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森と林業と田舎の本

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2010/08/30

セアカゴケグモとアフリカケヤキ

奈良は、平城遷都1300年祭で盛り上がっている! 連日の猛暑でも訪問客が途切れないというのが凄い。やっぱり、奈良の都には魅力があるんだ……

ということはさておき、1300年祭の主なる舞台・平城宮跡の大極殿。ここでセアカゴケグモが発見された。

記憶しているだろうか。数年前に日本に上陸した東南アジアからオーストラリア原産の外来種で、毒を持つクモである。最初に見つかった時は大騒ぎになり、駆除に追われたが、どんどん分布を広げる中で、逆に話題にも上がらなくなったように思う。

最初に発見されたのが大阪や神戸、広島の港だったことから、おそらく輸入された木材について上陸したのだと思われる。

それがよりによって大極殿で。もちろん、すぐに駆除されたし、刺された人もいないそうだが、外来種の侵入は止まらないんだろう。

と、そこで思い出した。木材の外来種も奈良の都の伝統建造物に増えているのである。

同じく奈良の都の巨大寺院・興福寺。五重の塔で有名だし、昨今は阿修羅像で知られるようになった。はっきり言って、歴史的には東大寺より権力を持っていたような寺院だ。

そこの金堂は、江戸時代に火災で焼け落ちたが、その再建が現在進められている。

ところが、その木材が国内では調達できない。大極殿の際は、文化庁が威信を賭けて国内でヒノキを集めたが、興福寺の場合はケヤキの大木がいるらしい。

そこでアフリカのカメルーン産のアフリカケヤキを購入した。高さ9,9m、直径77㎝、重さ5トンの柱が2本だそうだ。ほかにもカナダ産のベイヒも使うらしい。

完成すれば、大極殿に匹敵する南北23m、高さ21mの建造物になる予定。

でも、この金堂もアフリカの木でできているんだよなあ……と感慨深く見てしまいそうだ。

いや、アフリカケヤキとセアカゴケグモを同列に扱う気はないけどね。

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コメント

日本唯一の森林ジャーナリスト 田中淳夫さんのプログを以前から興味をもって拝見しておりまして、先週初めて投稿しました。

周りには林業関係者が多いのですが、私自身は、林業とはまったく関係のない仕事をしております。

35年以上前の学生時代には生駒山の近くの森の中でアルバイトをしたりもし、今も林業地に時々行っております。

大極殿の桧、よく日本で見つかったものですね。
何年生の桧か良く分かりませんが。

これからも興味深くプログを拝見させていただきますので、宜しくお願い致します。



日本唯一にして日本一の森林ジャーナリストです(^o^)。ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。

生駒山近くの森の中……どこだろ。山頂なら遊園地もあってバイトも多いのだけど。

大極殿の柱には、直径80㎝のヒノキが使われています。一応、紀伊半島からと言っていますが、本当かなあ。

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