の改善により林業を再生することを考えている。これまでにも触れてきた、コストダウンと品質管理サービスの充実を狙っていると思われる。これまでいい加減だった乾燥や製材寸法、納品の改善も含まれるのだろう。
が、その前段にある「生産、加工、流通までを一体的に担い、付加価値を創造する」という部分も重要だ。これは林業にも適用できる。とくに付加価値の創造には期待したい。
実は、このくだりは、「強い経済の実現」の項目の中にあり、強い経済のための「安定した内需と外需を創造し、富が広く循環する経済構造を築く」ための手段として登場する。
そして全部で6つ語られる戦略のうち、第4番目の「観光立国・地域活性化戦略」の一部である。まあ、林業が観光とは思えないから(^^;)、地域活性化戦略なんだろう。
演説の結びには、
「20年近く続く閉塞状況を打ち破り、元気な日本を復活させることです。その道筋は、この所信表明演説で申し述べました。後は実行できるかどうかにかかっています」 次のビジョンと実行を待ちたい。呪文で終わることなく。 |
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「で、誰がどうやるの?」
と、質問してしまいそうになる私って、いぢわるかしら。
だって、呪文だけなら熊(♀)だってとなえられるもーん。(必死に覚えればですが。)
投稿: 熊(♀) | 2010/06/12 23:57
もちろん、やるのは呪文に操られる人々ですよ(^^;)。熊(♀)さんが、呪文を唱えたくなるのも、実は菅さんの呪文に操られているのです。で、熊(♀)さんの呪文を聞いて操られる人が、また呪文を唱えて……。
いや、語弊があるな。ありすぎ。演説に共感した人がやる。みなさん、やればできるんです。共感が共感を呼び、みんなでつくるんです。さあ、共感社会をつくろうじゃありませんか! (ここ、演説調)
投稿: 田中淳夫 | 2010/06/13 00:04
ひゃあああ。
操られている~。
投稿: 熊(♀) | 2010/06/13 00:32
前首相・鳩山さんの演説は、??と感じる部分が多く、取りまきのお坊っちゃんたちと自己陶酔しながら原稿を作ったんだろうなぁと思いながら聞いていました。菅首相は、どんな人たちと原稿を練り上げたのでしょう…
こんなご時世だから、呪文でも魔法でもそれが解けさえしなければ、かけられたままでもいいかも?と思ってしまうのは間違いでしょうか?
でも、孫・子の世代に呪文や魔法が解けて、その時今よりもっと荒涼とした風景が広がっていたとしたら、それは私たちの責任になるのでしょうね…。
投稿: コメット | 2010/06/13 17:15
私は、鳩山首相の所信表明演説は好きなんですよ。これまでになく文学的で。
所信表明は、一国のリーダーの最初の演説なんだから、「希望」が欲しい。政策は、国会答弁やら、その後の演説でよい。
真面目に、突っ込まれないように、と考えると結局役所的文章になる。いかに穴だらけでろうと、高らかに希望をぶち上げた演説の方が好きです(^○^)。
その点では、菅首相の演説は、理に走っていますね。もっと夢と希望を語ってほしかった。
投稿: 田中淳夫 | 2010/06/13 23:50