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森と林業と田舎の本

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2010/10/12

人混みの中は気が休まる、か

昨日の遷都1300年祭会場の混雑ぶりは、すごかった。

その人波の中で、私の脳裏に浮かんだのは、谷山浩子の「猫の森には帰れない」の歌だった。高校~大学時代にはまっていた曲である。メルヘンチックだが、妙に当時の心境にマッチしていた記憶がある。
そして、この歌には「人混みの中はとても休まります♪」というフレーズがあるのだ。なぜ、人混みの中で気が休まるのか、ずっと考えてしまった。

人がいっぱいだけど、都会の人混みは知らない人ばかり。見知らぬ人に囲まれている状況は、もしかして精神的には自由になれるのかも。人が多いと、気が休まらないと考えていたのは私個人の経験にすぎなかったのか。もし無人の森にいたら、不安につままれて落ち着かない人だっているはずだ。

谷山浩子は、横浜生まれで東京育ちだったはず。つまり生まれも育ちも都会である。都会人は、人混みの方が落ち着くのかもしれない。いや、田舎人でも、周りに誰も知り合いのいない都会の状況は、解放感に包まれると聞いたことがある。「都市の空気は自由をもたらす」ともいう。

同じく、森を歩いてリラックスしようという森林療法、森林セラピー的考え方も本当に正しいのか? 人によっては森に入るとハイテンションになるらしい。森を歩くと、血圧上がっているのかもしれない。

さらに、西粟倉村のモデルハウスのような木材ばかりが目に入る内装は、私は落ち着かなくなるのだが、むしろ落ち着きリラックスする人がいるのかもしれない。

木の家づくりで、最近のトレンドは、「顔の見える家づくりである。家を建てる際に、木の故郷である山を知り、その所有者の顔を知り、伐採から搬出、製材という過程を知って、工務店とも末永くつきあうような家づくり……これこそ、真の木の家を愛好する手段のように捉えているが、本当か?

住宅という大きな買い物には、さまざまな思いが詰め込められる。そこには個人のこだわりや好みが強く出る。そこに「顔の見える」関係は有効だろうか。

いくら伐採シーンを見ても、その山の木は気に入らないかもしれない。懇意にはしているが、その建築家の設計プランが自分には合わないかもしれない。価格も、いくら要望を汲んでくれたとしても高すぎるのは困る。見えないところは合板でいいと思うかもしれない。それらをはっきり主張して好みを追求できるのは、ビジネスライクな関係ではないのか。

顔の見える関係ゆえに、言いたいことも言えなくなる可能性は高い。いや、どうしても気に入らず断りたい場合だってあるだろうが、顔なじみゆえに難しくなる。
それなら、いっそのことハウスメーカーに注文した方が気が楽ではないか。イヤならイヤ、何社か天秤にかけて、気に入らなければズバッと切り捨てたって、所詮は営業マンとのおつきあい。末永くつきあわない方が自分の意見を貫ける。

人は自然がいっぱいの過疎地より人でごった返した都会が好きだけど、ベタベタした人間関係は求めていない。こんな根本的なことを勘違いしていたら、多くの努力は無為になる。立ち止まって、よく考えよう。無意識に建前に染まっていないか。自分の本音を自分でも気づいていないかもしれない。人の心は奥深いのだ。

ところで……猫の森には帰れないのは、故郷を捨てた人の歌なのかな?

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森林学・モノローグ」カテゴリの記事

コメント

思い込みに気付かされました。
ありがとうございます!

物を売る難しさですね。
ここを瞬時に察知できる営業の人は成績が良いんだろうなぁ。


でも、ハウスメーカーの家には営業・宣伝費用が多く反映されているところがやっぱり疑問です。
(高給取りへの嫉妬かもしれません・・・)

最近の保険のCM。「今すぐ返事しないでいいですよ、ゆっくり考えてください」というのは、なかなかツボを抑えていると思っています。断ってもいいんですよ、という優しさで相手を縛る高等テクニック(^^;)。

ハウスメーカーは、大量生産型の建材調達をしているから、そこでコストを抑えられるのが強みですね。その分を営業・宣伝コストに回しているのでしょう。その代わり建材の限界を越えた要望は応えられない。

♪昨日手紙が届きました。
ふるさとの猫の森から。。。

おお。思い出してしまいました。

♪仕事をしてます。恋もしました。
人混みのなかはとても休まります。

のところですね。

♪猫の森には帰れない。
帰る道だって覚えてない。
とか、

♪思い出したら泣きたくなった。
だけど今では仕方ないこと。
とか、
ああ。何があったんだろーとか、今さらながら
考えてしまいました。

しかし、谷山ファンでしたとは、
まだ驚きがおさまりません。

すみません。ブログの主旨と違うところに
反応してしまいました。

でも待てよ、学生の時、長い帰省の後に知っている顔がいない人込みに入っていくときって、結構気持ちがほっとしていたっけ。そんな感じかしらね。

おお、「猫森」の歌詞を記していただきありがとうこざいます。今は手元になく、うろ覚えでした(^^;)。ちなみに「人混み」ですね。漢字も間違えていた。訂正しておこう。

谷山浩子は、一時かなりディープなファンでした。多分探せば、歌だけでなくラジオなどへの出演時のテープも多数出てくるでしょう。

実は、谷山さんの歌詞には、田舎と都会を考えるヒントがいっぱい隠れているんです、なんて(笑)。

また復活しようかな。最近の曲も聞いてみたい。

田中様
いつも、楽しく、読ませて頂いております。
私のブログにリンクが、張られることを最近知って、田中様のブログを勝手ながら、貼らせていただきました。

今後ともよろしくお願いします。

木製鳥居もニッチながら順調です。最近は、弥良来杉が外壁材として販売量を伸ばしています。某内庁に使用されたことや某有名建築家の方々が使っていただいたことも自然と後押ししているようです。

でも、某内庁は、営業には使わないでくれ!とのお達しですので、使えませんが…。

ニッチは、ニッチなりにコツコツと無料サンプルを全国に送っています。

宣伝費じゃないんだと心で叫びながら!!

生み過ぎ、じゃない海杉様のアイデアには敬服します。木製鳥居なども、ニッチながら目のつけどころが凄い。営業も、「世間の常識」を疑いつつ展開してください。

そう、「顔が見える」ことを押し売りするのはどうかなと思います。
「顔」をがんがん前に突き出すんじゃなくて、
さりげなく電柱の影からそっと見てる、星明子のように。

あっ、そう言えば「木の電柱」って
いつぐらいからなくなったのでしょうかねぇ。

あれも木材需要の大きな部分を占めていたのでは?

星明子ですか(笑)。猫森の次は、巨人の星。なんか青春感じるなあ。

消費の大多数は都会にあります。都会の感性としては、ベタベタの顔の見える関係は苦手でしょう。

木の電柱も太めの間伐材需要として大きかったはず。木の枕木、木の建設足場と並んで消えていきましたね……。

わたしも一時はまっていました。(笑)
充実したアルバムでしたね。
猫は一方的にべたべたされるのが嫌いで・・・じゃないでしょうか?自分がべたべたしたいときだけ(笑)寄ってくる。

放っておいてもらえる都会が今は性に合ってる・・・猫。決して故郷を捨てたつもりはないのでは?

なんか違う所で反応してしまいました。

B面はあまんきみこ作「車の色は空のいろ」に題材を求めた曲集だったのでは?(記憶違いかも?)
これも本から大好きでした。

家を建てる時、設計してくれる人、監理してくれる人、建ててくれる人たちとの距離感ですよね。
全く知らない間柄では済まないので、自分の思いを伝えきる(実現する)ために、ある程度のコミュニケーションは必要ですが、それが難しいんですよね。

なに書いているのかわからなくなってきました。(ごめんなさい。)

谷山浩子!図書委員にぴったりだなぁ(^_^)
もしくは、清原なつのの漫画(初期)に出てくる男の子っぽい・・・というとますます田中さんの趣味の世界かもね。
左門 豊作じゃなくてよかったですばい。(使い方あってますか館長?)

「田舎は知り合いが多くて気が休まらない」ってのは、まちがいなくあります。
でも、性格の問題かもしれないですよ。自意識過剰とか気が弱いとか。(^_^;


おおお、カミングアウトする人が増えてきた(^o^)。
この調子で増えたら、このブログは、谷山浩子と清原なつののファンサイトにしてしまおう……。

たしかに「猫森」のB面は、あまんきみこの連作童話をモチーフにしていますね。「すずかけ3丁目」が好きだった。
ちなみに調べると、谷山さんは東京生まれの横浜育ちでした。反対。

ともあれ都会人なのに(だから?)、人混みの中の方が気が休まるという感性を持っていることに注目。若いときは、都会に出て故郷には帰らないつもりで気張るものだったのかな、あの頃は。

そうですね。
カントリーガールなんて
まさにその世界。

いつでも君を驚かせる
なないろプリズム。

なのでした。都会は。

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