元興寺に、最古の建材と落書き
全国的にどれほど報道されたのかわからないが、奈良の元興寺極楽坊の禅室(国宝)の屋根裏にある木材は、飛鳥時代に伐採されたヒノキとわかった。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100815k0000e040009000c.html
年輪からの年代推定で、西暦586年ごろの伐採と確認されたのだ。約1400年前。これまでもっとも古い木造建築物とされていた法隆寺を約100年遡ったことになる。
もともと元興寺とは、日本初の仏教寺院である飛鳥寺(明日香村)を平城遷都に合わせて移転したものだが、建物の一部も飛鳥時代に建てられたものを移築した可能性が高まったのだ。
現在も建っている(使われている)建物の木としては、世界最古の木材だろう。
ちなみに、ほかにも639年ごろ、721年ごろ、1246年ごろの木材も混在していた。おそらく修理の度に新しい木材が使われたのだろう。
……と、まあ、ここまでは全国的なニュースだが、ちょっとマニアックな情報も。
実は、この調査(2007年)の際に、落書きが見つかっている。なんと木材に水上偵察機が描かれていたのだ。さらに土壁には、壁に鶴が飛翔する姿も描かれていた。
元興寺の修理は1943年と1951年に行われているが、その際に職人が記したものと思われる。水上偵察機は、山とともにやりがんなで削られた木肌に小刀で彫り込んだように、そして鶴は左官職人が壁を塗る際にコテで描いたらしい。
国宝へ落書きしたのだから、当時見つかったら、どんな制裁をくらったかわからないが、年月がたてば、それも逆に値打ちとなる。
今秋、この元興寺の屋根裏は一般公開される。と言っても、事前申込み制だし、人数制限もあるが。世界最古の建材と、落書きを見たい人は、早めにどうぞ。私は、どうしようかな。
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田中さまは、行って見てこなきゃいけませんよお。
でもって、ここに書かないと。
投稿: 熊(♀) | 2010/08/17 00:07
そうかあ。
でも、往復はがきで申し込まないといけないんだよな。8月いっぱいだったっけ。確認しよう。
投稿: 田中淳夫 | 2010/08/17 09:36
申込みは9月17日までだった。見学は10月17日から約1ヶ月。今回だけの行事だ。
http://www.gangoji.or.jp/tera/annai/sento1300/yaneura.htm#yaneuratanken
でも、日時を予約しないといけない。私の場合、それがきつい。
投稿: 田中淳夫 | 2010/08/17 09:41
田中さんが書かなくて、だれが書くんですか。
日本最古の落書きの報告を待っています。
えっ、本題は落書きの話じゃないって?
投稿: スポット | 2010/08/17 12:13
えっ、私も元興寺の屋根裏に落書き書いていいんですか? 逮捕されちゃう。
……あれ? そういう意味じゃないのか。
投稿: 田中淳夫 | 2010/08/17 12:27