書評「不況の合間に光が見えた!」1
不況の合間に光が見えた! 新しい国産材時代が来る
遠藤日雄・著 日本林業調査会
取り寄せて、ほぼ1日で読んでしまった。
タイトルだけでは、一般の経済書のように思う人もいるだろう。サブタイトルと、出版元を見て、初めて林業関係の本であることに気づく。
読み終えたばかりなので、まだ全体を評するまで頭の中を整理できていないが、なかなか示唆に富んだ内容である。読みやすいのは、もともとセミナーやシンポジウムの講演録を元にまとめたものだからだろう。文章もですます調で書かれている。
欧米事情と日本の差。全体として、新生産システムなどの現状を肯定的に捉えている。ただ問題点もしっかり指摘されている。また、「道をつくり間伐を進めていけば日本の森林・林業は再生できる」という現在の林政の議論を、「眉唾」と切って棄てる。
これは、私も大賛成。間伐が林業の本筋ではないし、長伐期施業礼賛もうさん臭い。そもそも売り先を考えずに、製材したら大手住宅メーカーが引き取ってくれるだろう、という甘い発想は危険すぎる。またも日本の国土を禿山だらけにして、外材依存に陥りかねない。
このブログで何度も取り上げてきた製材所の大規模化、国の市場を無視した伐採、100ヘクタールを超える大面積皆伐、材価が安くなればなるほど、木材生産量が増える窮迫販売、などのからくりが解説されている。
ただ、私が頭を悩まさせている、木材価格を上げる仕組みについては、これはという施策は出ていないのが残念。
もう少し読み込んでから、改めて考えよう。
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