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2010/09/16

木育の裏にあるもの

大阪の新歌舞伎座が移転新築されたのだが、そのこけら落とし公演を鑑賞させていただく機会があった。

まあ、歌舞伎の話はさておき、座席は花道のすぐ横。ヒノキの廊下が伸びる。新築であるからきれいなのだが、ふと目に止まるのは、ビスである。板を止めるのに打たれたビスが、ずらりと金属色に光って並んでいる。それにつなぎ目が隙間いっぱい(^^;)。

なんで木ネジにしなかったのかとか、木でネジ頭が見えないように塞がなかったのか、とか考えてしまった。もちろん予算の問題もあるだろうし、案外歌舞伎の舞台って、この程度でいいのかもしれないし、担当者が金属ネジが好きなのかもしれない……。

でも、木について知らないんだろうな、と思ってしまった。だから、せっかくの木の舞台に水をさすような造りにしてしまう。これって、木育が足りないのだろうか……。

実は、これから書かねばならない短文で、木育のことを触れようと思っている。そこで木育についても少し調べてみた。手元の木育関係の書籍やパンフに目を通したり、ネットで検索したり、木育の大家のブログを読んだり(^^;)。ちょうど、木育って何?という連載?をしていたので助かった。

http://mokuiku.exblog.jp/

おかげで、いよいよわからなくなってきた(笑)。

ようするに木育の定義は千差万別、人によって違うとも言える。単に木のことを教えるというものではない。生きた木、森林に対する教育も含む。かといって環境教育全般にまで広げていいものなのかどうか。

そもそも木育を言い出したのは誰か。私の記憶では、自民党の国会議員が急に唱えだした覚えがあるのだが、おそらくその前に林野庁あたりが議員に「木育」というアイデアを吹き込んだのだろう。

ちょっと揚げ足取りをすれば、なぜ木材というマテリアルの教育をしなければならないのか。そのうち鉄育も必要とされるのか、ガラス育もある? そうそう箸育はあるんだった。

もともと木材は、人間にとって身近な存在だった。ところが気がつくと、どんどん木材製品が身の回りから消え、木材のことを知らない人が増えたのだ。だから木の家を立てると木の特性ゆえの変化に驚いてクレームが発生する。さらに木材需要が減ると、林業も困る。だから、木育をして、みんな木のことをもっと知りましょうよ、と言いたくなるのだろう。さらに木を通して情操教育を行おうと考える教育関係者もいるに違いない。

しかし、出発点はそうであっても、現在木育に熱心に取り組んでいる人は、そんな意志を持っているだろうか。自分の山の木が売れてほしいから木育を持っているという林業家は少ないだろうし、そもそも何の利害関係もなく木育に熱中している人が大半だろう。

もしかしたら木材から樹木へ、そして森林へと興味を広げて、地球環境全般まで意識させることを狙っているのかもしれない。その意味では、木育の木とは、自然物の象徴である。木さえ好きになればもういいというものではあるまい。

しかし、私は思うのだ。あんまり理屈こねる問題ではないな、と(笑)。

おそらく木育に携わっている人は、木が好きなのだ。そして、他人にも木を、森を好きになってほしいのだ。こんなにいいものなのに、なぜみんな知ってくれないの? さあ、みんなで木のファンになりましょう。それだけ(笑)。

この結論に達して、ああ、これでは今から書く記事に木育を持ち出すのは厳しいな、と気づいた次第。また、別の切り口考えるか……。

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森林学・モノローグ」カテゴリの記事

コメント

田中淳夫様。
初めまして主に建築関連の仕事が生業です。
「奪われる日本の森」を検索したところ、
貴方の書評を読みました。

検索したきっかけは今月、知人のブログに目を通すと、
「奪われる日本の森」を扱ったNHKテレビを見て、
知人の妻が怒っていたので本当に欧米人や中国人が、
日本の安価な森を買い付けているのか、
信じられないので本の内容を知ろうとしたのです。

書評を読むと根も葉も無い、感じの本と安心はしました。

ただ貴方の書評日時より、新しい「クローズアップ現代」だったのかも知れません。
その後のご存知の情報でも、海外からの買い付けは稀ですか?

もし番組が本当でしたら中国産のナラ・フローリング無垢材は、
非常に安価だし、材木目当てで無ければ鉱物資源でしょうか?

宜しくお願いします。

「外資が森林を買収」の話題に関しては、本ブログで幾度も触れていますから、ご参照ください。

ただクロ現にもあったとおり、それなりに日本の不動産を購入する外資があるのは事実です。それは今に始まったことではなく、昔からあったわけですが、近年は目立っているのでしょう。
目的は明確ではありませんが、少なくても木材だとか水源狙いではないことは間違いない。鉱物資源だってあり得ません。採掘権はまた別ですから。

北海道の物件は、リゾート狙いでしょうね。すでに近隣のゴルフ場やホテルなども買われていますから。

おお、からみにくい(?)話題ですね。
そう、私も「理屈では説明できん!」派です。
理論部分は得意な方におまかせ(^-^)
木に触れる活動を続けていくうちに、何となくその意義がわかって来るのではないかと。
そういう私は木との関わりはまだまだ浅く、自分自身に木育中、です。

 今年の3月のことですが、公費で町内の幼保育園に杉の積み木を配布しました。1園あたり1760個、合計8800個(末広がり)です。
 特に、木育を強く意識したものではなく、小さい頃に木の積み木(積み木なのにわざわざ「木」といわなければならないのか)で遊んで面白かったという記憶があればいいという程度ですが。

 配布先の幼稚園、保育園の話を聞くと、いつも遊んでいるよ(一部の保育園はささくれがでて、使うのを躊躇していたところもありますが)、親子遊びにも使っているよ、沢山あるからめっちゃ楽しい、という声がほとんどでした。

 そういうものなんだなあ、と私としては思っています。

 そういう活動の裏づけとして木育という考え方を整理した理論がまとまってほしい。そういう風に思った次第です。話が整理されていると、保育氏とか教員の皆さんに意味や意義を説明しやすいですから。

>おそらく木育に携わっている人は、木が好きなのだ。そして、他人にも木を、森を好きになってほしいのだ。こんなにいいものなのに、なぜみんな知ってくれないの? さあ、みんなで木のファンになりましょう。それだけ(笑)。

まずは、簡単に木を身近に感じてもらう。
あとは子供たちの中に何か少しでも残れば
それでよし。

難しく考えるのは大人に任せて!

もったいないから,自分のブログに書きました(笑)。けど,まだ書き足りない感じです。ブログで書き足りないんだから140字じゃ無理ですね(笑)。

そんなむずかしいものでは無いと思いますが,「木を好きになって欲しい」だけでは教育としては不完全かなーと。

教育としてはさらに上位の,かつ具体的な目標が必要で,そうするとそれはなんだろう・・と。

私の結論は「木の再評価」だろうと思います。詳しくは私の方で。

ああ,すみません。教育としては不完全というのが誤解を呼びますね。

せっかく税金とかエネルギーを使ってやるのであれば成果を出さなきゃならないという意味です。大きな成果を出すためには,どんな目標にすればいいんだろうなあ・・と私は思ってやってきました。感想です。

おおお、いろいろ反応が出てきて、私も助かります(笑)。大家のあさださんのブログも拝見。

「木の再評価」ですか。それでいいと思いますが、では、なぜ(再)評価しなければならないか……という原点を振り返るわけです。
木という字は、八の字が入って末広がり、なんてアホなことも考えますが、やっぱり難しい理屈は、専門家に任せます(^^;)。

とりあえず書かねばならないエッセイから木育を扱うのは諦めて、そうだなあ、何をテーマにしようか。

おお、すれ違いでコメントが付いた。

もちろん、教育のプロには、しっかり理論武装していただかないと。そして、私のような外部からの意地悪なツッコミに答えていただく義務があります(笑)。それをネタに私は記事を書く(⌒ー⌒)。

ちなみにツイッターから撤退ですか。「撤退のツイッター計画」という理論武装はいかが。
私も、ツイッターには戯れ言しか書かなくなってきた。

国語とか算数を除けば,そもそも教育する内容に必要性なんてなくて,親とか社会の願いで決まっているだけ・・ということなんだと思うんです。願いが強ければ教科になるし,学習指導要領で何が内容として相応しいか決められる。願いが小さければ家庭や個人でやるものになり,どこまで必要かなんて個人まかせです。
木育も周りの願いによって支えられているだけと考えると,今の現状はそういう願いを持った人たちがどれくらいいるかわかりますし,田中さんが言われるみたいに,その人達はみんな木が,森が好きなんだと思います。

 8800個の積み木と箱(これは茶箱を使用。土地柄もあります。スギでできています)で90万円弱でした。

 これを県の補助金と町の費用で賄いました。

 議会では、やはり目的や効果について意見がありました。費用も掛かりすぎだという意見もありました。目的をはっきりさせればよかったのです。効果については、その意見をおっしゃった議員に保育園に出向いていただきました。どうやら、楽しかったらしく、納得されたみたいです。

 木の積み木の目的、意義は私は言葉にうまく出来ませんでした。変に理屈っぽくなってしまって。ただ、やればわかることも分かりました。公務員としてはNGですね。90万円の効果。何のためか。森林までストーリーを持っていくのに相当な説明が必要でした。うまく説明できなかったのだと思います。
 税金で賄ったわけですから、これでは納得されない住民の方も多いかもしれませんね。園児や保育士の方にも意見を聞いてみて、まとめられればまとめてみたいと思います。
 でも、6ヶ月での磨耗の度合いを見れば「よかったな」って思うわけです。
 

積み木を幼稚園や保育園に配布することの意義と効果……なんて、普通の人なら言葉で説明するのは難しいでしょう。感じるものですから。
でも、税金を使う以上、説明責任があるのも事実。そこで学者先生が理論武装してあげる義務があるのです(笑)。次からあさだセンセイに説明の仕方の見本を考えてもらうというのはどう?

うーん。とりあえず,理論武装的なことを書いてみました。穴だらけな上にいまいちですね。
http://mokuiku.exblog.jp/13245059/

なるほど。自然物ゆえの画一的でない積み木だから、思いもかけない広がりが期待できますね。それにしても、子どもの発想力って、凄い。

この調子で、木育ワンダフル論を展開したら、需要はありそうです(笑)。

でも、森林セラピーの理論武装と似ているな、と思った。

あんまり難しいことはわからないのですが、
ナントカ育というからには、
この子たちに大きくなったらこんな大人になってほしいとか、
あのもちろん、
相手が子供じゃないときは、こんな風になってほしいとかの
イメージがあるのだと思います。
だから、普通の子育てみたいに、やりようは画一的ではなく、
様子をみながらいろんな方向で展開されていくものなのかなあと
思います。

ああ。もっと曖昧になったような。すみませんです。

いただいた情報によると、木育という言葉は、北海道の知事政策室で2004年に登場した造語だそうです。そしてプロジェクトチームを作って推進したそうですが、それを林野庁がパクって(^^;)、全国に広がったそう。

ま、スタート時点では、木材使用の推進だったようですが、今やその枠を越えて教育分野に広がったんですね。その点からも、何でもありです(笑)。

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