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2010/07/01

繰り返す林業界の「窮迫販売」

また少し、加子母と高知からは離れる。

現在読んでいる林業関係の歴史資料。私は戦後の林業の流れを知りたかったのだが、中身の大半は戦前(明治~昭和初期)であった。しかし、非常に面白い。
今進めている林業関係の執筆よりも、土倉庄三郎関係の執筆に使えそうだ。

しっかり全部読んだら、改めて紹介したいが、今日は途中ながら感じるところがあったので紹介しよう。まず、次のような文章が引用されている。

「主要大都市の木材市場はほとんどこれら外材によって支配されているだけでなく、山間部の木材生産地にまで外材が侵入している」

1926年の全国山林会連合会の文章だそうである。なんだか、似た状況が戦前にも起きていたんだ。
 

そして、第1次世界大戦によって、木材需要は大きく増大するのだが、その後大正から昭和にかけて慢性の恐慌に襲われる。不況なんだから、当然、木材需要は落ちる。ところが、伐採量は減少するどころかむしろ増えているのである

なぜなら国有林は、財政的な収入確保のために増伐した
そして民有林も、立木価格が下落したために、売上を量で確保しようと増伐したのだ。

需要は落ち、価格も落ちているのに、生産量は増加させる。目先の利益を出すためだ。しかし結果的に赤字になり苦しむ……。これを「窮迫販売」と呼んでいる。かくして山村の窮乏化は言語に絶するものになる……。

当時の伐採を、天竜林業を例に上げて紹介しているが、平均伐期が1921年は32年だったのが、26年には25年に低下しているのだ。伐る木がなくて、若木を伐るほど、窮迫していたのだろうか。

あれ? なんだか似ていないか。

木材価格が下落したのに、増産する構造。そして利益が山村に還元されずに山元が疲弊していく現実……。

現在は、またもや「窮迫販売」を繰り返しているのではないか。

伐期は低下させずに長伐期に伸びている? しかし、今伐っているのは多くが間伐材だからね。40年前後ではなかろうか。合板用には、直径10㎝以下でもOKだからね。

歴史は繰り返す。

ちなみに戦前の苦境を救ったのは、政府の助成制度だった。林道補助、造林補助などである。ただ、額は大きくなく、連続的でもなかった。その後は戦時統制経済に入ったことで国内林業が保護されるのである……。

今の林業救うためには、再び戦時的な統制経済に? たとえば「外国資本に日本の森が奪われる!」とか叫ぶのも、その一つなんだろうか。

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コメント

冠省、変わらぬご活躍で何よりです。以前に「土倉翁」の事で一度投稿させて頂いた神戸の渡部<東芝OB>です。老生が関係するメルマガに最近「土倉翁」に関する膨大な投稿をされる方がおられ、インターネット検索で小生にも照会のメールが入りましたので、貴兄様のHPをご紹介したら、貴兄様とはメル友との事ですが、旧知の方でしょうか?下記の様に、あまりご熱心なので気にかかっています。プロフィル等何かご存知でしたらご教示戴けると幸甚です。
http://www.burat.jp/members/blog/blog_list.201006231357-3000002.201006231357-3000003

 わが町の昨今の皆伐施業地は、1つに逼迫があると感じています。こちらは、所有林面積と現在の材価を考えれば、ちょっと考えた方がいいのにと傍から見えます。もうひとつには、施業計画の資源循環林の伐採下限の遵守の場合もあります。苦労してやっておられる方もいます。

 非常にまじめな林家が制度を理解しながら、施業をしている。たぶんやりくりをしながらの施業実施となっていると思いますが、高齢林が増えている中で、更新・再造林地があるのは地域としてありがたいことです。
 事業体にとっても、夏の作業があるのはありがたいことです。
 ただ、気になるのは以前高級車に乗っていた方がだんだんと・・・、軽に。時代の流れでしょうか。
 当地域の現場レポートでした。

絶対に損をするとわかっていても、目先をしのぐために闇金から借金をする……のと同じような心理なんでしょうか。木材価格が落ちたときに伐採するのは。
目先の収益を確保しないとつぶれるから。

それを国有林も率先してやっているようです。

ちなみに戦前の吉野は、そうした伐採から距離を置いたことで、戦後の繁栄につながります。

今日、NHK名古屋の「ナビゲーション」と言う番組
で「どうする荒れる森林」というテーマで放送が
ありました。でも、副題が「外資の買収」と新聞
にあり、見ていましたら・・・びっくり。
あの「奪われる日本の森」の平野氏が出演!!
(えらくぼそぼそと小さい声で聞き取りにく
かったです・・・)
 で、三重県の熊野に来たという中国系の会社の
置いていった名刺を元に、一応NHKも訊ねて、
会社が「半年前にいなくなった」事を確認して
放送していました。あと、村外への売買禁止を
打ち出した宮崎県の村の例も放送していました。
・・・地籍確認でかなりの効果を出している
豊田市の「森作り会議」なども紹介していますが
平野氏が出ているので、どうしても「外資怖い」
が伝わってくる内容になってしまい、私と一緒に
見ていた親は「だから中国は・・・」とすっかり
「洗脳」されてしまいました(爆)(^^;)
だから、番組中も解説(!?)したりして、
NHKも全面的に信頼するなよ~と釘を刺しておき
ました。だって、相変わらず「安い外材」って
アナウンサーが話しているから~(^^;)
 そういえば、平野氏のいる東京財団は、
日本財団の笹川氏が顧問とかになっているのが、
「思想」的な物が見えてきますな~(^^;)

>えらくぼそぼそと小さい声で聞き取りにく
かった

“恥”という字を知っているからでしょうか(^^;)。
東京財団と日本財団は、表裏一体の組織ですからねえ。

>東京財団と日本財団は表裏一体

やっぱりそうなんですね~(^^;)しかし、
雑誌と番組二つ、このタイミングで、しかも
毎日新聞の記者が雑誌に書くと。
・・・いやな連携ですね~前世紀と比べたら
既存のマスコミ軍団の影響力は落ちていますが、
まだまだ年配の世代を中心に強い影響力がある
ので、やっかいですね。特に田舎の方々はTVと
新聞しか信用しないですからね~(^^;)

両組織の詳しい関係は知りませんが……。

先行き不透明になり、社会が不安定化すると、国家主義・民族主義が勃興するというのは、世界史が教えてくれます。強い指導力や何か強い絆に惹かれるんですかね。そのために敵をつくる…。

一体、「外資が日本の森を買収する」と煽って、何を行いたいのでしょうか。日本の土地制度を改革する必要を訴えるなら、もっと別の方法があるだろうに。
結局は国が強権でしゃしゃり出ることしか思いつかないのでは、あまりに低レベル。

これも窮迫経済の一形態なのかもしれません。

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