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2010/10/23

木材自給率と安全保障

またもや木材自給率について考えた話。

民主党政権が掲げる木材自給率50%の根拠は、日本の森から持続的に収穫できる木材量が約4000万㎥であることらしい。1000万haの人工林から間伐をしながら生産できる木材という意味である。そして日本の木材消費量は、ここ数年は7000万台に落ちているものの、平均的には8000万㎥前後であることから、50%という数値をはじき出したというのである。

なんとも大雑把な計算だ。木材需要を増やそうとか、あるいは国産材の質とニーズなどを厳密に計算したわけではないらしい。

そこで、また原点にもどって考察してみる。なぜ、木材自給率を高めないといけないのか

もちろん遠くから重い木材を運ぶためにエネルギーを消費するのは無駄だとか、林業で生計を立てる人々の雇用の問題もある。だが、一般的に自給を口にする場合の定番は、安全保障である。必要なものを自ら生産しなければ、もし輸入がストップした場合に大変なことになる……。

だが、ここに疑問がある。

その点をより安全保障の観点が際立つ食料自給率で考えてみよう。

食料が足りなくなると飢餓が発生するから、なんとしても確保しなければならない。そして外国からの輸入は、輸出国の事情によって止められる可能性がある。だから自国で……となるわけだが、よく考えるとおかしい。

食料の輸入がストップする自体として一番考えられるのは、不作である。生産量が減ったら、どこの国も、まず自国民分を確保するために輸出量を抑える。今のロシアが小麦の輸出を減らした事態もそうだ。ロシアは、異常気象で大不作だったからである。もし日本が大量に輸入しているアメリカなども不作になったら、同じ可能性があるかもしれない。

では、日本の食料自給率を上げていれば、対処できるか。たとえば自給率を8割以上に高めておけば安全か。

ここで思いついたのは、日本が不作になる心配である。異常気象は、地球上のある程度偏った地域で起きる。もし、その気象異変が日本列島を覆った場合、どうなるか。8割を賄っていた国産食料が激減するのである。その時に、あわててつきあいのない国からの輸入が行えるか。

これは危険だ。本当に安全保障を考えるのなら、地球上の各地から満遍なく食料を輸入しておくことではないのか。一国が輸出をストップしても、別の地域から輸入できればリスクを減らせる。こそこそ飢えなくてすむ手だてだ。

さて、木材にこの考え方を適応すると、どうなるか。とりあえず日本の森林が突然どんどん枯れだして木材の供給ができなくなる……という事態は考えにくい。だが、急いで作付けして、すぐに供給することも不可能である。60年先の収穫は、今からスタートしなくてはならない。
また外材の供給が細ることはあり得るが、世界全体が突然ストップすることもないだろう。やはり世界から広く貿易を行っておく方がいい。それも建材用もあれば合板用、パルプ用チップなど、いずれも輸入先を分散しておかないと安全保障にならない

となると、やはり考えるべきは、森林をいかによい状態を保つか、持続的生産を行うかということに尽きる。森があれば木材のストックもあるのだ。

先に木材自給率50%は、持続的に生産できる量を4000万㎥とする前提にひねり出された数字だと紹介したが、それがどうも怪しい。伐採する量さえ4000万㎥以下に保っていれば、確実に持続的ということはあり得ない。
確実な造林と、獣害などで難航する育林をしっかり行える体制を構築しておくことが重要だ。50%なんて、後からついてくる数字だろう。

今は、国産材の生産ばかりに目が向いているが、そろそろ再び造林・育林に意識をシフトすべき時代に入っているように思える。

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林業・林産業」カテゴリの記事

コメント

その通りです。

リスク管理という意味でいうと
気候変動や虫、長い間の大気汚染による影響は無視出来ません。
実際に、杉、ひのきに怪しいかもという、ちょっとした症状も出はじめています。

あまりも、同じような樹齢の木が多すぎます。木から蒸発する水分も多いそうです。

おっさん、おばさんの木がいっぱいで
子供が育ってない訳です。

とりあえず、間伐や長伐期は世間のコンセンサスが得やすいので、推進されていますが、問題の先送りじゃないの!と思っています。

何かと、よく似てるでしょ。

樹齢のバランスと、50年先はガソリンがヤバそうなので
将来、どう木を出すかを考え、余裕がある今のうちに、将来の搬出まで考え、今 各山でどこをどう伐り、育てるか…という計画を 各山林で立てる事が先決かな。

木が燃料の林業機械の開発とか(笑)

森林は 国家の要。使わずにすめば儲けもの。最低限、住まいと食べるものを煮る燃料と水を何十年後も確保出来るかというのが基本ではないかと。

針葉樹を植えすぎたのが、悪いとは思えなくなるかも。バランスが戦後崩れただけで、日本の人口と需要を見定め、しばらくはバランスを取る為の施策、樹齢50~60年の木を使い、再び植林する事にこそ、補助金をつっこんで欲しい。

植えて育てて、収穫して。
スパンが極端に長い、収穫物は食べられないというだけで、
農業とそんなに変わりはないですよね。
だったら収穫量ばかり気にしていてはだめですよね。
ちゃんと作付計画も考えなきゃ。

長い目で木材自給を続ける体制づくりを行うなら、法正林のごとき異年齢の森林をつくる必要があります。目先の木材自給率に惑わされるのは危険です。

「木材自給率高めて、森林消える」現状こそ、真の意味で森林の危機ではないかと思うのです。

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