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森と林業の本

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2010/10/21

森と建築が結びつくわけ

NPO法人森林をつくろう「新・木造の家」設計コンペティションが10月30日(土に)博多で開かれる。

このNPOの母体は、佐藤木材という素材生産業。バリバリの林業現場なのだが、そこが単独で全国の建築系の大学生に呼びかけて、伝統構法の家づくりの設計コンペを主催しているのだ。NPO理事長は、その娘さんである佐藤和歌子さん。林業女子である(^o^)。

すでに6回目のはずだが、今年も36の応募があり、一次審査を通った7作品がブレゼンされる。交通費も出るから、学生にとっては有り難いだろう。私も、その作品を見たことがあるが、なかなかユニークな発想を持ち込んでいた。

Photo

しかも優秀賞に選ばれると、実際の施主とマッチングされて、家づくりを担える。もちろんプロのチェックは入るから、学生だけで設計するわけではないが(そんな家、怖い(^^;)、ものすごい体験をさせてもらえることになる。

なぜ、林業家がここまで行うのか。このコンペだけでなく、近年は林業と建築を結びつけた活動が増えつつある。まだ微々たるものではあるけれど。

最近そのことをよく考えている。

一般に林業と言えば、木を植えているイメージか、伐採しているシーンを連想する人が大半だろう。せいぜい伐った木を丸太にして木材市場に並べるか、製材工場に運ぶところまでしか思い浮かべないのが普通だ。製材以降は木材産業という言い方もするし、工務店まで行き着けば建築業である。

今は、それらがバラバラだ。自伐林家を除くと、森林所有者と森林管理者が違う。造林者と伐採者が違う。それぞれ連絡を取り合うこともなく、一体、この山の木を植えた人は、どんな森づくりを頭に描いていたのか伝わらない。いや、そもそも森林所有者でさえ考えていなかったりする。

そして伐採後はその木材がどこに運ばれ製材されるのか、どこの家の材料になるのかも知らない。伐採業者が知らなければ山主が知っているわけない。そして製材がどこの工務店に渡るかも知らない。反対に工務店は、山主も伐採業者も知らない。施主が建てたい家について山主らが知るわけないし、その家を建てるのに必要な木の条件も知らない。
工務店が知らなければ、施主が知っているわけない。そして施主は、自分の家の素材がどこから来た、どんな特徴のある木を使っているかまったく情報を持たないのである。

しかも所有権はその都度移転しており、資金の流れもわからなくなっている。住宅ローンで支払った金額は、一体いくら山元に還元されているのか? 売れ残った在庫の分まで買った木材に転嫁されているのではないのか?

そして国産材の家がいつのまにか建てられなくなり、木材需要が減り、自分の仕事が苦しくなっても、林業家はなぜなのか原因を推測することさえしなくなっている。

おそらく、こうした情報遮断こそが、現代の林業の宿痾ではないか。

林業界の人があえて建築の世界のコンペを主催するのは、その壁を打ち破る一石なのだろう。言い方を変えれば、林業家がそこまでしなくてはならなくなったからとも言える。

もはや現代では、造林だけ、伐採だけの狭い林業を見てるだけでは立ち行かなくなった。林業を「川上」と限定するのではなく、川上から川下まで、造林から建築まで、木の流れをすべて包含した「大林業」の発想を持たねばならない。

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コメント

こんにちは。あべといいます。
私はまさしく森づくりを考え植えて管理する山作りをしたいのですが、山を買うにはどこで買えばよいでしょうか?どんなルートが考えられますでしょうか?
また、リクエストなのですが、里や山、林業に関する補助金への流れやアクセスについて書いていただけないでしょうか?
よろしくお願いします。

山林物件の情報はほとんど口コミです。まず信頼できる人を見つけて、気長に何年も待つことですね。下手に探し回るとブローカーのカモになるだけだから、お勧めしません。

素人が手を出せるのは競売物件だけでしょうね。

 森林組合で照会(紹介)しているところがあります。
 ホームページに出ている森林組合もあります。
 まずは、近場からあたってみるのはいかがでしょうか?
 信頼できる人の1つにカウントできるのではないかと思います。
 施業(作業)や補助金についてもアドバイスしてもらえるでしょう。組合員になる必要があるかもしれません。自らアプローチすればそれ相応の受益も得られると思います。
 いかがでしょうか。

田中さま、鈴木さま
アドバイスありがとうございます。
過去に森林組合にいくつか当たったのですが、
やはりなかなか話が進まずでした。
進め方もまるで素人でしたが・・。
補助金も山で農業をやる方から小耳に挟むのですが新参者ではまるで話になりませんでした。
教えていただけて、再度各方面に当たってみようと思いますが、なかなか難しい事と思いました。ありがとうございました。

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