無料ブログはココログ

森と林業と動物の本

« 書評「不況の合間に光が見えた!」1 | トップページ | 無間伐の日本林業 »

2010/07/09

書評「不況の合間に光が見えた!」2

昨日の記述に1という数字を付けたので、2を書かなくてはならなくなった(^^;)。

で、改めて目を通すが、何カ所も興味深い情報や記述があって、目をミハる。

が、それを引き写してもしょうがいない。詳しく知りたい方は、サイドバーに本書を載せたので、クリックしてください。Amazonで購入できます。ちなみに本屋には出回っていないでしょう。

ただ、気をつけてほしいのは、本書は専門書であるということだ。それも木材産業の専門書。講演録を元にしているらしいので非常に読みやすいが、一般の森林が好きという人が読んでも、ピンと来ないかもしれない。

実は、私も内容でわからない用語などがいくつもあった。

たとえば野縁(のぶち)って何? 思わずヤエンと読んでしまったよ。今、ルーマニアの工場で日本向きに生産が多いのだそうだ。それも集成単板でつくるのがスゴイという。焦って調べると、床などの下地材らしいのだが、知らねえ~。

そして、本書はビジネス書でもある。

というのも、全編を貫いているのは、林業よ、産業であれ、ちゃんとしたビジネスしようよ、ということだからだ(と私は思う)。

だから新生産システムを、川下から川上への要求・提言と見て、支持している。逆に、作業道つくって間伐ばかり推進しても、どこに木材売るのか考えていないのでは話にならない、長伐期も収穫を先のばししているだけと批判する。
同時に「官製伐採」を問題とする。これは著者の造語だが、ようするに林野庁が主に国有林で行っている需要を無視した伐採と出材である。同じく補助金付けの民有林や、地球温暖化対策間伐も含む。こうしたプロダクトアウトな伐採(山の都合で、消費者のことを考えない伐採)は、市場を乱し、材価を下げる一方にする。

私からすると、新生産システムがなくても、すでに民間は製材工場の大型化と川上へのアプローチを始めていたのであって、国(新生産システム)はそれにのっかかっただけに思えるし、逆にこの制度で失敗しているところが多すぎる。そして官製伐採は、役人は目先のこと(自分の管轄範囲)しか頭にない証拠ではないか。
それでも、よくぞ書いた、と思う(^o^)。

そのほか「見えざる手」「見える手」理論も紹介しつつ、いかに日本の林業はビジネスになっていないか、を解説している。

それでも、日本の林業の夜明けは近い、と期待を込めている。

さて、期待どおりに言ってほしいものだが……。

« 書評「不況の合間に光が見えた!」1 | トップページ | 無間伐の日本林業 »

書評・番組評・反響」カテゴリの記事

コメント

アマゾンでは、在庫切れ・・・書評の影響でしょうか。

成功事例をいくつか見て、全てが同じようにうまくいくと妄想しちゃうところが、官が起こしがちな間違いでしょうか。
熊的に考えても、獲物Aと同じやり方では、獲物Bはとれませんし・・・。
人的に考えても、AさんとBさんは、同じやり方では落ちませんし・・・。

出版直後だから、買い手が殺到したのでしょう。
今しばらくお待ちを。

官製伐採の問題点は、「木を伐らねばならない」というところからスタートすることではないですかね。木を求める人がいて、初めて伐採の必要があるのだけど、伐採してから木をほしがる人を探してる……。環境を理由にした伐採も同じ。

AさんとBさん、二人も口説いちゃうんですか?

そうかあ。
まず、伐採ありきなのかあ。

「落とす」は「口説く」なのかあ。
ならば、Cさん(獲物C)もいきますかね。
夏場は活動期だし。

木を求める人も多様化してきている。
家電メーカーも自社製品の中で売れないカテゴリーをどんどん整理して、住みわけが進んでいる昨今。
多様化したニーズを嗅ぎ分けて柔軟に対応する。
他の製造業では当たり前にやっていること。
林業・製材でもプロダクトインを的確にやれるところが
残って行くのでは。

歴史有る産業では難しいんでしょうかねぇ。
年をとると頭も堅くなりますからねぇ。

熊(♀)さん、気が多いんだからあ
え、意味が違う?

以前、某県で木材商品の売り込みプレゼン講習をした際に、県職員の女性は、一生懸命に「木を使わないと森が守れない」話をするんですね。でも消費者にとっては、そんなことはどーでもよいというか二次的なこと。その商品が自分にとって必要かどうかが重要なのです。

木に関わっている人、木が好きな人はありがたいのだけれど、
何でも木で作ろうとすることも。
作り手として、そこまで木じゃなくてもと思うことも有ります。
不格好なものを無理やり木で作るくらいなら、
他の素材でスタイリッシュな物のほうがずっと良いと思う。
使う人が何を望んでいるかが大事、木じゃない素材のほうが
良い場合はそちらを勧めますね。

AさんよりBさんのほうが向いてるよ―などと無粋なことは
言いませんが。

熊(♀)さん、Aさんより、Bさんより、Cさんがイケテますぜ。って、何の話だ?

そうかあ。

BもいいけどCに決定!

パジャマA:森を守る木製パジャマ

パジャマB:誰でもかわいく見えるミラクルパジャマ

パジャマC:安眠確実快適パジャマ

えっ、パジャマの話だったの?

ならばAでしょ。森を守るためには着心地、いや木心地よりも、木材需要! 官製伐採支持!

熊さんが木製パジャマ着たら、木のウロで眠っている夢見られるよ。

本が届いたので読みました。
分からない言葉にきちんと説明がついていたので、林業関係の人でなくても、読む気があれば大丈夫ですね。

腑に落ちるところが多々あり、読んでよかったです。
官製伐採のあたりも非常に納得でした。

お役人さまは必読かと思います~。

そうですね。知識がなければ読めないのではなく、読む気がある、興味があるのなら十分理解できます。


>お役人さまは必読かと思います~。

(^o^)。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 書評「不況の合間に光が見えた!」2:

« 書評「不況の合間に光が見えた!」1 | トップページ | 無間伐の日本林業 »

March 2025
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

森と筆者の関連リンク先

  • Yahoo!ニュース エキスパート
    Yahoo!ニュースに執筆した記事一覧。テーマは森林、林業、野生動物……自然科学に第一次産業など。速報性や時事性より、長く読まれることを期待している。
  • Wedge ONLINE執筆記事
    WedgeおよびWedge on lineに執筆した記事一覧。扱うテーマはYahoo!ニュースより幅広く、森林、林業、野生動物、地域おこし……なんだ、変わらんか。
  • 林業ニュース
    日々、森林・林業関係のニュースがずらり。
  • 森林ジャーナリストの裏ブログ
    本ブログの前身。裏ブログとして、どーでもよい話題が満載(^o^)
  • 森林ジャーナリストの仕事館
    田中淳夫の公式ホームページ。著作紹介のほか、エッセイ、日記、幻の記事、著作も掲載。