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2010/09/15

集落診断士?

「撤退の農村計画」、全部読んだつもりだったのだけど、改めて目を通して引っかかったところがある。最後に「集落診断士」「集落サポーター」という役職?が登場するのだ。

集落サポーターは、20代で農業に携わりながら集落の運営や生活をサポートする人材。
集落診断士は、集落の状態を「診断」して、未来像を描きつつ活性化なり移転を促す役割らしい。集落内のリーダーの育成やサポーターの育成・派遣も担当する……という。このアイデアは、兵庫県の研究所から提言されたらしい。

集落サポーターに類した人々は、すでに各地に登場している。ただし、派遣というより自主的なものだ。個人だったりNPOとして集落に入るなり通っている。近年登場した補助事業で作られた集落支援員も、それに近いのかもしれない。

だから、私にはわかりやすい。ただ、彼らの悪戦苦闘ぶりも聞いているので、派遣されたって勤まるかどうかは???である。

だが、集落診断士は、どうもしっくり来ない。理由を説明しようとすると、なんだか延々の繰り言を書きそうな気がするので割愛するが、率直に言って、そこまで必要か、という気持ちだ。

もちろん、岐路に立つ集落に、今後の進路をいくつかの選択肢として紹介する。さらに、それを実行するアイデアを提案することはあってもいいだろう、いや、あった方がいい。
でも、「診断」するかなあ。集落とは、企業的な存在ではなく、住民の覚悟で決めるものだと感じる。どうにもならなくても、最後の一人まで移転しないケースもあるだろうし、潜在的に大きな資源を持っていても活かさず捨て去る場合もあるだろう。

あえて言えば、私は集落の未来の選択は、住民に任せておけばいいと思うのだ。外からどうこう言うのではなく、自分たちで考えてほしい。あくまで外部者は受け身でよいのではないだろうか。仮にどんなよいアイデアを提案しても、よそ者が提案したことで反発しそうな気もする。

まあ、この資格を持って活動するのは、市町村もしくは都道府県レベルの公務員になりそうだが、住民サービスというより、自治体の逼迫する財政を緩和するために、集落を移転させる人員というのならわかりやすいのだが。

私は、こう見えても、田舎には冷たい(笑)。自分たちで将来を考えない地域は消え去るしかないと思っている。何らかの打開策を求めてやる気のあるところだけに支援すればよいのではないかなあ。

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地域・田舎暮らし」カテゴリの記事

コメント

確かに、診断されてもなあ・・・という気持ちは
しますね。

「あなたは、大雑把でザルのようですよね。」
って言われても、
「だからなんじゃい。」
っていう気持ちになるのと同じような感じが、
ちょっとします。

もちろん、そんな自分を変えたいという思いがあれば、
診断されるのは、いいと思いますが。

 この前、ある集落のいわゆるまちづくり活動の拠点に県の職員をご案内しました。
 結構気に入ってくれて、話が弾んでいましたが、そのうちに診断のような感じに・・・・。そして、話は改良点に、ああすればいいとか。そして、県や外郭団体の助成制度や支援についても丁寧に具体的な例も挙げながら解説をしてくれました。
 集落の方は非常に素直に聞き入っていましたが、疲れたようでした。
 そこは、好きにやる、やれる範囲で、という形らしいです。元は駅舎のトイレの掃除ボランティア活動がスタートで、30年近く続いているのです。その発展系なのでした。その駅舎を使って都市住民と交流していこうということになって、そのままでは保健所の許可が降りそうもないので、国と県の補助金をもらって改修をしました。恐らく、県の職員は最近活動が始まったのではないかと思ったのでしょう。
 そんなことがありました。
 集落世帯数70、人口230人の集落です。
 廃村になるような状況にはありませんが、数年で急激に人口が減る状態の集落です・

誰でも知っている情報をあたかも価値のあるように話すのがコンサルタントの仕事だそうです。

その地区の独自性があって良いと思いますし、失敗を糧にするくらいの度量がないと本当の成功はできなと考えます。

リスクをなるべく少なくしようと初めに考えるとどうしても他と同じものしかできなくなってしまいます。

杉コレクションを6回していますが、全て、実行委員のメンバーが違います。それぞれで個性を出して失敗してもいいじゃないかと思うのですが、なんとかお利口さんで仕上げようとしてしまうようです。木材屋さんの2代目3代目は、そうなのかもしれません。

周到な準備をして勝負をかける。失敗してもキャリアアップしたと考え、次の手を…。

そんなことを少しずつ継続していくと良いのではと思うのですが…。

実は、私も過疎地に招かれることがあるんですが、そこでは各地の活性化の事例やアイデアを紹介します。診断はできませんが。
でも、それは相手次第。もちろん望まれるなら披露はするし、興味喚起の役割はあると思います。しかし、こちらが熱心でも現地は動かない。現地の熱心さにこちらが当てられるようでないと。

仮にそれが長い目ではじり貧でもあり、滅びの道であっても、抵抗しない生き方を考えてしまう。常に戦って勝ち取るハッピーエンド的アメリカ映画に対する違和感に近いかもしれません。

田中さんより
>まあ、この資格を持って活動するのは、市町村もしくは都道府県レベルの公務員になりそうだが、住民サービスというより、自治体の逼迫する財政を緩和するために、集落を移転させる人員というのならわかりやすいのだが。

わかりやすのですが、上の意を気にしすぎるヒラメ公務員とかごますり公務員とかが、診断でなくて早く出て行けという説得をしそうですね。。

鈴木さんの書かれたような県職員、こちらにもいっぱいいます。こちらから投げた質問に答えてくれる分にはとっても助かりますが、それ以上のいらん世話を焼くときも多くて。。。

>あくまで外部者は受け身でよいのではないだろうか。

ここを徹底できればいいと思います。できるかな?

済みません、名前を書き忘れました。

 書き忘れていましたが、訪問をしていただいた方の意見については、部分的にかなり参考になったといっていたことも事実なのでした。

 あと、そうして注目されていること、訪問を受けたことを感じて自信をつけている部分もあるように思えました。

 

受け身の心がけで、集落の実態に詳しく、活性化案も撤退案も現場に則して抱いている人材……なら、水俣にいるかもしれませんね(笑)。

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