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2010/07/10

無間伐の日本林業

間伐なんて、つい最近の技術だよ、日本の林業は間伐なんかしなかったんだ、間伐なんかしなくたって、木は育つ……。

ま、そんなことを私は折に触れて発言してきたのだが、各地で評判悪くて(~_~;)。おまけに地球温暖化防止の名目で、間伐した森林は二酸化炭素吸収源、みたいな国際的な合意まで出てしまったので、肩身が狭かった。

でも、「不況の合間に光が見えた!」に、有名林業地の保育形式の一覧が載せられていた。正確には、「森林の百科事典」からの引用のようだが。

そこに並ぶ育成林業地。

四谷、青海(東京)、西川(埼玉)、天竜(静岡)、尾鷲(三重)、吉野(奈良)、北山(京都)、智頭(鳥取)、木頭(徳島)、飫肥(宮崎)、日田(大分)、小国、芦北(熊本)、日光(栃木)……。

このうち、間伐するとはっきり書かれているのは、吉野だけだった。

ほかは、ほとんどしないか、弱度である。つまり吉野は例外ということだ。

ほかの林業地では、いわば植えっぱなし。北山だけは単木成長重視とあるとおり、磨き丸太を育てたが、間伐よりも枝打ちを行った。その点は、智頭もそれに近いかもしれない。植える本数が少ないとか吉野との違いはあるが、基本、間伐はあまりしなかったのである

実は、間伐が日本全土に広がるのは戦後である。林野庁がせっせと広めたのだ。私も、10数年ほど前に、某林業地を訪れて、森林組合の窓口に間伐を勧めるパンフレットを見て驚いたのだが、そもそも間伐とは何かを説明するところから始めていた。さもないと、森林所有者には理解できないのだろう。

ところで、北山杉を育てた地域は、実は丹波林業(山国林業)の地域とだぶっている。でも、育て方は全然違う。そもそも北山杉というのは地域林業というより、一部の限られた林家が行った商品づくりなのかもしれない。

そう考えると、無間伐材の商品づくりもアリかもしれない。間伐していないことを誇ったブランド化。植えた木を無駄にしていません! とか、自然のままが一番! とか、古来伝法の林業です、とか。そして、色つやが違うだの、年輪が密になって強度も高いだの、理論武装すれば、案外注目されたりして……。

どうせ、木材の使い道からすると、住んでいる人の目に止まるようなところには少ない。イメージで木の良さを伝えるなら、可能かもしれない。

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林業・林産業」カテゴリの記事

コメント

間伐がすべて不要では無いのでしょうが、
木の栽培方法って確立されてるんでしょうか?
農作物の場合、地域差はあるにせよ、種まきの時期の決め方、苗の定植の時期、植え方、途中の手入れの仕方、
様々な書籍を見ても大体同じ。
木の場合はどうなんでしょう?
国内で基準となる栽培方法って無いんでしょうか?
間伐がなかなかできないのであれば、
人口減少の未来へ向けて、間伐しなくて済む
育林の方法の研究とかしてないんでしょか。

木の栽培方法は、樹種によってはかなり詳しく研究されています。ただ森林となると、別なんですね。一本の木を育てることはできても、森づくりはあまりにもケースバイケースでマニュアル化は難しいでしょう。
無理に日本一律の基準をつくるからおかしくなるのです。

間伐は、あくまで利用するために行うものですよ。天然林は無間伐ですけど、育つ木は育つ(枯れる木は枯れる)。

ha当たり3000本ではなくて、もっと少なく植えて坪刈りして無間伐という育て方だったんでしょうか。

吉野など密植法の地域は別にすると、1000本1500本植えが普通だったと聞きました。

坪刈りは、あまりしなかったんじゃないかな。手間がかかるもの。放置して、草や雑木と戦いつつ伸ばしたのでしょう。ようするに粗放林業です。案外、その方が生長が抑制されて年輪が密になる、とも言います。

田中様、皆様はじめまして。
いつも興味深くブログを拝見しております。

今回、四谷の名があったので思わず反応してしまいました(笑)。
実は母方の曾祖父がかつて四谷林業の「小規模」山主でした。
しかし、今では四谷林業の実態を知る人も少なく実際どのような施業が行われていたのか?興味は尽きません。
四谷の場合、一説には密植が6000~9000本だったとか。

今後、少しずつお話に参加出来ればと思います。
よろしくお願いしますm(_ _)m

四谷林業ですか! 今も謎多い林業地だ(笑)。

私も詳しく知らないのですが、現在の四谷…ではなく、いわゆる山の手(杉並区とか)の林業ですよね。明治時代までは盛んだったと聞きますが。
今は住宅地だったところに杉並木が広がっていたんでしょうか。
吉野材並の品質を誇ったと言いますが、小丸太生産が中心だったろうから、間伐は必要なかったのかもしれません。

田中様、はじめまして。

>間伐なんて、つい最近の技術だよ、日本の林業は間伐なんかしなかったんだ、間伐なんかしなくたって、木は育つ……。

という文章、長期的に考えればそうなんだろうなあ、と思います。
ただ、無間伐の日本林業というタイトルは、「間伐は必要だ」と思いこんでいるド素人の私には、驚きでした。へえー!!と。

ただ、人間の手を加えることで、植生が早く回復するなんてこともある気がしました。

最近、皮むき間伐というものをやってきたのですが、簡単ですし、多くの人が自然に触れられるし、もし、間伐材が利用出来たらいいよなあと思うのですが、どうでしょう?(ざっくりし過ぎた質問で済みません)

森林という生態系の視点から見れば、多くは間伐しなくても大丈夫だと思いますよ。なかには土壌流出を招く林地もあるけど。

間伐は、あくまで林業の技術です。目的の木を育てるための。

皮むき間伐とは、巻き枯らしのことですね。樹皮を剥いで立木のまま枯らしてしまう…。この方法は、賛否両論ありますが、私は切り捨て間伐よりは、マシだろうと思っています。逆に言えば、切り捨て間伐さえ進まない林地で行うなら悪くない。立ち枯れした木材を使えるかどうかは…難しいですが、試してみる価値はあるかな?

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